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すしログ江戸料理帖【サンマの有馬煮】
「すしログ江戸料理帖」は今や絶滅危惧の「江戸料理」の魅力を伝えるレシピ紹介マガジンです。僕に「江戸料理」の魅力を伝えてくれたのは「江戸前芝浜」の海原親方です。この方は凄い料理人で、江戸時代の文献を読んで江戸料理を現代に復活させている偉人です。
そして、僕も江戸料理の人気向上のために貢献したいと思い、本マガジンを始めました。江戸料理の魅力を簡単に挙げると以下のとおりです。
シンプルで手軽
季節や旬を感じられる
ヘルシー
日本酒との相性が抜群
江戸料理の魅力が伝われば幸いです!
さて、前回は江戸料理【兼好椀(けんこうわん)】を紹介しました。
今回紹介するレシピは【サンマの有馬煮】です。
これはサンマの煮込み料理なので、「え、せっかくのサンマを煮ちゃうなんてもったいなくない!?」と思われるかもしれません。しかし!サンマは濃い味付けで煮てもバッチリ美味しい優等生。サンマが貴重になっているからこそ、塩焼き以外でも味わうとサンマの魅力に惚れ直すはずです。
【サンマの有馬煮】
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「有馬煮」とは魚や肉を醤油や酒で濃く味付けしたあと、山椒を加えた料理です。兵庫県神戸市にある有馬地方が「有馬山椒」という山椒の名産地であることから、名付けられたとされます。サンマは江戸時代にも愛されていて、江戸の庶民にとって憧れの食材だったそうです(江戸料理料亭「八百善」による)。
使用する材料・調味料
大人2人分の材料です。
サンマ:2尾
生姜:1/2個(うす切り)
日本酒:1/2カップ
醤油:大さじ3
味醂:大さじ2
砂糖:大さじ1
粉山椒:好みの量
・醤油も砂糖も江戸伝統のレシピよりも大幅にカットしています。江戸時代の味で作ると味が濃すぎるためです。
レシピ(作り方)
サンマの頭と尾を落として、2等分にした後、爪楊枝で刺す(下記の写真参照)。
鍋にサンマを並べて、日本酒をそそぎ、生姜を加える。
沸騰したらアクを取り、砂糖を加えて煮る。
砂糖が溶けたら、醤油と味醂を加えて、落し蓋をして弱火で1時間煮る。
冷ます過程で味を含ませて、食べる前に軽く温め直し、粉山椒をかけて完成!
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・サンマを爪楊枝で刺すことで肝があふれてこなくなります。
・本来の有馬煮は実山椒を使いますが、手に入りやすさと作りやすさを考慮して、粉山椒を使用しています。煮る過程ではなく後からかけることで少量で楽しめるところもポイントです。
最後にひとこと
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サンマの肝の旨味やホロ苦さ、香りが滲み出た濃厚な味わいです!
これは肝に苦手意識を持つ人でも楽しめるように思います(塩焼きとは異なる魅力ですね)。
この肝を活かした煮汁は、フレンチのソースに匹敵する和のソースだ!と感じました。
濃密で実に美味い…。
そして、煮ても味が失われないところがサンマの魅力だと実感しました
つまみにもおかずにもなる素晴らしい一品です。
ペアリングについては、これは熟成がかかった純米酒一択です!
あるいは樽香のある樽酒でも良いです。
燗酒にして合わせれば、最高の相性です。
温度を上げることで、濃厚な味付けを流して、飽きがきません。
また次回を楽しみにして頂ければ幸いです。
励ましの「スキ」を頂けると、次のレシピを書く原動力になります!
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