見出し画像

積分の計算問題のコツ#4

ミケ:久しぶりの積分コーナーです!

マロ:おお!唐突だね。

ミケ:このコーナーなんやかんやで全然更新できてなかったんだよね。

ミケ:ということで今回は積分計算します!なまった積分の感覚とを取り戻すぞ!

マロ:おおー!

前回の記事はこちらです!!


☆の見方について

コツの紹介に入る前に、☆の見方について説明していくよ。

☆    :今すぐにできる。とても簡単。
☆☆   :すこし演習が必要。コツを掴めばできる。
☆☆☆  :難しい。ある程度の問題の慣れが必要。

※あくまでミケの独断です。

基本的にこの三つに分けて紹介していくよ。慣れないうちは☆1つから意識していくといいと思う!

それじゃあ今からさっそく紹介していくね。


積分のコツ

8.一様収束するか確認(☆☆☆)

これは定積分で使える考え方だね。関数列$${f_n(x)}$$がもし
一様収束するなら、この時積分記号と極限を入れ替えられるんだね。

これを使えば、$${\displaystyle\lim_{n\to\infty} \int_a^b f_n(x)dx}$$の計算問題が簡単に解ける場合もあるよ!

例題:

$${\displaystyle \lim_{n\to\infty}\int_a^b e^{-nx^2}dx\quad(b>a>0)}$$

解答:

被積分関数を$${f_n(x)=e^{-nx^2}}$$と置けば、この関数列は区間$${[a,b]}$$で一様収束するよ!

今から理由を説明するね。$${f_n(x)' = -2nxe^{-nx^2}}$$であるから、この関数は$${x=0}$$で最大値(極大値)を取り、$${[a,b]}$$では
単調に減少するってことがわかるよね。つまり、$${f_n(a)}$$が積分区間での最大値だとわかる!!

ここで、$${\displaystyle f(x)=\lim_{n\to\infty}f_n(x)=0}$$だから、

$${|f(x)-f_n(x)|=e^{-nx^2}\leq e^{-na^2}}$$が成り立つ!

ここで、$${\displaystyle N=\left\lfloor\frac{1}{a^2}\log\frac{1}{\varepsilon}\right\rfloor+1}$$と取れば、任意の正数$${\varepsilon > 0}$$に対して、ある$${N(\varepsilon)}$$が存在して、

$${n\geq N \Rightarrow |f(x)-f_n(x)|<\varepsilon}$$

が成り立つ!つまり、$${f_n(x)}$$は一様収束すると示せた!

よって、積分と極限を入れ替えて、

$${\displaystyle \lim_{n\to\infty}\int_a^bf_n(x)dx=\int_a^b f(x)dx=0}$$

と求まる!

もしこのコツを使わないで解こうとしたら$${e^{-x^2}}$$の積分を解かないといけなくなっちゃう!この不定積分が初等関数で表せないのは周知の事実だよね。

なんだかこう見るとすごく使いやすそうなコツに見えるけど、ぶっちゃけそこまで使い道はないよね。

そもそも積分の問題っていうよりは極限の問題でこういうタイプが出されるかもしれないね。一様収束バリバリ使うし。

9.漸化式をつくる(☆☆)

これは不定積分・定積分どちらでも使える考え方だよ。被積分関数に整数$${n}$$が含まれているとき、求める定積分を$${I_n}$$と置いて式変形して、
最終的に$${I_n}$$の漸化式の形を作る!

そうすれば、積分の問題が漸化式を解く問題に帰着できるってわけ!

これは例題を見たほうが早いからさっそく例題にいくよ!

例題:

$${\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2}\sin^n xdx}$$

解答:

まず求める定積分を$${I_n}$$と置いて、部分積分すれば、

$${\displaystyle I_n = \int_0^\frac{\pi}{2}\sin^n xdx = \left[-\cos x\sin^{n-1}x\right]_0^\frac{\pi}{2}+(n-1)\int_0^\frac{\pi}{2}\cos^2 x\sin^{n-2}xdx}$$

右辺第一項は、代入すれば$${0}$$だとわかるよね。

ここで、$${\sin^2 x+\cos^2 x =1}$$より、積分項は

$${\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2}\cos^2 x\sin^{n-2}xdx=\int_0^\frac{\pi}{2}\sin^{n-2}x-\sin^nxdx=I_{n-2}-I_n}$$

だから結局元の式は、

$${\displaystyle I_n =(n-1)(I_{n-2}-I_{n})\leftrightarrow I_n = \frac{n-1}{n}I_{n-2}}$$

だとわかる!だから、あとは$${I_n\rightarrow I_{n-2}\rightarrow I_{n-4}\rightarrow \cdots \rightarrow I_{0} \hspace{1mm} or \hspace{1mm}I_{1}}$$

という風に添え字の$${n}$$をどんどん小さくしていけばいいね。

$${n=0,1}$$のときの値を求めておくと、

$${\displaystyle I_0 = \int_0^\frac{\pi}{2}\sin^{0}xdx=\int_0^\frac{\pi}{2}dx = \frac{\pi}{2}}$$

$${\displaystyle I_1 = \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin xdx=\left[-\cos x\right]_0^\frac{\pi}{2}=1}$$

だから、$${n=2m}$$と置くと、

$${\displaystyle I_{2m}=\frac{2m-1}{2m}I_{2(m-1)}=\frac{2m-1}{2m}\frac{2(m-1)-1}{2(m-1)}I_{2(m-2)}=\cdots=\frac{(2m-1)!!}{(2m)!!}I_0=\frac{(2m-1)!!}{(2m)!!}\frac{\pi}{2}}$$

$${n=2m+1}$$と置くと、

$${\displaystyle I_{2m+1}=\frac{2m}{2m+1}I_{2(m-1)+1}=\frac{2m}{2m+1}\frac{2(m-1)}{2(m-1)+1}I_{2(m-2)+1}=\cdots=\frac{(2m)!!}{(2m+1)!!}I_{1}=\frac{(2m)!!}{(2m+1)!!}}$$

ここで、二重階乗を使ったよ!二重階乗は$${5!!=5\times 3\times1}$$
みたいに一個ずつ飛ばしてかける!

これはWallis積分って言って結構有名な積分だよ。もしかしたらこれを読んでる人の中には知ってる人も多いかもしれないね。

こういう漸化式のときは部分積分が大活躍するよ!下の演習問題で試してみてね!

演習問題

恒例の演習問題を解いていこう!今回も前回に引き続き上級問題はないよ!

ー基本問題ー

$${\displaystyle [1]\lim_{n\to\infty}\int_0^{\frac{1}{2}}\frac{dx}{1+x^n}\quad [2]\int_{-\infty}^{\infty}x^ne^{-x^2}dx}$$

ー上級問題ー

なし

解答

[1] $${\displaystyle f_n(x)=\frac{1}{1+x^n}}$$と置けば、$${\displaystyle f(x)=\lim_{n\to\infty}f_n(x)=1}$$だから、

$${\displaystyle\left|f(x)-f_n(x)\right|=\frac{x^n}{1+x^n}}$$

となるね。$${0\leq x< 1}$$だから、$${n}$$を十分大きくすれば、
$${x}$$の値によらず、任意の$${\varepsilon >0}$$について、

$${\displaystyle\frac{x^n}{1+x^n}<\varepsilon}$$

とできるね!つまり、$${f_n}$$は一様収束する!

だから、積分と極限を入れ替えれば、答えは$${\frac{1}{2}}$$ってなる!

[2]積分する前に気づかないといけないことがある!それは$${n}$$が奇数のときは積分が0になるってこと!

つまり、$${n=2m}$$のときを求めればいいね。

求める積分を$${I_{2m}}$$と置いて、$${x^{2m}e^{-x^2}=xe^{-x^2}\cdot x^{2m-1}}$$として、部分積分すると

$${\displaystyle I_{2m}=\int_{-\infty}^{\infty}x^ne^{-x^2}dx=\left[-\frac{1}{2}e^{-x^2}x^{2m-1}\right]_{-\infty}^\infty+\int_{-\infty}^\infty(2m-1)x^{2m-2}e^{-x^2}dx}$$

$${x\to\pm\infty}$$で、$${e^{-x^2}\to 0}$$で、$${x^n}$$と$${e^{-x^2}}$$なら$${e^{-x^2}}$$のほうが減少のスピードが速いから

$${\displaystyle I_{2m}=\int_{-\infty}^\infty(2m-1)x^{2m-2}e^{-x^2}dx=(2m-1)I_{2m-2}}$$

ここで$${n=0}$$のときを求めておくと、これはガウス積分だから

$${\displaystyle I_0 = \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2}dx=\sqrt{\pi}}$$

だね!よって答えは、

$${\displaystyle I_{2m}=(2m-1)!!\sqrt{\pi}\quad I_{2m+1}=0}$$

となる!!


終わりに

ミケ:ふうううう。めっちゃつかれた~~!

マロ:だねー。久しぶりに積分記号を見た気がするよ。

ミケ:それはない(笑)

ミケ:でも、最近あんまりこうやって計算してなかったからちょっと頭が疲れたね。

ミケ:次はこうならないように定期的に更新していくぞ!

マロ:おおー!


誤字脱字や間違いの指摘、質問や感想等は遠慮なくどうぞ!
                              ーミケ

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?