水資源の保全・管理に貢献している企業ランキング
本記事では、AIとビッグデータの活用で企業のESG/SDGs貢献度を可視化する国内最大級非財務データバンクであるサステナブル・ラボが、企業のサステナビリティ貢献度を独自に分析・数値化したランキングを用いて、各社の取り組みを紹介します。
今回は海の日にちなんで、「水」に関する定量データに焦点を当てました。
共同マガジンを共に運営するSMBC日興証券「Money for Good」による記事「身近な企業の環境問題への取り組み」も是非お読みください。
■水に関する社会課題
日本は雨量が多く水資源が豊富な国です。しかし産業化や都市化が進んだことや、適切な水使用管理がなされないなどの理由によって、水資源の持続可能性が脅かされてしまうリスクがあります。
水に関する課題に対して企業が行うべき主な対応・対策には、以下のような取り組みがあります。
企業による水使用効率の改善:省水設備の導入、生産プロセスの見直し、水の再利用など
水質管理の向上:廃水や廃棄物の管理徹底、浄化装置の導入、環境検査の強化、水への悪影響が少ない原材料や素材の選択、サプライチェーン全体の水管理など
水資源の管理:水源地の環境保全、健全な水循環を守る山林保護、海岸や河川の清掃など
海洋プラスチック対応:プラスチック製品や梱包材の見直しなど
水害対策の強化:自社の事務所や工場の立地における水災害リスクの把握、水災害発生を想定した事業継続計画の策定など
水資源に関する課題の解決に貢献する取り組みを行い、社会的に良いインパクトを与えている企業をデータで照らした「水スコアの優良企業ランキング」をご紹介します!
■水スコアの優良企業ランキング
1位 T&K TOKA
水スコア99. 3。取水量、排水量、水の消費量、リサイクル率などが、水スコアの評価に影響しています。同社は事業所が立地する地域の豊富な地下水を、循環利用などの方法を取り入れながら有効活用。河川や下水道への放流は定期的な測定を行ったうえで行われます。さらに汚染防止対策として、生産工程からの排水浄化、雨水の排水経路への油膜検知機の設置、異常時の排水処理槽への移送処理とその後の下水道放流の仕組みなどを整備しています。
2位 関西ペイント
水スコア99. 0。水使用量、化学物質の流出量、地下水の総使用量などが、水スコアの評価に影響しています。同社にとっての水は水性塗料の原材料であり、製品品質にもかかわるため、十分な量の水を使用できることは重要だとしています。洗浄などに使用した排水に含まれる化学物質で流域の汚染につながらないよう、地域のルールを守って監視が行われています。水使用量については、2030年に2021年比20%削減を目指して取り組んでいます。
3位 東京応化工業
水スコア98. 6。水使用量、地下水の総使用量などの指標が水スコアに影響しています。同社は2018年から水リスクに関する取り組みを積極的に進め、拠点における配管や設備等の汚染リスクを低減する活動や、水使用の運用方法見直し、自然災害リスクの低減に向けた対策等を検討するなどしています。御殿場工場では、従来は排水していた冷却水を循環させる工夫を導入し、同工場全体の水使用量を約20%削減した実績があります。今後は国内の水使用量を2030年までに2019年比で15%削減すること、浸水リスク対策を継続し
て行うことを目標に掲げ、水に関する取り組みを進めています。
4位 メック
水スコア98.3。売上高あたりの水消費量、COD排出量などの指標の良さが水スコアに影響。電子基板製造用薬品の開発・製造・販売が強みの同社にとって水は製品に不可欠な主要原料であり、研究開発や生産で多くの水を使うため、水の使用管理を徹底していす。原料用途での水使用量の削減は難しいながらも、多くの水を使用する設備洗浄の回数の適正化や、容器自動洗浄装置の導入、基板処理ライン作業での無駄な水使用回避などを実施。製造・研究開発で使われた水は、規制基準値内に排水処理施設で処理したうえで下水道に排出されるよう厳密に管理されています。
5位 三菱マテリアル
水スコア98.1。化学物質の流出量やCOD排出量の指標がスコアに好影響。同社の水使用量の大部分(約91%)は、セメント工場の火力発電や銅製錬の施設で冷却水として利用する海水で、海域への排水量の多くは冷却水として利用した海水です。同社は環境方針の中で「水資源の有効利用・保全」を掲げ、水の再利用や循環利用等による水使用量の削減に取り組むことを明示し、事業所ごとに水リスクの低減策が進められ節水に取り組んでいます。また同社が有する休廃止鉱山の坑廃水は、処理場で中和処理され重金属類の除去後に排水基準内で河川に放流されます。坑廃水処理は365日24時間体制で管理されており、継続的な環境汚染防止が行われています。2022年12月には国際な環境情報開示推進団体CDPの水セキュリティ分野で最高評価のAリスト企業に同社が選定されています。
分析方法
各スコアは東京証券取引所に上場するプライム上場企業1,834社(2023年7月時点)のESG/SDGsに関連する非財務項目(水使用量、CO2排出量や女性管理職比率、独立取締役比率など)を集め、分析したものです。
スコアリングに使用したデータは、企業の統合報告書などの開示資料やWEBコンテンツ、その他のオープンデータなどから抽出した情報(客観的事実)をもとにAIを活用し数理モデリングした、ファクトベースの中立、客観的な数値となっています。またサステナブル・ラボは第三者機関として、"説明可能かつ非・属人的な数理モデル"により対象を公正中立に評価するべく努めています。
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