創作小説・私立諸越学園芸能科 第0話
2012年に執筆された作品で未完のまま更新停止した作品ですが、実験的にnoteにあげてみます。落ち着いたら、続きを執筆したい気持ちはあります。
第0話 わたしは見てる。あなたを見てる。
僕は今まで、自分の人生を親の敷いたレールに従って進んでいると思っていた。
だけど、それは違う。
僕は、君に呼ばれたんだ。
いつの頃だか、はっきりと思い出せない昔の記憶。
携帯ゲーム機の小さな画面とにらめっこしながら、モンスター集めをしていた幼い僕に、聞こえた声。
それは、やかましい母親の声ではなく、透き通った天使のような声だった。
テレビモニターには、僕と同じくらいの年頃の女の子が映っていた。
「わたしは見てる。あなたを見てる。さあ、来て。わたしと一緒に、行きましょう」
たった15秒のCMだった。それが何の製品のCMだったかすら、思い出せない。
だけど、当時の幼い僕が、そのとき何を思ったかは、今ならはっきりと思い出せる。
——僕は、行かなくちゃいけない。
——君のそばに。
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