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琥珀
こはく色の瞳をした君を好きだった
機微のふれあいで熱はうまれ
赤くなるまま鉄のように融けた
夢のような日々は移ろい 今はもう遠く
ただ宝石箱を眺めて焦がれるばかり
雨上がりにそうっと
差し込むひかりに照らされた
磨かれるのを待ちわびる
感情
水に濡れたサテンのように
胸を流れている糸のような水
水面に影をおとす
薄い雲たち
とうめいで組成された笑顔を
手向けとしてばらまいた
厳しかった冬が濃度をうすめれば
桜の枝 いくらか嵩を増した
ふたご星のように平行に進む人生にも
美しく咲く花のあることを切に願う
耳なりの奥に隠れたとうめいな歌声
透き通るような肌理
華奢な肩
ふるえがちな丸い瞳
は特に
夕焼けに照らされて燦然と輝くから
目が離せなくなって困った
それはかつて暗がりで出会ったひかり
はじけて溶けてもあの日、春だった