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2024年にプレイして面白かったゲームの話がしたい
※注意※
この記事は筆者が2024年にプレイしたゲームをただ紹介する記事なので、2024年リリースではないゲームがほとんどです。ご了承ください。
あけましておめでとうございます。2024年の振り返り記事をいくつか投稿し、いつもはお迎えしたぬいぐるみとか、読んで面白かった本のベストなんかを投稿しているのだけれど、2024年はインディゲームをたくさんプレイした一年だったので、プレイして面白かったゲームというのも紹介してみたい。
インディゲーマーからしたら有名タイトルばかりかもしれないけれど、普段あまり言及しないゲームの話をしたくて仕方がないので、自分が2024年にプレイした20本ばかりの中から特に好きだったゲームを取り上げていく。
Outer Wilds (2019)
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2024年の最初にクリアしたゲームで、自分が2024年にインディゲーム沼にハマったきっかけとなった作品。そもそも2023年に『TUNIC』というゲームに自分がどハマりし、あまりの面白さにTUNICロスに陥っている中で行き着いたのがこのゲームだった。2023年12月に『Outer Wilds』のSwitch版がリリースされることになり、このゲームは2023年から2024年の初めにかけて年を跨いでプレイしたゲームになった。
宇宙探索オープンワールドゲームとして、なんか雰囲気のいいSFインディーくらいの印象をプレイ前には持っていたけれど、蓋を開けてみれば壮大なハードSF、超高難易度の謎解きと、想像の遥か上を行くとんでもないゲームだった。
このゲームはオープンワールドでありながら、アイテムもなければステータス強化もない。このゲームで道を開くものはたったひとつ、「知識」だけ。遥か昔に存在した高度文明を追う中で得た知識と知恵だけで行ける場所を広げ、真相に近づいていく、高難易度で挫けそうになりながらも人間の「好奇心」がそれを上書きしていくゲームデザインは素晴らしい。
ちょっと謎解きに不親切な部分もあり難易度が高すぎるところもあるけれど、エンディングについては「ゲームってこんなに美しい表現ができるんだ」と衝撃を受けるほど感動した。記憶を消してプレイしたい一生モノのゲームだと思う。
その上でDLCも素晴らしすぎるのにはやられた。本編がこんなに完璧なのに、追加要素でここまで感動させられるの??とびっくり。いつか続編的な作品を作ってほしい。outer wildsロスはそれまで癒えることはないだろう。
OMORI (2020)
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ゲームに限らず様々なジャンルの作品に触れた中でも、このゲームとの出会いが2024年もっとも大きい出来事だったと思う。
このゲームは日本語版が出てすぐに購入したものの、積み続けてしまっていた。自分は2014年ごろに『ゆめにっき』フォロワーのゲームを漁っていた時期があって、当初から発表されていたこの『OMORI』発売を楽しみにしていたにも関わらず、7年近い開発期間を経て発売されたころには『UNDERTALE』という怪作の発表後になってしまったことで、どうもこの作品に食指が伸びない状況になってしまっていた。
しかしこちらも蓋を開けてみると、積んできたことを後悔するほど衝撃のゲームだった。なんとなく「ゆめにっき的なホラー要素のあるMOTHERフォロワーゲームなんだろう」と決めつけてしまっていて、確かに良い意味でその通りではあるんだけれど、ストーリーについては想像を絶するものだった。
RPGとしては正直、未熟な部分も多いゲームだと思っていて、明らかに不要なイベントやミニゲームが多いテンポの悪さとか、長ったらしいコメディパートとか、人にオススメしづらい悪い点はたくさんある。
それでもこのゲームで描かれている物語については、これからの人生で自分が向き合って考えていかなければいけない問題だと強く思わされるほど凄まじい内容だった。
自分が同時期に読んでいた、故・河合隼雄先生の本に通じるテーマも感じた。自分を殺したいほど許せないような人間も、救われるべきで、生きていくべきで、そのために「都合の良い想像をする」ことは肯定されるべきだ。
クリアしてから1週間は寝不足になるほど毎晩、このシナリオについて、このゲームの登場人物の幸福について考え続けたし、今もふとした瞬間にこのゲームのことを思い出しては心臓にズキっとした痛みが走る。この痛みと向き合っていく、それを忘れずにずっと考えていきたい。
OneShot (2016)
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『UNDERTALE』が2015年に発表されてから、メタフィクションを描くゲームが多く登場したように思う。このゲームも「第四の壁」を破ってくるタイプのゲームだけれど、元々はUNDERTALE発表より前の2014年にフリーゲームとして公開され、その後にリメイクされ2016年にsteamで発売したという経緯がある。そんな早くにこんなゲームを作っていたということが驚きの内容。
猫にそっくりな人間である主人公・ニコを操作しながら謎解きをしていくゲーム。ニコが画面外にいるプレイヤーに話しかけてきたり(どこから検知しているのか、いきなり自分の本名を呼んできてギクッとした)、謎解きがゲーム外のアプリケーションにまで及んだりと、『ドキドキ文芸部』的な仕掛けをこんな早い時代に取り入れていたことには驚かされた。「どうやってプログラミングしたの??」みたいな技術も見られてびっくりする。switch版なども出ているがこれらの演出は絶対PCで味わってほしい。
ただ、謎解き自体は割と簡単で、せっかくのアイデアの面白さに対してやや物足りなさもあるのと、物語が「ここまで複雑にしなくても良かったんじゃないかな〜」と感じてしまう難解さもあるのは少し気になる点。
音楽を含めて雰囲気はとても好みだったし、真エンディングの演出には感動させられて、印象に残るゲームだった。何よりニコが可愛すぎる。
A Short Hike (2019)
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2024年の4月ごろに胃腸炎をやらかしてしまい寝込んでいたのだけれど、ベッドで横になりながら気軽にプレイできるゲームはないだろうかと探してこのゲームに行き着いた。1,000円以下でプレイ時間も2時間程度でちょうど良さそ〜と軽い気持ちで遊んだが、はっきり言って2024年プレイしたゲームの中ではこのゲームがいちばん面白かったと言っても過言ではないと思う。
『どうぶつの森』をオープンワールドにしたようなゲームで、実際『どうぶつの森』オマージュの要素も登場する。かわいい動物たちの世界で、ツバメの主人公が空を滑空しながら探検する。このゲームの何が凄いかって、2時間程度のプレイ時間中つまらない時間が1秒も無いこと。最後までチョコたっぷり、次から次へとワクワクが押し寄せてくる。オープンワールドというゲームジャンルの面白い部分だけをギュッと2時間に凝縮しました、みたいな作品だ。
そして何より、登場する様々なエピソードの一つ一つがどれも良すぎる。ちょっとしたイベントや会話が心から優しい気持ちになれるものばかりで、キャラクター全員が愛おしい。重要アイテムを高額転売してくる嫌なヤツもいるんだけれど、実はそいつもお金を必要とする理由があったり……。
エンディングも本当に素晴らしくて自分はポロポロと涙をこぼした。クリア後もこの世界からいなくなるのが嫌で、意味もなくしばらく徘徊してしまうほど。ゲーム好きな人にも、あまりゲームをやらない人にも遊んでほしい神ゲー。
inscryption (2022)
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ネタバレ厳禁カードゲームADV。ゲーマーにとって「ネタバレ厳禁」というワードほどそそるものはない(自分だけだろうか)。
ボードゲームのようなマップを、ゲームマスターの指示に従いながら進む中でカードを集めていきデッキを作ってバトル。正直このシステムだけで既にむちゃくちゃ面白い。行き当たりばったりで組み上げられたデッキをどう使うか考えるのもワクワクするし、相手の次の行動があらかじめ明示されるルールなので、詰将棋のように長考して最適解を導き出すのも楽しい。
そしてネタバレ厳禁と言われるだけある、衝撃的すぎる展開。本当に何もしらずプレイしたので、腰を抜かすほど驚かされた。想像の遥か上を行く内容には何度も声に出して「マジか〜〜」と言わされたほどだ。
しかしこのゲーム、多くの人が言っているように、全3部構成のうち第一部がいちばん面白く、第二部以降はちょっとダルいという難点もある。
また、物語の真相についてはゲーム内だけでは全く明らかにならず、ARG(代替現実ゲーム)要素のある超難解な考察が必要というのも賛否が分かれるところだ。個人的にはクリア後に考察サイトを読み耽るのも楽しく、都市伝説的な話が好きな人にはむしろたまらないものもあるんだろうけれど、確かにまともに考察しようがないほどの難解さはやりすぎにも感じてしまう。
ファミレスを享受せよ(2023)
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誰もが目に止めてしまうタイトルで、一見「バカゲーかな?」と思われてしまいそうな題名だけれど、ただただ素直に良いアドベンチャーゲームだった。
時間が進まないファミレスの中に閉じ込められてしまった人たちと会話をしながら物語を進めていく。会話をする中で新しい話題を手に入れて、会話が進む……。テキストを読み進めるだけの本当にシンプルなゲームだけれど、想像以上に作り込まれたシナリオ、愛おしすぎる登場人物たち、独特な会話のテンポ、ゆるくも繊細なイラスト、音楽、すべての要素が絶妙な心地よさを保っている。ゲームシステムとしてはそこまで新しいことをしていないのに、ここまで唯一無二のゲームになり得ているのは凄い。
また、製作者のサイトにこのゲームの制作背景などが書かれているのを最近知ったのだけれど、影響を受けた作品も見られるのは面白い。レビュースタァライト好きなの、なんかわかる〜〜〜。これを読むと、この独特の雰囲気も良い意味で計算されて作られていることがわかり、作者のクリエイティビティに感心する。
強いて難点を挙げると、クリア時間2時間程度で静止画とテキストのみの内容に対し1,500円という価格が若干割高に思えなくもないくらい。
静止画といってもイラストは豊富だし、プレイ後の満足感としては別に割高と思わないけれど、自分も購入時はちょっとだけ躊躇ったし人にも少し勧めづらいかも。
ちなみに自分が1番好きなキャラクターはガラスパン。まあガラスパンを好きにならない人間はいませんが……。
全員良いキャラすぎてプレイするたびに変わりそうでもある。主人公もとても好き。
未解決事件は終わらせないといけないから(2024)
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ここにきてやっと2024年リリースのゲーム。、クリアまでの時間は3時間程度の謎解き推理ゲームで、12年前に起こった未解決事件「犀華ちゃん行方不明事件」の真相を追う。当時事件の捜査にあたった警察官である主人公が、12年前の不確かな記憶を頼りに推理していく。当時の捜査による事件関係者たちの証言が12年も前のものなので、誰の発言でどの時系列のものなのか記憶がめちゃくちゃになっていて、それをパズルのように整理していく独特のゲームシステムが面白い。普通の推理ゲームというと証拠を見つけたり証言から推理したりしていくけれど、このゲームはただただ「記憶」を整理していくという謎解きになっているのは斬新だ。斬新すぎて言葉での説明は難しいのでプレイしてもらわないと伝わらないと思う。そもそもプレイしてもこの独特のシステムに馴染むまで時間がかかる。そのわかりにくさだけは難点かも……(慣れればとても面白いシステムなのだが)。
このゲームは純粋に謎解きミステリーとしてシナリオがとても良くできていて素晴らしい。特にエンディングは本当に感動し、良い映画を一本見終えた時のような放心する感覚を味わえる。メインテーマの音楽も良すぎて、涙……。
システムに慣れるのが大変なのと、一部謎解きに不親切な部分もあるけれど、推理ゲームが好きな人やテキストを読むゲームが好きな人には強くオススメしたい。
勢いで書き始めてみたらとんでもない文量になってしまった……。
あまりゲームのレビューなんて書かないのだけれど、本当は語りたくて仕方ないので止まらなくなってしまった。
今回紹介したゲームはどれも2024年の上半期くらいまでにプレイしたゲームばかりで、実は下半期はあまりプレイできていなかった。今年はよりたくさんのゲームをプレイしていきたい。ゲームから得られる感動って小説や映画には無いものがあって大好きなんだよな〜。
今年発表される新作もどんどんプレイしていきたいけれど、まずはsteamのセールで大量に買ったものの積みまくってるゲームを消化します……。