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短歌 新作9首 『トップとボトム』


誰しもに与えられた役割がある。
けれど、それが本当に相応しいか否か。
正しい役割を見つけ出せるのは、自分自身だけかもしれない。
そんな気分を、9つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

トップとボトム  鈴掛真

「閉店しちゃうんですね」いつもの店員と交わす最初で最後の雑話

姪っ子がやがて男に貰うだろうよりも美しい言葉を探す

俺と君の鼻先を染める落日の色よ正しく記憶に残れ

反対のポジションに立ち頭上から歪める顔をずっと見ている

アルファベットの小文字みたいな体勢を2つ合わせた新しい語句

生物学上の雄だと誇りつつ君の隆起した首に触れたい

(舌先で耳を塞いだ)もう他の誰の言うことも聞いちゃだめだよ

俺たちに相応しいのは上下ではなくて左右に重なる夜だ

友達の子どもがいるし物語はどうせ誰かが続けてくれる

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