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短歌 新作7首 『大人になんてならないで』
男。女。
子ども。大人。
友達。恋人。家族。
僕らはあらかじめ決められたカテゴリーの中にいる。
気づかぬうちに、他人にカテゴリーを強いていたり、他人のカテゴリーを剥奪しようとしたりする。
僕は君にとっての何?
君は僕にどうなってほしい?
そうして何度も自問自答して、確かめ合いながら、自分は何者か、揺るぎないアイデンティティを今日も探している。
そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
『大人になんてならないで』 鈴掛真
窓のない図書館のようアルバムの次のページをめくれば日暮れ
「お土産はいらない」「煉瓦の家が好き」解り合うとは許し合うこと
大声で泣けなくなったのはきっと認められるのをあきらめたから
俺たちは違う人間だから、ほら秩序を成して重なるパルス
自分のじゃない靴下を干している一人芝居の役者のように
君だけは大人になんてならないで無邪気な剣で傷つけ合おう
ただいまと聞かせてほしい人のためもう死にたいだなんて言わない
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