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【エッセイ】お雑煮に「すいとん」を入れてみた話

新年のご挨拶


こんにちは。東北在住ライターのすずき・ちえです。
2025年もnoteにローカル記事やエッセイを書き続けていきます。
どうぞよろしくお願いします。

新年は、エッセイの投稿からスタートです!


エッセイ お雑煮についての雑記

いつもは年末年始は県内の義実家で過ごすが、今回は仙台の自宅でお正月を迎えることになった。

そのため、年越しから元日に向けての料理は私が作ることに。義姉のように完璧に作るのはハードルが高いが、年越しに欠かせない郷土料理「ナメタガレイの煮付け」とお雑煮だけであれば何とかなるだろう。重い腰を上げるようにして、年内からちょこちょこと準備を進めていった。

ナメタガレイは年末になるとびっくりするくらいに高値になるので、早めに手に入れて煮付けて冷凍して一安心。

次はお雑煮だ。海沿いにある義実家では、ハモとシイタケで出汁をとり、醤油で味付けしたつゆに細く切った根菜類、こんにゃく、かまぼこ、こうや豆腐、そしてメインの大量のイクラを入れて火を通す。上にセリを乗せると完成だ。

初めは、義実家方式で作ろうとしていたのだが、年末にスーパーに行って愕然とした。ただでさえ高価なイクラが、物価高騰と年末の需要増加のため少しの量でも1000円超え。

そこで今回は、私が実家から引き継いできた、岩手風雑煮を作ることにした。

地域や家ごとに違いはあるが、私の母の故郷では、鶏肉とシイタケ出汁がベースの醤油味のスープに鶏肉とシイタケ、細長く切った大根、にんじん、ごぼう、こうや豆腐が入る。仕上げにセリとイクラをのせる。

問題はお餅だ。夫婦そろって悲しいことにお餅を食べると胃もたれしてしまう体質。そこで私はひらめいた。「すいとんを入れよう!」と。

「すいとん」とは、宮城県北部から岩手県にかけての郷土料理で、小麦粉を練ったものを手でちぎって沸騰したお湯で茹で、汁に入れたり、餡などに和えたりして食べる。

地域によっては「はっと」「ひっつみ」とも呼ばれている。


すいとん。ちぎって汁に入れて火を通す前の状態

私も子供の頃から岩手の母の実家で、根菜類と鶏肉が入った醤油味のスープに「すいとん」が入った「すいとん汁」をよく食べていた。

小麦粉からすいとんを作るところから手伝っていたので、約30年ぶりに、ネットで見つけたレシピを見ながらやってみた。

水を加えながら小麦粉を練り、3時間ほど「寝かせる」。なめらかな手ざわりになったすいとんをちぎり、お雑煮の汁に入れる。


水を加えながら小麦粉を練る


濡らした布巾をかぶせて「寝かせる」

だが、ちぎって汁に入れるのに苦戦した。厚ぼったくなってしまう。さらに火を入れて煮込んだものを食べると、粉っぽくて固い。何だか押し付けがましいというか。


厚ぼったい「すいとん」

祖母のすいとんはもっと滑らかで、1つ食べるともっと食べたくなったものだった。レシピにはない、感覚的なものもあるのだろう。生きている間に作り方をしっかり引き継いで聞いておけばよかった。

けれどもすいとんをうまく作れば、お雑煮とすいとんの相性は良いのではないか。邪道ではあるが、再チャレンジしたい。そのうちに祖母のように作れるようになりたい。すいとんが懐かしくなったお雑煮作りだった。