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SBTs for Natureについて少しだけ学んでみた

サステナビリティ分野を学び始めた私の「1000日連続note更新への挑戦」、27日目(Day27)です。今夜は仕事が少し立て込んでいますので、短めの更新でいきます。

1,本日のテーマ


今夜のテーマは「SBTs for Nature」です。

「SBT(Science Based Targets、科学に基づく目標設定)」、つまり、パリ協定が求める⽔準と整合した、5年〜10年先を⽬標年として企業が設定する、温室効果ガ ス排出削減⽬標については以前、学んでnoteに書いたことがありました。

このSBT(科学に基づく目標設定)、温室効果ガ ス排出削減目標だけでなく、自然関連の目標設定に関しても、今年(2023年5月)にガイダンスv1.0が公開されているのだそうです。

この分野、まだまだよくわからないのですが、とりあえずこの言葉についてざっと調べてわかったことをまとめてみようと思います。


2.そもそも誰が作っているの?


SBTs for Nature の開発者は、Science Based Target Network(SBTN)。みずほリサーチ&テクノロジーズのレポートの表現によれば「主要な構成メンバーは、CDP、WWF、WRIなど、SBTiと共通している。つまり、気候変動分野でも影響力のあるメンバーが自然資本分野においても一同に会している」とのことですから、これは影響力を増していくのは必然と言えそうですね。

出典は下記:


3.SBTとどこが違うのか


上でご紹介したみずほリサーチ&テクノロジーズのレポートがすごいのは、あちこち調べても見つからなかったこの問いへの答えが書いてあるところだと思います(ありがたい!!)。

では、違いはどこなのか。「SBTでは年4.2%減(Scope1・2の場合)という一律の削減率が定められている」のに対し、「SBTs for Natureの場合は、グローバル一律の削減率は示されていない」ところにあるのだそうです。

削減率が一律で示されていないので、SBTs for Natureにおいては「地域固有の自然資本の状態把握と目標値の設定」が必要で、これを「科学に基づいた目標」と呼んでいるのだそうです。

「状態の把握」から始めないといけないのですね…。


4.目標設定アプローチ


では、どうやってSBTs for Natureの目標を設定するのかですが、これは「状態の把握・評価」(Assess)から始まる5ステップに基づくそうです。

①Assess(評価):
バリューチェーン全体で自然資本の状態を評価、事業別に重要な課題を特定するプロセス

②Interpret & Prioritize(理解・優先順位付け):
目標設定を行うべきサイトの優先順位を付けるプロセス

③Measure, Set & Disclose(計測、設定、開示):
優先順位の高い拠点・課題に対し定量的な目標を設定するプロセス

④Act(行動):
自然への影響の回避・低減のための行動計画を策定するプロセス

⑤Track(追跡):
目標に対する進捗状況を把握・開示するプロセス

出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ サステナビリティコンサルティング第2部 杉村 陸
SBTの自然資本版、SBTs for Natureを紐解く


SBTNの5ステップアプローチ

出典:デロイトトーマツ 2023年10月5日
注目のフレームワーク SBTs for Nature v1.0 のポイント


5.TNFDとの関係は?


自然関連…と聞くと思い出されるのがTNFDです(Day3のnoteでも少し触れました)。

このTNFDと「SBTs for Nature」とはどのような関係にあるのでしょうか?

pwcの説明によれば、「完全に整合するものではない」が「スコープとして重複するところが多くある」ものなのだそうです。

TNFDは影響と依存、リスク機会を評価・開示を支援するためのフレームワークおよびガイダンスを提供しているのに対し、SBTs for Natureは企業の目標設定のためのフレームワークやツール、ガイダンスを提供しているという点で、ガイダンスの観点が異なります。

しかし、TNFDのLEAPアプローチの中の“P”(Prepare)に、パフォーマンス測定という目標設定に関する項目は含まれていますし、SBTs for Natureの方でも、目標設定するための現状把握・評価のステップが含まれているように、TNFDとSBTNはスコープとして重複するところが多くあります。

(中略)

目標のスコープとしてはTNFDのほうが広く、TNFDではバリューチェーンの下流やプレッシャー項目としての大気汚染、また企業から自然への影響だけでなく依存関係なども含まれます。

スコープの違いはありますが、重なる部分に関しては、TNFD対応を行う上でのより実務的・技術的なガイダンスとして、SBTs for Natureを活用するという使い方が可能であると考えられます。

pwc 2023年7月25日 第1回 SBTs for Nature(v1.0)の概要解説
SBTs for Natureガイダンス公開、企業に求められる自然関連目標設定とは



まだまだ勉強しなければいけないことばかりですが、今夜はいったんここまでで。それではまた明日!


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