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とある読書家の言葉

とある読書家に「伊豆の踊子」の感想を聞いた。

僕は、その読書家の感想に本当に感動してしまって。世の中にはこんな事を言う人がいるんだと驚いた。
とても、純粋で透明感のある綺麗な言葉を選んで話してくれる。

特に感動したのは、僕は情景がぼんやりしてて読みにくい、3度読んで主人公の心情が逆にわからなくなってしまったと話をした時に

「あの文は一時の出会いを題にしているようなので、あんなふうに背景と被写体が混じってる写真みたいな表現なんじゃないかなぁ」

「あのぼやけた情景だからこそ踊り子に出会って彼女からただの少女だと気づいても、なお心惹かれる感じがでてて、人間のはっきりしない心が見えていいなと思います」

と言う、個人の考えを述べてくれたところ。

ぼやけていたのは、技法だった事に気づいている所、僕が良く見えなくてモヤモヤぐるぐると考えていた事も、素直に受け止めて物語を読んでいて、それを俯瞰して見る事も出来ていて、年下とは思えない表現力で、僕の胸に刺さった。

ぼんやりしているからこそ、人間のはっきりしない心が見える……そんな風にも取れるのか。

もっと、色んな本の感想を聞かせて欲しいと思ってしまった。


きっと、読書家のこの人は、とても純粋なんだと思う。
だからこそ言葉選びは丁寧で美しくて、透明感があるように感じるんじゃないだろうか。
僕ならこんなのが苦手と思うところも、前向きに良い所として見つめる事のできる寛容さ。

もちろん、たくさんの本を読んでいて、人間としての成長が素晴らしいんだと思う。語彙も多くて、読み取る能力も感受性も高い。且つ、揺るがない自分自身を持っている。
純粋で強く逞しい事が、言葉を美しくさせているのを感じた。
澄んだ水のようなその言葉選びは、本当に美しくて感動した。


素直であれば、純粋であれば、それが文章に現れる。

ああ、僕も彼女のように美しい文章を書けるようになりたいな。そんな事を考えても、僕はもう純粋では無いし、本当の清らかな水のような透明感は出せないかもしれない。
それでも、素直でいる事で、物事を素直に捉える事で、僕の言葉も透明になるだろうか。

気になっていた読書家さんの感想を聞く機会が出来た事、そして、その読書家さんは物書きでは無いが、とても僕の好みの文章を書けるであろう事、読書というひとりぼっちでも楽しめる趣味に新たな光を灯してくれた事、人との出会いは人生を面白くさせてくれるんだと感じた。

また、同じ本を読んで、感想を話したいな。
面白い本があったら教えてくださいって言われたけど、何を勧めようか。
僕は人に本を勧めるのが苦手なので困ってしまう。
面白そうだと思って寝かせている辺りから引っ張り出してこようかな。
「東京都同情塔」の感想を聞いてみたくもある。
生成AIを使って書かれた作品をどんな風に捉えるのか。すごく興味がある。


読書の楽しみが増えて、実はわくわくしている。


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