リスタート
最近、君のことを考えることが無くなってきた。
とはいえ、予定が入っていない休日なんかは、まだ君のことを考えてしまうので完全では無いにしても、それだけ心の整理がついてきたということなのだろうか。
君との思い出が過去のものになり、消えてしまうことが以前はとても怖かったのだが、今はそこまででもない。
少しの寂しさはあるけれど、僕は次に向かって進み始めている。
そう自覚した。
失恋は時間が解決するとはよく聞くが、本当にその通りだった。
――最近、以前のように笑うことができるようになっていることに気付いた。
しばらく使っていなかった表情筋を使ったためか、笑みを浮かべたときに少し違和感があった。
ここ最近まともに笑えていなかったからか、普段の顔が疲れ顔になってきているように思えた。
今は意識的に、口角を上げるようにしている。
ついこの間、社会人サークルに申し込んだ。
君が以前、学外のサークルに参加していたのを思い出したから。
ついこの間、カメラを買った。
君が、一眼レフカメラでいろいろな写真を撮っていたのを覚えていたから。
一度付き合うと、恋人と似るとは言うが僕の場合、一番影響を受けたのは恋が終わった後だったようだ。
遅すぎて笑えるが、嫌ではない。
君のお陰で、インドアを極めていた僕も変わることができた。
――だから、ありがとう。
今なら、心からこの言葉を言える。
本当に君には与えられてばかりだったね。
遠距離だし、休み合わないし苦しい恋だったね。
でも、良い恋だったと思う。
――さて、4月の頭に新しい出会いが待っている。
この間申し込んだ、社会人サークルのイベントだ。
土日休みの恩恵を、存分に活用させてもらう。