すしログ江戸料理帖【鮎飯(あゆめし)】
「すしログ江戸料理帖」は今や絶滅危惧の「江戸料理」の魅力を伝えるレシピ紹介マガジンです。僕に「江戸料理」の魅力を伝えてくれたのは「江戸前芝浜」の海原親方です。この方は凄い料理人で、江戸時代の文献を読んで江戸料理を現代に復活させているんですよね。そんな人、めったにいません。
そして、僕も江戸料理の人気向上のために貢献したいと思い、本マガジンを始めました。江戸料理の魅力を簡単に挙げると以下のとおりです。
シンプルで手軽
季節や旬を感じられる
ヘルシー
日本酒との相性が抜群
江戸料理の魅力が伝われば幸いです!
さて、前回は江戸料理【アナゴのスッポン煮】を紹介しました。
今回紹介するレシピは【鮎飯(あゆめし)】です。
鮎は古来より日本人に愛されてきた魚です。物流が進歩してこのかた、海魚の人気が淡水魚を圧倒していますが、本来は全く異なる魅力があるものです。どちらが良いと言うものではありませぬ。
そして、美味しい食べ方で頂くと、鮎が「香魚」と呼ばれる理由に納得するはず。夏らしい、本当に良い香りです!
【鮎飯(あゆめし)】
令和の現在、鮎のブランド産地は岐阜、島根、高知など。江戸時代には東京(江戸)の主な鮎の産地は玉川(多摩川)でした。1784年には『玉川鮎御用中日記』と言う書籍が刊行され、江戸城御台所へ「御用鮎」を上納する「鮎御用世話役」である熊川村名主が当時の鮎の実態を記しています。現代においては車ですぐですが、江戸時代には夜通し休みなく足で運んで鮮度をウリにしていたそうです!
使用する材料・調味料
大人2人分の材料です。
小鮎: 中型の鮎なら2~3尾
お米:1合
鰹出汁:1カップ ※白出汁でも可(大さじ1~1.5)
塩:適量
粉山椒:好みで
鮎の下ごしらえは意外にも簡単です。塩水で洗って汚れや表面の臭み成分を落とすだけ。ただ、洗いすぎると折角の香りが無くなってしまうのでざっとで大丈夫です!お米をとぐのよりも楽かなと。
ちなみに、白出汁を用いる場合、商品によって塩分が異なるので、適宜調整してください。出汁ではなく、醤油と日本酒で炊くと、よりストイックな味わいの鮎飯になります。
ただ、間違ってもパック出汁は使わないでください。旨すぎちゃって江戸料理らしさを失いますので(笑)
レシピ(作り方)
お米に出汁を張り、炊飯する。
下ごしらえをした鮎に塩を振る。
炊きあがりの15分くらい前から鮎を焼き始める。
焼き上がった鮎を炊きたてご飯に乗せて、3分ほど蒸らす。鮎の香りをご飯に香りを移してから混ぜて完成!
・成魚の鮎の場合、ご飯に乗せて蒸らして写真撮影を終えたら(笑)、頭と中骨を引っこ抜きます。小鮎の場合、気にならない方なら僕のように混ぜても大丈夫です。
・小鮎は魚焼きグリルで焼いた後に、頭をバーナーの遠火でカリッとさせると尚美味しいです!
・養殖物の成魚の場合、開いて風干しすると香りが高まります。
最後にひとこと&お酒とのペアリング
鮎の最大の魅力は香りです!それを楽しむ最良の方法が、シンプルに食べることだと思います。【塩焼き】が最強の調理法であるのは否めませんが、次点は今回の【鮎飯】ではないでしょうか?プロのように鮎自らの脂で頭をカリッと焼き上げるのは素人には難しいので、技術がいらない【鮎飯】は家庭ならば最強の調理法かもしれません。
この料理に合うお酒については…
夏酒オン・ザ・ロック!
夏酒はスッキリした味わいのものが多いので、鮎の味を邪魔しません。ただ、硬質な味わいが特徴なので、オン・ザ・ロックで味を軽くしつつアルコールのアタックも緩衝すればさらにバッチリです。
また次回を楽しみにして頂ければ幸いです。
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