ポルトガルで勤務3年目の寿司職人の今
齋藤さんは2015年に東京すしアカデミーのシェフコースを1年間受講。放課後は居酒屋のバイトをしながら海外就職を目指します。
中南米を旅行しスペイン語が話せることからスペイン語圏を考えていたが、卒業間際にポルトガルの「Tasca Kome」の求人を見て応募。ワーキングホリデービザにて渡航。勤務3年目に突入。
前回インタビューしたポルトガル・リスボンの人気店『Tasca Kome』オーナー、福田ゆう子さんの下で働いている齋藤 耕介さんにお話を伺いました。
編集部:お名前と東京すしアカデミーを受講した時期とコース名を教えてください
齋藤さん:齋藤 耕介 、2015年10月寿司シェフコース(1年間)を受講しました。
編集部:現在働いている国と働いているお店の名前、またどんなお店なのか教えてください
齋藤さん:ポルトガルの「Tasca Kome」という名前で居酒屋にあるような料理から会席料理まで、日本料理を幅広く提供するお店です。アットホームな雰囲気もあり、常に進化しているお店です。
編集部:現在のお店で働くことになった経緯を教えてください
齋藤さん:元々、スペインで働き開業するまでを考えていましたが、ビザを取るのが難しく周辺国で探していたところ、教室にあった求人募集に興味を持ちました。
また、お店のことを知る講師の方から雰囲気を聞くことができたのも大きかったです。 その後応募し、Skypeでの面接を通して採用してもらいました。
編集部:働いて1年以上経ちましたが心境の変化はありますか?
齋藤さん:働き始めの頃よりも自分の意見を積極的に言うことを意識するようになりました。全く違う文化や環境で育ったため、雰囲気で伝わる、何となくわかってもらえる、ということはないと感じたからです。
ですが、自分のいる場所は日本ではないので日本の常識を押し付けず、ポルトガルを理解しようと心がけています。お互いに意見を交わす事で新たな発見もあり、相手のことも理解しやすくなりました。
編集部:平均的な一日の仕事内容を教えてください
齋藤さん:12時から14時半、19時から22時が営業時間で、朝の仕込みは9時半からで魚を捌いたり、賄いを作ったり、刺身や寿司で使う飾り等をランチ営業に向けて準備をします。
昼の営業が終わると、18時半までデザートを作ったりシャリを切ったり当番制の賄いを作ったりしながら夜の営業に向けた準備をします。18時半には賄いを食べて営業に備えます。営業中は主に寿司と刺身を担当しています。
編集部:お店の人気メニューを教えてください
齋藤さん:Sushi Komeというお寿司5貫と中巻き6貫のセットや、海鮮丼・だし巻き玉子・ナス田楽などが人気です。
編集部:働いていて困ったことはありますか?
齋藤さん:日本の魚に比べて全体的にサイズが大きいため、学校で買った相出刃では小さすぎて捌くのに苦労しました。また、営業直前まで魚が届かないこともよくあり、なかなか思い通りに進みません。
魚は1/4等の注文は出来ず一匹丸でないと買えない、肉は薄切りで売ってないので自分たちで切らないといけないなど、日本とは色々違います。
一般的な面では、路面電車が路上駐車のせいで動けないことが多々あり、また石畳の道が多く、坂も多いので雨の日は滑って転ぶ人をよく見ます。
一方アズレージョ(ポルトガルのタイル)などの体験教室があり、気軽に伝統文化に触れられるのはとても良いです
編集部:現在どのようなビザをお持ちですか?
齋藤さん:就労ビザです。
編集部:今後の目標を教えてください
齋藤さん:周りの状況を見て自分が何をするべきかの判断を早くすること、できるだけ地産地消に根付いたお店を持つこと。
編集部:海外就職を目指している方にアドバイスをお願いします
齋藤さん:この考え方が全てではないと思いますが、ただ海外に行って生活がしたいのであれば飲食以外にも方法はたくさんあると思います。
飲食を選んで、日本人で、寿司で働く、となると期待されるものはとても大きいことを実感しました。また、今まで聞いた限りどこの国へ行っても飲食で働くことはラクではありません。
そういったことを踏まえて、目標や志を持っていればどこでも働けると思います。就職を考えるときに、まずはそういった目標や志が大事なのかなと思います。
また、少し話はズレますが、僕は学校で教わったことは数ある技術のうちのひとつだと思っています。
とても基本的で不変なものだと思いますが、それを基本にいろいろな応用が必要になり、柔軟に対応しなければいけない場面が多々あります。基本の技術と一緒に、何故なのかという考え方を覚えておくと応用しやすくなると思います。
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