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もし明日が来なかったら

5月6日に叔父(父の弟)が心不全で亡くなった。

4月に60歳になったばかりで
還暦祝いの計画を立てていた。

その日、叔母は先に起きていて
まだ眠っているからと叔父をそっとしておいた。
仕事の電話がかかってきて
叔父を起こしにいくと
すでに冷たくなっていた。

まるで寝ているかのような安らかな顔をしていた。

父は4人兄弟で、兄と姉そして弟がいる。
兄は勘当されていて、親の死目にも合わせてもらえなかったほどだ。
姉と父は、飲んでは暴れる父親が嫌で中学を卒業すると早々に家を出た。
弟は家を継ぎ、自動車屋を始めた。

その弟が亡くなった。
あまりに突然のことで、
たくさんの人が悲しんだ。

ユーモアがあって
笑顔を引き出すのがうまかった。
頼り甲斐があって
人をまとめる力がある人だった。 

いつもニコニコしていたけれど、
陰ではたくさんの苦労をしていたんだと思う。

一昨年は祖母がなくなり
去年 初盆を済ませた。

祖母の初盆では
機転をきかせた叔父が
かき氷機を借りてきて
酷暑の中、かなり盛りあがった。

今年はそんな叔父の初盆だと思うと
なんだか胸が痛くなる。

父の実家はいま
叔母と従姉妹の2人暮らしだ。

昨日 仏壇の前で従姉妹が倒れてしまった。
28歳で父親を亡くすなんて
きっと想像もしていなかっただろう。
母親が悲しみに暮れてしまっていたから
彼女は必死に頑張っていたのかもしれない。

昔からさっぱりとした男前な性格で
屈託のない笑顔が素敵なまっすぐな子だ。
私よりも10歳年下だけど
人としての在り方が素晴らしく
尊敬している。

こんな状況の中、通夜葬儀に400人を超える人が訪れた。
みんなマスクをし、アルコール消毒をし、悲しみに暮れるという不思議な光景だった。

悲しみの中にも
残された家族を想う優しさが広がっていて
温かさを感じることができた。



昨日、姪っ子のお誕生会をした。
誕生日は8日だったのだけれど
5月6日に叔父が亡くなったため
バタバタと流れていって
うっかり忘れてしまっていた。

孫のためにと母が20年以上ぶりにバースデーケーキを作った。

見栄えはパッとしないのだけれど
ふんわりとしたスポンジに
生クリームの優しい甘さと
果物の酸味が加わって
なんともいえないうまさだった。

みんな口々に
「ケーキやさんよりも美味しい!!」
と言った。

「8月の◯◯の誕生日にも作っちゃおうかな〜♪」
喜んだ母は私の息子の誕生日にも作る気満々だ。


生まれた日があり

亡くなる日が来る



それはいつなのか誰にも分からない。

そして明日が来るとは限らない。


人生なんてちっぽけで
くだらないものだ。

「今を大切に」
と言いたいところだが


今のわたしは
「苦しい時間をどれだけ減らして、楽しい時間に変えていけるか」
に力を注ぐ。

時折、虚無感に飲み込まれそうになる自分を静かに観察する。

そして陽が登ればまた
無邪気に笑うのだ。



今日もあなたに心の安らぎと幸福感が訪れますように♪



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