【解説】日々は風船【短編小説】
こんにちは。
爽やかな少し肌寒い日曜日ですね。
気温が落ち着いてきたせいか、食欲が荒ぶります。お昼からは外出して、そのとき胃が求めたお店でランチでもしてこようと企んでいます。私はこの季節が一番好きです。
それまでは暇なので先日書いた『日々は風船』の解説でも。
少し長い物語でしたので解説だけ読めば本編を読まなくてもいいように心がけます。
3行で説明すると
「逃げて
爆発して
飛んだ」
意味不明ですね。ちゃんとします。
舞台は軍事侵略された団地群。
軟禁化された住民の脱出譚。
物理的な脱出より精神的な脱出に重きをおきました。
頼りない主人公が徐々に精神の均衡を崩していく過程を描きたかったのですが、色々と細かく描写を増やしていったら1万字を超えてしまったので、長すぎると思い4000字ほどばっさりと切りました。そしたらぶつ切り感満載に……。
恋人と団地の外まで逃げる作戦を敢行したのち、【彼女】を失ってしまってから【男】は彼女を神格化していきます。
人間、何事にも理由付けをしていまいますね。
男は妄想的な思い込みが徐々に強くなって、屈折した思考が凝り固まってしまいました。それが彼の心を救うんですが。
生きる、ということを占める要素の1つに呼吸が挙げられます。
私は呼吸と似たような物質に風船を選びました。そしてその風船は魂とも近しいものではないかと、ぼんやりと考えます。
呼吸や魂は目に見えないので、風船なら可視化できるんじゃないかな、と。
魂が溢れ出さんほど夢中になれる出来事に憧れを抱いていますので。
今なら死んでもいい、って心から思える幸せを感じたい願望を反映させてみました。
出口についてですが、当初は団地の境界線を越える目的でしたが、脱出、という意味では成功します。しかしその後、彼女のいない逃避行に意味はあるのでしょうか。
そして2つ目の出口は肉体からの解放となります。
彼が彼女を失ったショックから見出した逃避行。これは男のひとりよがりを隠しつつ、前面に押し出した作品です。
余裕を失った精神の急速なブレと「何言ってんだ、こいつ?」を感じてもらえたら嬉しいです。
ただ、自ら課した使命を全うし、幸せの絶頂で敵国の兵士を巻き込む自爆をした彼の風船はパンパンに膨れ上がっていたことでしょう。
人が救われる方法は様々ですね。
これは幾億もある救いの物語の1つ。
私としてはどんなにどん底でも、気付かぬ所で希望は息をしているものだと思います。
彼の魂が幸せに内包されたまま空を遊泳していますように。
本編を読んで下さった方がいましたら、ありがとうございました。
まだの方はお暇なときにでも。
スキくれた方の作品は今度しっかり拝読させていただきますね。
書いてる途中からハンバーガーが食べたくて仕方がなくなったスロウでした。
穏やかな1日を。