歌人・鈴掛真の2019年の仕事
え? もう年末?
この前カウントダウンやらなかったっけ?
そっか、平成最終日の4月30日、まるで大晦日のように友人たちと飲みながら令和になる瞬間を過ごしたから、今年2回目の年末を迎えるような気がしてしまうんだ。
そんな2019年。
今年も、5・7・5・7・7で作られた短い詩「短歌」の作家として、たくさんの仕事に携わらせていただきました。
「歌人ってどんな仕事?」って、気になりませんか?
歌人・鈴掛真の2019年の活動ハイライトをまとめました。
1. 第一歌集『愛を歌え』を出版
言葉など
いらないとして
くちづけを
する瞬間は
誰しも黙る
どうしようもなくピュアで、かぎりなくセクシー。
物語がどこまでも広がっていく、濃密を内包した言葉たち。
今を生きる愛の名言が、ここにある。
俵万智(帯文より)
2019年の上半期は、ほぼこの歌集のために費やしたといっても過言ではありません。
これまでエッセイの単行本を2冊出版し、伊勢丹新宿店のショーウィンドウに短歌が使われたり、森永のアイスPARMのメディアで連載したり、広告やWEBで短歌を使ってもらえる仕事を多数頂いてきた中で、歌集の出版が二の次になっていました。
2017年、全国大学生協連合会の調査で、大学生の2人に1人は1日の読書時間がゼロという結果が明らかに。
大人まで調査対象を広げたとしても、これまで1冊でも歌集を読んだことのある人は、とても少ないと思う。そもそも詩歌のジャンルの棚がない書店も多い中で。
僕は、まだ短歌を読んだことのない人たちへも短歌を届けたい。
そのためには、300首の短歌が収録されている歌集を1,000冊売るよりも、広告やWEBで何千、何万の人に1首を読んでもらう方が有意義ではないかと考え、これまで仕事をしてきました。
(ちなみに短歌の数え方は「1句」ではなく「1首(しゅ)」なので、ぜひ覚えてね)
とはいえ、業界内では「まだ歌集を出していない歌人」という位置づけになっていたのが、長年のコンプレックスでもありました。
そんな矢先、仲の良い編集者さんから、こんな連絡が。
「社長が、鈴掛さんの歌集ならうちで出版しても良いって言ってます!」
連絡をくれたのは、詩と批評の雑誌『ユリイカ』の青土社。
作家デビュー当初にエッセイを執筆させていただいて以来、信頼を置いている青土社からの、そろそろ歌集も出さなきゃと思っていたタイミングでのオファーを、二つ返事で快諾しました。
帯文は、僕が中学生のとき、人生で初めて読んだ歌集『チョコレート革命』の著者 俵万智さんに依頼しました。
俵万智さんも青土社とは間接的に縁があって(この経緯はぜひ本書のあとがきを読んでね)、とっても素敵な帯文を書いてくださいました。
これは、短歌を初めて書いた日から12年間、どうしたら1人でも多くの人に短歌を届けられるかを1日も欠かさず考えてきたご褒美だと思っています。
そして、Twitterでエゴサーチしてみると、「初めて読んだ歌集が『愛を歌え』」という人がたくさんいるのです(みなさんのツイート、ちゃんと読んでますよ)。
僕にとっての『チョコレート革命』のように、みなさんにとっての短歌との出会いになるような歌集を出版できたことを、心から嬉しく思います。
2. 講談社「FRaU」WEB版でエッセイ『解放宣言』連載
2018年、LGBTについて関心が高まっている今、「同性愛者についてもっと知りたいけど、知る術がない」という需要があるのではと見越し、オープンリー・ゲイとして様々な質問に答えるエッセイ集『ゲイだけど質問ある?』を講談社から出版しました。
そして2019年は、更に視野を広げ、社会で取り沙汰されるあらゆる問題や不安にゲイという立場で斜めから切り込むエッセイ『解放宣言』を、講談社の女性誌「FRaU」のWEB版で連載中。
夫婦別姓、婚前妊娠、ハラスメントなど、特に女性が不安を抱える社会問題を取り上げています。
『解放宣言』は、2020年も継続して連載予定。
『ゲイだけど質問ある?』も引き続き好評です。
3. ワタナベエンターテインメントに所属
「まだ短歌を読んだことのない人たちにも短歌を届けたい」「セクシュアル・マイノリティをもっと身近に感じて欲しい」という僕のポリシーに共感してくださったワタナベエンターテインメントの吉田正樹会長からのお誘いで、文化人として所属しました。
さらに、事務所の先輩である厚切りジェイソンさん、倉持明日香さんと、テレビ、ラジオで共演しました。
4. 憧れの雑誌に新作・インタビュー掲載
2019年も多数の雑誌・新聞・WEBメディアで、作品やインタビューを取り上げていただきました。
その中からいくつかご紹介します。
角川の月刊誌「短歌」に、5首の新作『無に帰する』が掲載されました。
これまでエンタメ系のメディアに取り上げていただく方が多かったので、短歌の専門誌で新作を発表できるのは、とても光栄なこと。
この『無に帰する』はnoteにも掲載しました。
更に、マガジンハウス「anan」、そして朝日新聞出版「AERA」にインタビューが掲載!
昔から読んでいた憧れの雑誌に取り上げていただき、大きな反響を呼びました。
2019年で最も印象深かったインタビューは、朝日新聞社「好書好日」。
インタビュアーさんが「実は私もゲイなんです」と打ち明けてくださって、普段の仕事では見せないようなリラックスした話や表情が切り取られています。
5. イベント出演と生配信でファンミーティング
新刊の出版に合わせて、noteでも大人気のカツセマサヒコさん、西洋占星術の鏡リュウジさん、シンガーソングライターの山崎あおいさんらとの対談イベントを開催。
全く異なるジャンルで活躍されているみなさんと共演することで、短歌やセクシュアル・マイノリティを身近に感じてくれる人が1人でも増えることを目指しています。
また、みなさんから寄せられた質問や相談に答える生配信をスタート。
およそ月1回のペースで、YouTubeライブとInstagramライブの同時配信で実施しています。
恋愛相談や人生相談、鈴掛のプライベートまで、毎回バラエティに富んだ内容でお送りしています。
6. noteも大好評!
アカウントを作っただけでしばらくそのままだったnoteでの執筆を、2019年から本格的にスタート。
広告表示なしで、書きたいことを読者へダイレクトに届けられるnoteは、エッセイや短歌との親和性も抜群です。
「僕の作品を使って、知らない誰かが受賞していた件」はnote編集部のおすすめにも選ばれました。
7. 故郷・愛知県春日井市で講師を担当
愛知県春日井市の文化財団からのご依頼で、地元の中学校で短歌を教えるお仕事を、2018年に引き続き担当しました。
生まれ故郷の子どもたちにとっての短歌と出会うきっかけを作れるのは、春日井市出身として何より光栄なことです。
さらに、母校の名古屋学芸大学にも訪問。
2020年2月には、鈴掛真の短歌をインスピレーションに、名古屋学芸大学 映像メディア学科の学生たちが新しいアート作品を作り上げる合同展が、春日井市の市立ギャラリーで行われる予定です。
2020年の歌人・鈴掛真は
2019年は、ワタナベエンターテインメントの先輩たちのトークスキルやコミュニケーション能力を目の当たりにして、刺激を受けるとともに、「人前に出て行くためにはもっと僕もがんばらなきゃ」と大いに反省した1年でもありました。
芸能事務所のサポートが着いたとはいえ、結局メディアの制作スタッフから見られるのは、ワタナベエンターテインメントという名前ではなく、「作品の魅力」と「鈴掛真という人間」です。
今後は短歌やエッセイに留まらず、多方面のジャンルとメディアで活躍できるよう、2020年は更なるスキルアップを目指していきます。
お仕事のご依頼は、オフィシャルWEBサイトからどうぞ。
今後とも歌人・鈴掛真をよろしくお願いいたします。
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