流行とは一線を画す完成された韓国料理 #赤坂一龍 別館
ソルロンタンと言えば、塩やオキアミの塩辛で自分好みの味を作り上げるもの。そのためスープが薄く、味気のない状態で出てくる印象があるが、ここはかなり完成されたバランスで提供される。背骨のビシッと通ったような牛骨スープに、食べ応えもありながら旨味を邪魔しない濃度の塩加減は、素人の私が下手に味変してしまったら申し訳ないと思わされるほど。
メインはソルロンタン一択で、足りなければサイドを頼む。入店と同時に人数分のソルロンタンを頼んで、後はその日の気分で食べたいものを追加すれば良い。漢字で「雪濃湯」と書くのは初めて知ったが、韓国料理のイメージとは一線を画した洒落たネーミングセンスに興味をそそられる。
注文とほぼ同タイミングで提供された4人分のパンチャン(おかず)は、日本では中々見られない充実ぶり。韓国の当たり前が、ここ赤坂では忠実に再現されている。カクトゥギ(大根キムチ)は爽やかな大根に強めの唐辛子を並走させた刺激的な味で、ペチュキムチ(白菜キムチ)はニンニクの効いた個性的なスタイル。韓国は店ごとにキムチの味が異なるので、お気に入りのキムチを探す楽しみもある。
メインのソルロンタンも数分で到着。素朴なスープの中に牛肉と春雨麺、上にはネギを散らしただけの簡素な作りと、具材からは考えられない旨味の総量。「雪」のように純粋なつくりの中には深みのある「濃」い味わいが隠されていて、これを理解するには最初は少し時間がかかった。韓国料理と言うとビビンバや鍋のような「足し算の料理」が有名だが、純粋さを極めた「引き算の料理」も魅力的。
出来たての熱いスープは銀製のスプーンで少しずつすくって慎重に。ごはんやキムチを投入しながら食べ進め、温度が落ち着くにつれて上がるスプーンのスピード。おいしいご飯ほど、友達と来ていることも忘れて夢中で食べてしまう。もちろんスープは全て飲み干して完食。
東京で韓国料理と言えば新大久保だと反射的に考えていたが、今後は赤坂に向かう機会が多くなりそうな予感。
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