横浜F・マリノスを追いかけてカタール ドーハへ【妄想トラベル #02】
海外に行きたいと、ふと思い、週末に実現できる、そんな旅行術があります。
それは……、その手法は……。
妄想トラベル
想像の中で、実際に旅をするように楽しむ大人の旅行術です。
思い立ったら、お気に入りのチームの試合日程を調べ、フライト、ホテルを決めて、行きたいお店や観光地、天気予報をチェックします。予約はしないで調べるだけです。あとは想像力を発揮させて楽しむのです。妄想トラベルは、休暇申請必要なし、出費なし、トラブルなしのトラベルです。
妄想トラベルのきっかけは、こちらの記事をご覧ください。
旅のスケジュールはこちら。0泊3日(機中2泊)カタールへの弾丸妄想旅です。
なぜカタールに行くのか。目的はひとつ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を観戦するためです。
新型コロナウィルスの影響で中断していたACL予選が、11月24日よりカタール ドーハで再開されました。通常、予選は2月から5月に、ホーム・アウェイ方式で実施されますが、今年はイレギュラー開催となり、カタールに出場チームが集まり、2日おきに試合が実施されることになりました。日本からは、ヴィッセル神戸、FC東京、そして私が応援する横浜Fマリノスが出場しています。
ただ、妄想旅とはいえ、スタジアムで観戦できるわけではありません。大会は無観客で実施されており、サポーターのみならず、メディア関係者も現地に行くことは出来ません。選手もクラブ関係者もホテルとスタジアム、練習場の移動だけが許されていて、それ以外の外出はできないのです。
でもね、このプレーを観たら、行きたくなりますよ。ドーハに。アルジャノブスタジアムに。
2020年11月25日(水)グループステージ第3節 上海上港vs横浜Fマリノス
後半36分、オスカルのPKをオビがセーブしたシーンです。試合は、後半45分、高野のクロスを仲川がヘディングで合わせ、こぼれ球を天野が押し込み、1-0で勝利しました。
「ナイス!オビ!」という選手の声も聞こえます。
かっこいいですよね。選手の熱い気持ちが伝わってきます。
それでは、出発前に地図を見て、中東の国をおさらいしておきましょうか。カタールは、ペルシャ湾にちょっと飛び出している小さい国。首都はドーハ。それは分かるのですが、「中東の国と首都を白地図に書いてみろ!」と言われたら……、私は書けません……。
カタールといえば、どんなことを連想しますか。
・お金持ち
・オイルマネー
・乗り継ぎ空港
・2022年サッカーワールドカップ開催地
・ドーハの悲劇
・砂漠
・国民の大半が外国人労働者
わたしが思いつくのは、これぐらいです。有名な食べ物ってなんだろう?そういえばカタール料理って食べたことないな……。
調べてみたところ、「ホブス」という円形の薄いパン、ホブスで作ったクルトンを乗せたサラダ「ファトゥーシュ」、カレー風味の炊き込みご飯「マクブース」、ナツメヤシの実「デーツ」が有名なようです。あとは、「ケバブ」やスパイスとお肉の炊き込みご飯「ビリヤニ」も、よく食べられているようです。へーーーっ。世界三大炊き込みご飯の「ビリヤニ」は大好きなので親近感がわきます。ちなみに、世界三大炊き込みご飯は、ビリヤニ、パエリア、松茸ご飯です。
それでは、出発しましょう。
■1日目 2020年11月27日(金)
仕事を終え、成田エクスプレスで成田空港に向かいます。11月現在、カタールへの直行便は、カタール航空の22時35分成田発の1便のみとなっています。
移動の便利さは羽田空港に軍配があがりますが、「これから海外旅行だ!」というワクワク感は成田空港の圧勝です。初めての海外旅行も、初めてのワールドカップも成田から出発しました。そのせいか、成田空港に来ると不思議と気分があがるのです。
搭乗手続きを終え、夕飯は「そじ坊」で天ぷらそばをずるずるっと。出発までたくさん時間があると思っていましたが、搭乗のアナウンスがあり機内に案内されました。
機内では、食事中以外はマスクとフェイスシールドを着用しなければいけません。空港のスタッフの方も、客室乗務員の方も、これでもかというくらい予防に徹していて、以前と変わってしまった景色に心苦しくなりました。
スリッパに履き替え、快適に過ごせるよう身の回りを整えます。
離陸してしばらくすると、食事のいい匂いがしてきました。搭乗前に夕飯を食べたから機内食は止めておこうと思っていたのに、匂いで目が覚め、日本時間で24時だというのに「チキンをお願いします」と言っていました。狭い座席で、熱々のアルミホイルのふたをとって食べる食事が、こんなに嬉しく感じるとは……。マヨネーズで和えた謎の豆のサラダも、ちょっと水分多めのサフランライスも、なんだか懐かしくて美味しく感じます。
食後のコーヒーとゴディバのチョコレートを食べながら、新作のSFコメディ「Save Yourselves!」を観ました。
機内はひんやりとしていて、毛布にくるまっても寒く、笑える映画を観たい気分でした。笑える映画だったかどうかは内緒です。薄暗くなったので少し眠り、目が覚めるとモニタで位置を確認し、本を読んで、音楽を聴いて、眠くなったら寝る。食事の匂いがすると目を覚まし、与えられるままに食べる。そしてまた寝る。だらだらと過ごしても罪悪感が無い飛行機の移動は結構好きです。長時間の移動も苦痛ではありません。
2回目の食事を終えると、白っぽい砂漠と、透きとおるような海が見えてきました。
■2日目 2020年11月28日(土)
صَبَاحُ الخَيرِ !
サバーフルハイリ!(おはようございます!)
5時15分定刻どおりにカタールのハマド国際空港に到着しました。
カタールと日本の時差は6時間。直行便を使うと往路は12時間40分で到着します。東京→ロンドンのフライトは13時間で、移動時間は同じくらいですが、カタールの方がぐっと近く感じます。夜遅くに出発して、早朝到着するので、夜行バスで国内を移動をしている感覚なのです。私の感覚が壊れているのでしょうか。
外に出ると、蒸しっと暑く、にわか雨が降っていました。空港からの移動は、バスかタクシー、2019年夏に開通したメトロがあります。メトロは、赤、緑、ゴールドの路線があり、空港、市内各地を結んでいます。新しいメトロに乗ってみたかったのですが、最速で行けるUberを使うことにしました。
空港からホテルまで15分程で到着しました。ホテルのレストランから海が見えます。この景色だけでも旅の気分が味わえます。
今日の試合は16時(日本時間22時)キックオフ、グループステージ第4節、前回と同じく対戦相手は上海上港、スタジアムはアルジャノブスタジアムです。こちらのスタジアムはワールドカップでも利用される予定です。収容人数は約40,000人。故ダミーザハハディッド氏による設計です。新国立競技場の旧デザイン案を設計した方といえば分かる方も多いのでしょうか。
選手バスが、スタジアムに入っていくのを見届けるため、スタジアム近くへ移動します。気温は27度あり、日焼けが心配になるくらい日差しは強めです。絶対見えないだろうけれど、選手が乗ったバスにマリノスのフラッグを大きく振って魂を送りました。
試合は、ホテルの部屋でテレビ観戦です。あとは、事前に申し込んでいたリモート観戦イベント「チアパーティ」に接続し応援を楽しむことに。チアパーティとは、配信される独自の試合映像を観ながら、参加者とチャット機能、チアメーターという興奮ボタンを押して楽しむ新しい観戦スタイルです。マリノスのアンバサダー波戸康広さん、クラブシップキャプテンの栗原勇蔵さんのトークを聞きながら一緒に応援をします。スポーツバーで、みんなで応援している感じがして心強いです。今日はマルコスのユニフォームを着て応援します。
マリノスも上海上港も前節から先発メンバーを8人変えてきました。フッキは控えにも入っていませんでした。波戸さんと勇蔵さんは、前節の交代後の不貞腐れた態度を見て、「フッキはもう試合に出ないね」と話していたそうです。前半14分、カイフイカンにヘディングで叩き込まれ先制されますが、21分に松原、仲川とつないでオナイウが押し込み同点にします。
後半10分に上海に追加点を入れられると、守りに入った上海を崩し切ることができず、そのまま試合終了。惜しいシーンはたくさんあったのですが……。
決勝トーナメント進出は、次の試合に持ち越しとなりました。
ここまできたら、ACL優勝したい!
「リーグ優勝の記念グッズにお金使いすぎちゃダメだよ」
「ACL観戦でお金必要だし、ACL優勝したら記念グッズまた出るから」
「過密日程になるから大変だよ」
「イランのスタジアム入るのに、バスの中で何時間も待たされたよ」
「超アウェイって経験したことある?」
「10万人のブブゼラがうるっせーの」
「やつら汚いプレーしてくるんだよ」
浦和レッズサポーター、ガンバ大阪サポーター、鹿島アントラーズサポーターが、ACL優勝で経験したことや不安になるようなことを教えてくれるのですが、皆すっごく嬉しそうに話すのです。本当に幸せそうに話すのですよ。
うううう、羨ましい。
■3日目 2020年11月29日(日)
深夜2時発の飛行機で日本へ帰ります。
مَعَ السَّلامَةِ !
マアッサラーマ!(さようなら!)
「妄想旅なのだから、1泊して観光すればいいのに!」「決勝トーナメントまでリモートワークしながら滞在すればいいのに!」と自分にツッコミをいれたくなるスケジュールですが、サポーターならこんな旅もありですよね。実際に旅ができていたなら、何度も往復しただろうなと思います。妄想でも色濃く出てしまう、サポーターの性よ……。
さあて、次はどこに行こうかな。決勝戦のフライト予約しようかなあ。
■ACLにはロマンがある
この旅行記を書き終えた12月6日 日曜日、「優勝するんだ!」と本気で思っていました。
12月7日(月)17時(日本時間23時)キックオフ
ラウンド16 横浜Fマリノスvs水原三星
ハリファインターナショナルスタジアム
2-3で敗れ、ベスト8に進むことはできませんでした。日本時間深夜、2020ACLの戦いは幕を下ろしました。
抜け殻のように過ごした火曜日。
たくさん寝て少し元気になった水曜日。
「日テレジータス解約していい?」と夫に言われた木曜日。
「次だ!次!」
「初めてのACL優勝は満員のスタジアムで選手と一緒に喜びたいしね!」
と言えるほど、まだ元気はないですが、国際大会がこうして開催されたことは、今後予定されている大きな大会も実現できるのではないか、という希望が見えました。選手に戦う場所が与えられるのなら、無観客や人数制限があっても構わない、今はそう思えるのです。
【妄想 利用ホテル】
Souq Al Wakra Hotel Qatar By Tivoli
https://www.tivolihotels.com/en/souq-al-wakra-tivoli
海岸沿いにある5つ星ホテルです。市内中心から外れた場所のためリーズナブルです。
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