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すしログ江戸料理帖【もろこしアサリご飯】
「すしログ江戸料理帖」は今や絶滅危惧の「江戸料理」の魅力を伝えるレシピ紹介マガジンです。僕に「江戸料理」の魅力を伝えてくれたのは「江戸前芝浜」の海原親方です。この方は凄い料理人で、江戸時代の文献を読んで江戸料理を現代に復活させている偉人です。
そして、僕も江戸料理の人気向上のために貢献したいと思い、本マガジンを始めました。江戸料理の魅力を簡単に挙げると以下のとおりです。
シンプルで手軽
季節や旬を感じられる
ヘルシー
日本酒との相性が抜群
江戸料理の魅力が伝われば幸いです!
さて、前回は江戸料理【茄子の丸煮】を紹介しました。
今回紹介するレシピは【もろこしアサリご飯】です。
夏の定番炊き込みご飯と言えば、とうもろこしご飯ですよね。香りと甘味が堪りません。そこにアサリを加えると…旨味が増えて、大人向けの味わいにガラリと変わります!
とうもろこしの甘味とアサリの旨味、そして滋養強壮効果!
夏にピッタリです。
【もろこしアサリご飯】
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【もろこしアサリご飯】はモダンな見た目ですが、1717年(享保2年)に創業された江戸の料亭「八百善(やおぜん)」に伝わる料理です(参考文献:『江戸料理大全』)。江戸期にこんなにも現代人好みの料理があったなんてビックリですよね。とうもろこしとアサリの相性は抜群なので、ぜひとも試してみてください。
ちなみに、とうもろこしが日本に入ってきたのは1573年~1591 年頃とされます。ポルトガル人によって長崎へ伝えられたそうで、その後、九州、四国に定着し、関東以南の山間地で栽培が行われていたそうです(当時の品種はフリントコーン=硬粒種)。まさかの長い歴史ですね。そして、明治時代初期に北海道開拓が行われた結果、スイートコーンが輸入されて現在に至ります。品種改良の結果、現代のとうもろこしは甘味が強いので、江戸時代の殿様よりも格段に美味しいとうもろこしご飯を現代人は食べられると言えます。
使用する材料・調味料
大人2人分の材料です。
お米:1合
炊飯用にアサリの煮汁
とうもろこし:1/2本 ※芯ごと使用
アサリ:大ぶりのもの12個ほど ※とは言え、多い方が旨いです(笑)
日本酒:小さじ1
醤油:小さじ1
塩:ひとつまみ
・「八百善」のレシピでは胡麻油と二番出汁も使用しますが、とうもろこしとアサリの旨味や風味を活かすため、僕は割愛しました。アサリを活かすために、アサリの煮汁100%で炊きます。
・また、「八百善」では芯を使用していませんが、勿体ないので出汁として使いましょう!
レシピ(作り方)
塩抜きしたアサリを殻が開くまで煮て、すぐに火を止めて粗熱を取る(前もって冷蔵庫で冷やしておくと、お米の炊きあがりがパラッとします)。
とうもろこしの粒を芯から外し、芯は2つに切る。
お米にアサリの煮汁を張り、とうもろこしの芯と粒を加えて炊飯する。
炊きあがったら、アサリの身をご飯(というかとうもろこしの粒)の上に乗せて、蒸らしながら温める。
盛り付けて、完成!
・ご飯を混ぜる時に、端っこにアサリを避けておくと綺麗に盛り付けやすいです(細かいアドバイス笑)。
最後にひとこと&お酒とのペアリング
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シンプルに旨い!
とうもろこしとアサリの良いところを余すところなく楽しめます。
とうもろこしの香りと甘味に魅了されつつ、アサリの旨味がじんわりと広がります。お米もアサリの旨味を吸っているので、噛みしめると旨いです。
この料理に合うお酒については…
白麹を用いている日本酒
ちょっとトリッキーなペアリングですが、酒造りに白麹を用いるとクエン酸が生まれるので、通常の日本酒よりも酸味が効いて柑橘っぽいニュアンスになります(通常、日本酒造りには黄麹が用いられます)。これを、柑橘を軽く絞るイメージで合わせれば面白いペアリングになります。
また次回を楽しみにして頂ければ幸いです。
励ましの「スキ」を頂けると、次のレシピを書く原動力になります!
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