【感想】書籍「数理モデル思考で紐解くRULE DESIGN: 組織と人の行動を科学する」
こんにちは、これが466本目の記事となったすうじょうです。今日は、初めての試みですが、本を読んだ感想を書きたいと思います。
私はYoutubeで普段見ているチャンネルの一つに「ゆるコンピュータ科学ラジオ」があります。その中で好きなシリーズの一つが、東大先端研の江崎先生が出演されている数理モデルシリーズです。
江崎先生の著書、「数理モデル入門」を動画が公開される前から買っていたこともあり、あの本の著者の人か…と少し驚きました。ソシムのあのシリーズは個人的にも好きで、他にもいくつかの同シリーズの本を購入しています。
少し話を戻しますが、動画の中で言及されていた新刊「RULE DESIGN」が気になり、記憶が正しければ去年買っていました。そして、そのまま積んでいたので、夏休みの機会に読み切りました。
私は普段ビジネス書を読まないのですが、江崎先生の本なら面白いだろうと思い、初めてその手の本を買いました。
実際、内容はとても面白く、興味深い話が多かったです。多くのルールの事例が紹介され、どうして失敗したのか、成功したのかという分析や、良いルールを作るためにはどうすればいいのかという提案がなされていました。紹介されている事例のいくつかはすでに知っているものでしたが、そこから抽象化して得られる教訓については、面白かったです。
個人的な感想として、第6章のAIの内容については、これからの技術進歩で一定程度改善されるのではないかと、AIを研究している一学生として考えています。大規模言語モデルによって、AIは自然言語で書かれたルールを理解することができるようになっています。また、強化学習によりロボットに搭載されたAIは動物と同様の動きができるようになってきています。これについては、最近ホリエモンチャンネルで紹介されていた最新事例がありましたので、貼っておきます。
千葉工業大学のfuroで作られた4足歩行のロボットでシミュレータで学習させたAIを、現実世界に適応できるようにすることを可能にして、実際の道を歩かせています。この技術の先には、AIが人間と同程度以上に現実世界を理解し、自らでルールを作り運用することができるのではないかと思います。ただ、ブラックポックス化は避けられないことだと感じています。実際、人間においても行動の理由をしっかりと説明できるかというと難しいことの方が多いと思います。
少し話が逸れましたが、社会をより良くするために弱い制約を作ることが重要で、そのためには失敗する可能性を常に考慮してフィードバックが行えるようにしなくてはならないというこの本の主張はよく理解できました。これは現実としては、障害が多く難しいと感じます。理不尽なルールがまかり通ってしまっている場面も多くあります。近年、DXの流れでいくつかの企業でルールを変える取り組みがなされていますが、社会全体としてよいルールメーキングがされているかというと微妙だと感じています。ただ、一人ひとりがこのような意識のもとで、ルールと向き合えば、世代交代とともに変わっていくのかもしれません。
ここまで長々と感想を書きましたが、RULE DESIGNはおおよそ面白かったです。タイトルの数理モデル思考はあまり関係がない気がしますが、タイトルは編集者が決めるものなので、そういうものだと思っています。この本では、社会学・心理学などの学問や政治の場面から事例を持ってきています。引用元の論文等を載せているのは、研究者らしい感じでした。また、何かの本を読んだときは、読書感想を書くかもしれません。では。