中日ドラゴンズはなぜ友杉篤輝を欲しがるのか~ドラゴンズ・2022年ドラフト指名予想記事~
皆さまこんばんは。@suwaharu07です。
2022年のシーズンは日本シリーズを残すのみとなりましたが、野球好きの皆さまはいかがお過ごしでしょうか。本記事は「中日ドラゴンズファン」「ドラフト好き」「プロ野球ファン」の皆さまへお送りさせていただきます。お暇潰しに役立てていただければ幸いです。
さて、本記事のテーマはこちらになります。
「中日ドラゴンズはなぜ"友杉篤輝"を欲しがるのか?」
→ついでにドラフト予想でもしてみるか…
まずは"友杉篤輝"という選手について語りたいところですが、その前に幾つかのニュース記事を引用させていただきます。
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202210150000984.html
うわっ…友杉の評価、高すぎ……!!?
友杉の名前自体は昨年から挙がっていましたが、『センターラインの強化』という題目まで含めてここ1年間の中日は友杉を注視し続けています。
しかし、変だと思いませんか? 何故なら昔から、ドラゴンズが注目する選手といえば…
こういった特徴を有する選手が主流だったはずですが(偏見)……?
友杉選手は関西圏の出身であり、甲子園の出場歴もないようです。大学では全国大会で大活躍していますが、チームが早々に敗戦。最も知名度を上げやすい国際代表戦ではコロナウイルスによる体調不良で出遅れ、不完全燃焼の結果で終わってしまいました。
それなのに、中日ドラゴンズはなぜ"友杉篤輝"を欲しがるのか?
その理由を探すために、ここでドラゴンズの現況を見直してみることにしました。
中日ドラゴンズ~既存戦力・年齢層の構成~
ここで、皆さまにご覧いただきたいのが下記の『ドラゴンズ投手/野手年齢表』になります。外国人枠・育成枠・退団が決まった選手・すべてを掲載していますので参考にしてください。
今年は26歳以上を中心に「野手は満遍なく」・「投手は右投げ」の選手が多く退団していきます。表中の起用法/ポジションは自分がある程度恣意的に分類したものですが、どうでしょうか。
恐らくですが、パッと年齢/利き腕を見た方は、
「投手の年齢層はバランスがよさそう」
「野手の右打ち/左打ちが年齢ごとに偏っている」
と思われるのではないでしょうか。
また、中日ドラゴンズの試合をよくご覧になっている方が見ると、
「一軍レベルの左リリーフが一人だけ」
「公式戦に出ているキャッチャーの数が少ない」
「二遊間の選手が左打ちに偏っている」
というようなイメージを抱くのではないか、と思われます。
ちなみにですが、現時点の支配下人数はこんな感じになっております。
・投手:27人 (右投げ:16人/左投げ:11人)
・捕手:6人 (右打ち:5人/左打ち:1人)
・内野手:9人 (右打ち:5人/左打ち:4人)
・内外野兼任:8人 (右打ち:6人/左打ち:2人)
・(⇒一・三・外兼任:5人/二・遊・外兼任:3人)
・外野手:7人 (右打ち:2人/左打ち:4人/両打ち:1人)
ざっくり人数比で考えると、現時点では
「投手・捕手の人数が少ない」「内野手・外野手の人数はやや少ない」
というイメージでいいかと思われます。
ここから、ポジションのコンバートだったりFAだったり現役ドラフトだったり外国人選手の調査があったりして色々補強していくわけですね。
現時点の支配下選手は57人であり、枠の限界まで10人強の余裕があります。あれこれ考えると、ドラフト会議では6,7人の支配下指名になると思われます。(※記事を書いている最中に『支配下7人指名+育成指名』との指名プランが明かされました)
ここで、「外的要因」も考えてみましょう。
FA取得の影響により、チーム主力投手である『松葉の去就が微妙』なことも加味するべきだと思われます。そうすると、年齢・利き腕の構成比からは以下のような結論を導くことができます。
・先発を1人は補強したい(利き腕不問。若手ならばなお良し)
・左リリーフもできれば補強したい(年齢不問)
・若手~中堅の捕手を補強したい(左打ちならばなお良し)
・若手~中堅の二遊間を補強したい(右打ちならばなお良し)
・中堅以上の外野手を補強したい(左打ちならばなお良し)
ごく単純に考えると、ドラフト会議ではこのポジション・年齢を埋めれば「バランスのいいチーム編成」に近付くと言えるでしょう。
さて、ここまででチームバランスの情報整理が大きく進みました。
『中日ドラゴンズはなぜ"友杉篤輝"を欲しがるのか?』という命題への回答に向け、もう一つ情報を洗い出してみましょう。
今度は年齢などのバランスによらず、ドラゴンズの選手能力そのものに関わってくる情報です。
中日ドラゴンズ~既存戦力・ポジション別貢献度~
当たり前ですが、年齢層や利き腕だけ気にしていてもペナントレースは勝てません。ベテランばかりのおっさんチームだろうが、右打ち右投げばっかりで左殺しが不在のチームだろうが、いい選手が揃っていて強いチームは強いのです。
前項では「ドラゴンズに足りないポジション・年齢層」を考察したので今回は「ドラゴンズに足りない"力"」を考察してみましょう。
ここでは、各種数値を他サイト様より引用させていただきながらドラゴンズの「強み」と「弱み」を見ていくこととします。
まずは投手面を見ていきましょう。下記の数値表をご覧ください。
球場ごとの有利不利(PF=パークファクター)を考慮した指標RSAAおよびFIPを元にしてみると、以下のように考えることができます。
・ドラゴンズの「先発」はリーグ3位の貢献度を記録した
・ドラゴンズの「リリーフ」もリーグ3位の貢献度を記録した。
・ドラゴンズの「投手陣全体」はリーグ2位の貢献度を記録した。
何やら阪神投手陣の成績がずば抜けていることが気になりますが、今年の中日ドラゴンズ投手陣は「飛び抜けてはいないものの、穴らしい穴もなく、優秀な成績であった」と評することができるでしょう。
数字だけを見ると「大きな補強は不要」とも言えるでしょう。
とはいえ、投手は水物なので過信は禁物。チームの能力に疑いはありませんが、高齢化したポジションや、人数が少ないことへのケアが必要となるでしょう。
ここから、ドラゴンズの投手面の補強プランは次のように画定できます。
①年齢にこだわりすぎず、純粋に能力の高い選手を獲得する
②高齢化やFAを加味し、ローテーション候補となる若手投手を獲得する
③左腕リリーフが福以外に信頼できないため、福よりも若い(30歳未満)の左腕リリーフを獲得する
・投手面のドラフト補強案
⇒先発候補>左腕リリーフの順に補強を図る。年齢は若いほど望ましいが、現在の陣容はバランスが整っているため、18~24歳……ルーキーの年齢にこだわる必要性は薄い。
続いて攻撃面の検討を行います。下記の数値表をご覧ください。
一見すると打率や得点に目を奪われがちですが、ここではwRAA、wRC+に注目していただきます。これは打者の「得点貢献度」を「球場ごとの差異を加味して測る」指標であり、バッターに不利な本拠地であるバンテリンドームナゴヤで戦うドラゴンズの攻撃能力を知るのに有効な指標です。
この表を参考にすると、各ポジションごとに分類した「ドラゴンズの攻撃力」は次のように考えられます。
いかがでしょうか? このように、球場を加味した記録を考えてみると『4番には不適格』と叩かれがちだったビシエドが非常に優秀なバッターであったことが見えてくるかと思います。
そして単純に考えると、攻撃面において「弱点」となる守備位置は、
二塁手・三塁手・左翼手・代打 と見ることができます。
特に補強の必要が大きいのは「左翼」と「二塁」です。守備負担を考えると二塁手の補強は絶対的に必要不可欠でしょう。
今年のセカンドを最も多く守ったのは阿部ですが(約70試合)、彼はシーズン後半からサードでの起用が固定化しています。しかも、その打棒は+wRC=120を記録するほどすばらしいものでした(具体的に言えば、打率2位の大島よりも得点への貢献度は高いくらいです)。
つまり、来季のドラゴンズ・セカンドは攻撃への貢献が期待できないということになります。そして単純に考えると、レフトを守るバッターはそれ以上に期待できません。
攻撃面だけを考慮すると「二塁手・三塁手・左翼手」を補強し、余剰戦力で代打の厚みを増す。これにより、既存レギュラーと共存しながらも新戦力がチームへ貢献することを期待しやすくなります。ここから、ドラゴンズの攻撃面の補強プランは次のように画定できます。
①セカンドのレギュラーが不透明であり、この点の補強は必須。
②レフトも同様に不透明であり、外人もキャリアの浅い2人のみ。補強必須。
③阿部(石川)というレギュラーがいるサードのバックアップを補強し、スタメンで出られない選手は代打などに回して攻撃の厚みを増す。
・攻撃面のドラフト補強案
⇒二塁手>左翼手>三塁手の順に補強を図る。ただし、左翼手はドラフトでなくても対応できる可能性あり。…二塁手は右打ち、三塁手・左翼手は左打ちが望ましい。
最後に、守備面を見ていきましょう。
これは12球団のポジション別UZRを並べた表であり、上から4番目にドラゴンズのUZR指標(=守備でどれだけ失点を防いだか?)が表されています。
UZRは絶対的な指標ではないので断言はできませんが、表を見る限りは「左翼・中堅・遊撃」の守備にテコ入れが必要なようです。
注意したいのは「二塁手・三塁手・遊撃手・左翼手」は非常に流動的なポジションであったということです。
特に遊撃手として最多出場試合を記録したのは、高卒2年目である土田の62試合(シーズンの半分にも満たない!)です。
土田自身のUZRは明確な+となっていますが、未だ体格の完成していない土田のパフォーマンス維持をシーズン単位で期待するのは少々リスクが大きいでしょう。即戦力の遊撃手補強、もしくはレギュラーであった京田の再起が必要となってきます。また遊撃手だけではなく、高齢化した大島がレギュラーを張りながら低調なUZR指標を記録した中堅手の補強も必要です。中堅手の攻撃力はリーグでも比較的上位でしたが、岡林などをコンバートするにせよ、外国人補強を行うにせよ、外野手の守備にはテコ入れの必要があるようです。
①外野の守備補強は軽視しがたい。守備固めとして加藤・後藤が控えるもののレギュラー陣のテコ入れが必要。
②穴となっている遊撃手は現在レギュラーが不在であり、有望な土田を起用し続けるとしてもバックアップの必要性が大。
③阿部の非セカンド起用が続く場合、セカンドのレギュラー候補も必要。
・守備面のドラフト補強案
⇒中堅手≧遊撃手の順に補強を図る。また、獲得した中堅手は左翼へ、遊撃手は二塁手へとコンバートすることも視野に入れる。
選手によっては、左翼手として/二塁手として期待を行い、攻撃への貢献度が高い大島のいる中堅手や、レギュラー候補の土田がいる遊撃手は後回しにすることも可能か?
中日ドラゴンズ~必要な補強ポイントのまとめ~
やっと情報が整理されてきました。そろそろ友杉の話がしたくなってきたので、ここまでの話をまとめます。
年齢・ポジション・利き腕…そして一軍レギュラー層のパフォーマンス指標を参考にして考えられた「ドラゴンズに必要なドラフト補強プラン」は以下のようになりました。
ざっくりまとめましょう!
1年目から使える先発ピッチャー欲しい!!!
打てて守れる二遊間欲しい!!!
ぶっちゃけ守れるだけの二遊間でも可!!!
外国人並みに打てる即戦力の外野手欲しい!!!
ドラゴンズの補強思考はこんな感じです!!!!
これで「必要な選手」は割り出すことができましたが、現実問題そうそう上手くいきません!!!
狙った選手を取ることができるか/育てることができるか、という点もそうですが、そもそも上記はチームの「戦力」を増やすためのプランです。
「木下の次代のレギュラーが期待できるキャッチャー(vs石橋の相手)」や、
「即戦力にはならないが、将来的に期待できる若手外野手」といった、
将来性への投資も加味しながら実際のドラフトを考える必要があるでしょう。
特に「打てて守れる野手」というのは中々出てこないものです。
打つ/守るのどちらか一つだけでも、こなしてくれれば上出来です。この可能性を担保するには『打撃に必要なコンタクト力/打球速度』だとか『守備に必要な送球強度』、更には『攻守両面に役立つスピード』を備えた選手が高く評価されるわけです。
とはいえ、です。野手にタレントの少ないドラゴンズにあって、
「打球を当てる/打球を飛ばす」ことが期待できて、
「送球に定評がある」とか「守備が上手い」とか…
「足がとても速い」なんて選手がいればいいのですが、実に難しいことです。現時点で走・攻・守が揃っているのは、岡林か阿部くらいではないでしょうか。
果たして、"今年のドラフトで獲得できる選手の中に、
「打球を当てる/飛ばす」のが上手で、
「身体能力が高くて、守備に重要な送球・スピードがあって」、
仮に打てなくても「足で攻撃に貢献できる」ような選手なんているのでしょうか。
欲を言えば、その選手が『右打ちの二遊間(できればショート)』とか、『左打ちの外野手(できればセンター)』だったらありがたいのですが……、そんなに都合のいい選手はそうそう………………
ん?
んんん?(三振率が0.0418という圧倒的なコンタクト力、打率は.361、盗塁数は32個だって…???)
んんんん?????(地方大の低レベルなリーグの選手だと思ったら…全国大会・代表戦でもコンタクト力や盗塁でアピールしてる…????)
あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!
レジェンド選手の井端しゃんが絶賛しとるぅぅぅぅぅぅぅーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
(この動画面白いので皆さまもぜひ見てください)
そんなわけで、打てて守れて、仮に上手くいかなくてもつかいどころのある"足"を活かせる野手を探すドラゴンズにとってピッタリばっこりフィットするのが『友杉篤輝』という選手なのでございました。
見つかってしまいましたね…「今年のドラフトの答え」が……!!!
終章:中日ドラゴンズはなぜ友杉篤輝を欲しがるのか
ここまで色々語ってきましたが、今年のドラフト市場は比較的に二遊間の選手層が厚い年だと思われます。
その中で友杉が特異なのは『小柄でも肩が強い』という点に尽きるでしょう。もちろん『守備もめちゃくちゃ上手い』。要するに、筋力と技術が両立した好プレイヤーであるという点が友杉の売りであって、140試合を戦い抜くプロ野球の舞台では必要不可欠な素質を有していると言えます。
上手いだけでもなく、速い/強いだけでもない。上手さと強さを兼ね備えて、「高いパフォーマンス」を記録し、それを「維持する」という可能性に懸けては友杉の右に出る即戦力ショートはいないのではないか、と考えます。
ここまで語ってきましたが、中日ドラゴンズに詳しい方はこう思うかもしれません。
『ちょっと待って!』
『ドラゴンズには"京田陽太"というリーグ有数のショートがいるし…』
『京田がコケても"土田龍空"という超有望ショートがいるよ!』
『本当に友杉が必要なの?』
僕は断言します。「友杉篤輝は必要です」。
ショートというのは本当に恐ろしいポジションであり、シーズン通して活躍したショートが翌年ダメになるなんて悲しい事態はザラに起きます。その生き証人が京田です。
土田がパフォーマンスを維持する保証も、京田が復活する保証もありません。…しかし、土田がパフォーマンスを維持したとしても、京田が復活したとしても、次の問題が発生します。
「セカンドがいない!!!」
「京田のFAが近い!!!」
セカンド不在の件は前項までで追及しましたが、中日ファンの多くが忘れがちなのが「京田のFA」です。
彼は1年2か月も経てば国内FA権を取得します。チームに残留したとしても、その頃には三十路が迫っています。守備負担の大きなショートを任せるには、いささか不安な年齢です。
そんなわけで、
・左打ちの京田・土田と差別化しやすい右打ちで、
・攻守に生かせる俊足を有しており、
・打撃においてはコンタクト力という長所を有する、
こんな特徴を有する友杉は、ドラゴンズにピッタリなプレイヤーなのです。それこそ、友杉を獲得するためにはドラフト上位を割く価値があると僕は考えています。
もちろん友杉と互換的な価値を有する二遊間の候補は多いのですが、中でも最も信頼できる要素が多いのは友杉ではないでしょうか。とはいえ、
「ショートよりも守備負担の軽いセカンド起用で別の選手を…」
「スピードは切り捨ててでも長打の打てる二遊間を…」 などなど、
あえて友杉をスルーするプランもシチュエーション次第では妥当であると思われます。
例えば「このピッチャーは10勝する!」とか「このバッターは20本のホームランが打てる!」なんて選手が友杉と同じドラフト順位に余っている……全く考えられない可能性ではありませんからね。
以上、「中日ドラゴンズが友杉篤輝を追い掛けている理由の考察」となりました。
せっかくサブタイトルにつけたので、以下に簡単なドラフト予想を貼っておきます。
エピローグ・ドラゴンズのドラフト会議指名予想~友杉アリ/友杉ナシの予想を添えて~
先発候補の即戦力投手と内野手(これは即戦力/素材どちらでも)の補強はマストでしょう。下記のような表から、それぞれのタイプで±1位の順位計算を行うと現実的な指名ビジョンになるのかな?と思われます。
厳密に言えばプランA~Dのどれにも当てはまりませんが、「1位・2位ともピッチャー指名」という型も十分にありえるでしょう。その場合は、比較的守備的なプランAに属する指名パターンであると捉えられます。
とにかく「ピッチャーとショートの補強は絶対」であり、「左腕リリーフ、若手捕手、打てる外野手」が絶対とは言わないまでも是非欲しいポジションになります、
実際にどんな選手がいるか、以下にプランA~Dへ当てはまりそうな選手名を掲載していこうと思いま………………
えっ?
えええっ!!!??
あああ…
ああーっ!!!!!!!!!
というわけで、この記事を書いている最中に爆弾を放り込まれてしまいました。ドラフト予想の部分については「速攻で書いて別の記事でUPする」ということにします…………。
以上『中日ドラゴンズはなぜ友杉篤輝を欲しがるのか~ドラゴンズ・2022年ドラフト指名予想記事~』でした。また次はドラフト予想記事でお会いしましょう!
ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
≪リンク・ソースが本文中に無記載の資料・画像引用元≫
・記事サムネイル:CBCテレビ「サンデードラゴンズ」10.9放送回 キャプチャー画像
・「出典」が書いてない画像:自作
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