雑誌『群像』に短歌が掲載された
雑誌『群像』4月号、群像短歌部第10回(テーマ・やがて)にて、木下龍也さんに短歌を一首選んでいただきました。
とんでもなくうれしい!
やがて死ぬのよあたしたち、光るのよ、ラメの入った琥珀になって/織井陸
正直、採用されるなんてみじんも思っていませんでした。なのでわたしは書店で「みんなはどんな短歌を送ったのかなあ」くらいの気持ちでのんびりと群像短歌部のページをめくっていました。そしたらいきなり、自分のつくった短歌と筆名が目に飛び込んできた!驚きすぎてふつうにひっくり返りそうでした。
小声で、しかしはっきりと「うわうわうわうわうわ」と発音するなどして激しく動揺したわたしは、いったん深呼吸をして心を落ち着かせたのち『群像』を2冊だけ手に取ってレジへ向かいました。え?読む用と、保存用です。
書店を出ると、とりあえず公園に駆けこんでベンチに腰を下ろして『群像短歌部』のコーナーを何度も読み返しました。
木下さんは、とても丁寧な評をくださっていました。それに、ほかの短歌投稿サイトで何度も名前をお見掛けしたことがあるような、すばらしい方々といっしょに掲載もされている。夢か?と思いました。
それから、『群像』には、わたしが子どもの頃から大好きな作家、小川洋子さんによる連載もありました。小川洋子さんの文章と自分の短歌が、同じ雑誌に掲載される日が来るなんて!とも思いました。
わたしが短歌を好きになったきっかけは、完全に『鈴木ジェロニモのGERANEXT』なので、一番最初に購入した歌集はジェロニモさんの『晴れていたら絶景』です。
そして、その次に購入した歌集が、ほかでもない木下龍也さんの『オールアラウンドユー』だったのでした。だからこの採用はほんとにうれしい!
(そこを皮切りに、穂村弘さん、笹井宏之さん、桝野浩一さん、伊舎堂仁さん、永井祐さん、工藤吉生さん、岡本真帆さんなども好きになっていきました。でもまだほかにも気になっている方はたくさんいる。)
ちなみに、はじめて自分で短歌をつくったのも『鈴木ジェロニモのGERANEXT』です。
『必ず使わなければいけない7文字の言葉“マストセブンワード”を取り入れて、短歌をつくってください』というコーナーがありまして…。
普段は芸人のラジオにふざけたメールばかり投稿しているわたしですが「なんだかおもしろそう!」と思い真剣に取り組んでみたところ、これがメッチャ楽しかったんですよね。
そこで採用して頂いた短歌は以下の四つです。
マストセブンワード : エビチリだけど
・教えてよ 海の静けさ、その深さ いまの姿はエビチリだけど/RN日本代表
マストセブンワード : 6時1分
・気ぜわしい6時1分 神さまが夜の帳を裏庭に干す
マストセブンワード : 牛のしぐれ煮
・お母さん、中火のあとはなんだっけ 忘れてひとり、牛のしぐれ煮
・明日の分、ラップをかけて取っとくの 牛のしぐれ煮、死なないために
ジェロニモさんは短歌を読み上げたあとに、毎回すごく深々と「いいねえ!」と言ってくれる。学校の先生が、花丸をつけてくれたときみたいな気持ちになります。その「いいねえ!」は鼓膜にしまって、いつでも反芻できるようにしとこうと思いました。
そうして短歌をつくる楽しさを知った勢いで、わたしはその後『うたらば』と『NHK短歌』にも短歌を投稿してみました。
でも『うたらば』と『NHK短歌』に送った短歌は、ぜんぶ不採用でした。やっぱりそううまくはいきませんよね、うんうん・・・。そう思いつつ『群像短歌部』にも送ってみたところでの、採用でした。そりゃあ、ひっくり返りそうにもなりますよね。
群像短歌部(テーマ・やがて)には、ぜんぶで7首の短歌を投稿していました。
不採用だった残りの6首のうち、特に気に入っている2首もここにあげておきます。
・点々と光る星みたいな僕ら、やがて閉店になるドトール
・朝の陽が寝ているきみの指先をつたってこちらまで来る、やがて
『群像』に短歌が掲載されたということは、『群像』を買ったどこかの誰かの脳内に、わたしの短歌がすこしの間だけでも、お邪魔する可能性があるってことですよね。
「これ、いいなあ~」と思ってもらえる可能性も、あるってことですよね。
だとしたら、これ以上ない幸せだ!
ただのビギナーズラックだとしても、この一回ぽっきりのラッキーパンチだとしても、大好きな木下さんが評をくださったこと、雑誌に掲載して頂けたことは心からうれしい。なのでこの『群像』は、ずっと大切にしなくてはいけませんね。
これからも自分が楽しく続けられるペースで、ちょっとずつ短歌をつくっていけたらいいなあ。
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