見出し画像

EAAのデメリットとそれを補うホエイペプチドのすすめ

こんにちは、パーソナルトレーナーユウ(Twitter:@supps-jiten)です。

簡単に自己紹介しますと、大学で栄養学や運動生理学を専攻し、現在はパーソナルトレーナーとして働いています。

運動(特に筋トレ)が好きで、筋トレ歴は6年になります。自身が理系の大学院卒であることからもわかるように根っからの理論派です。筋トレやダイエットにまつわる様々な説、理論を検証するのが好きで、様々な文献を読んでは、それを私が運営する「iHerb辞典」というサイトで発信しています。

さて、一時期アホみたいにEAAが流行った時代がありましたね。いつくらいでしょうか・去年の秋くらいから今年の春くらいまでですかね?

でも、EAAをがぶ飲みしたことによる体調不良が多く出ていました。極め付けは分子栄養学やメガビタミン理論の権威である藤川徳美先生の「EAAはオススメしませんでー」というツイート。

これによって

EAA終了

って感じでしたね。(少なくとも私が見ている限りはそうでした)


ではなぜEAAがそんなにダメなんでしょうか?

EAAのデメリット 非必須アミノ酸が入ってない

EAAのデメリットは非必須アミノ酸が入ってないということにつきます。

「え?非必須アミノ酸って名前が示す通り特に必要ないんじゃないの?」

と思った方も多いのではないでしょうか?ここで非必須アミノ酸の定義をきちんと確認しておきましょう。

非必須アミノ酸とは「体内で合成できるアミノ酸」です。

体内で合成できるから特段外部から食事やサプリメントで補う必要はないよ。という意味で”非必須”と名付けられているわけですね。

でもこれ、本当に外部から摂取する必要がないのでしょうか?

体内で合成できるというのは他のアミノ酸を使って合成するという意味です。つまり、必須アミノ酸(EAA)を摂っていても、体内の非必須アミノ酸が足りなくなった場合はせっかく摂ったEAAを非必須アミノ酸に分解して作り替えるんです。

EAAがNEAAに変換される

これってすごくもったいないですよね。

「もったいない」という言葉で済ませずに、1つ1つこのデメリットについてみていきましょう。

せっかくの高価なEAAが台無し

これこそがまさに「もったいない」なのですが、EAAってプロテインに比べると高いですよね。

せっかく高いEAAを買ったのに体内ではEAAとして働かずに他の非必須アミノ酸として働いているかもしれないのです。確かにEAAは体内で重要な成分であることは間違いないですが、体内で狙ったように働いてくれないならEAAを摂るメリットもなくなってしまいます。

EAAからNEAAを作り出すのは体の負担大

※ここでは必須アミノ酸をEAA、非必須アミノ酸をNEAAと書きます。

EAAを大量に飲んだ場合に起こる体の変化について考えましょう。ここでは「大量に」というのがポイントです。一時期SNSで見られたような今まで飲んでいたホエイプロテインをすべてEAAの置き換えるような方法です。

EAAはご存知の通り必須アミノ酸しか含んでいません。その際、体の中では不自然にEAAだけが多くなって、NEAAが相対的に不足します。これを「アミノ酸のインバランス」と言います。

EAAは大量に入ってくるのにNEAAが入ってこないので体はバランスを保つことができません。こうなった際に体はどのように反応するか?

これは先ほど書いたように、EAAを分解してNEAAに変換するわけです。

しかし、普段ならばNEAAが体内で相対的に不足するなんてことは起こりにくいはず。肉や魚にはEAAもNEAAも両方含まれているからです(当然、EAAとNEAAの割合はまちまちですが、サプリメントとしてのEAAのようにEAA100%でNEAAはゼロというような食品はないはずです)。

つまり、EAAからNEAAを生み出さなければならない状況は体にとっては緊急事態です。

でも、緊急事態に対応するのって疲れますよね?エネルギー使いますよね?

身体も同じでこのような緊急事態に対応する代謝回路には多くのエネルギーが必要とされ、体にも大きな負担がかかります。

だから、当時EAAのみを大量に摂取していた人たちからは不調を訴える声が多く聞かれたのだと考えています。体が消耗しているのです。


これはアミノ酸から糖を作り出す糖新生にも同じことが言えますね。糖新生はなくてはならない作用ですが、糖新生だけに頼ると消耗します。


さて、話をEAAに戻しましょう。

ではEAAからNEAAを作り出す際に必要なエネルギー、栄養素とは何か?

それがビタミンB6です。

ビタミンB6はピリドキシンとピリドキサール、ピリドキサミンと、これらのリン酸エステルの総称です。このビタミンの主な役割は、「アミノ基転移反応」です。
アミノ酸が代謝されるときには、アミノ基が外れて炭素骨格が残ります。
これがアミノ基転移反応で、ビタミンB6の誘導体であるピリドキサルリン酸が補酵素として必要になります。 

山本義徳著 『ビタミンのすべて』より

当時、EAAで不調が起こる人はビタミンB6を摂ってください!とどこかのインフルエンサーが言ったのかiHerbでビタミンB6が軒並み売り切れになる事態がありました。それはこういうことなわけです。EAAからNEAAの変換を助ける補酵素がビタミンB6なのです。

実は非必須アミノ酸こそ大事?

となると、実は非必須アミノ酸こそ大事なのでは?という仮説が持ち上がります。私はまさにこの仮説は正しいと感じています。

そもそも、非必須アミノ酸が体内で本当に「非必須」な栄養素であれば体は変換して作り出すような働きを持っていないだろうからです。これはアミノ酸研究で有名な味の素でも同じようなことが言われています。

非必須アミノ酸という呼称は誤解を与えやすいのですが、私たちの生命活動にとってむしろ必須であるからこそ、体内での合成能力が進化の過程で保存されたものとも考えられます。
アミノ酸とは?|味の素 より

また、実は非必須アミノ酸の方が体の体感に影響を与える成分が多いのが実際です。

例えば、グリシン。これは睡眠の質を高めるアミノ酸として有名で、寝る前に飲めばぐっすり眠ることができます。グリシンの名前からとった「グレナ」という睡眠サプリをドラッグストアで見かけた方も多いのでは?

また、チロシンは神経伝達物質の材料となるアミノ酸なので飲めば頭がスッキリして仕事が捗ります。手放せないサプリの一つです。

なんと、東大生が運営する「東大料理愛好会」でもチロシンが紹介されていました!

チロシンはドーパミンをはじめとする神経伝達物質、ノルアドレナリン、アドレナリンといったホルモンの材料となります。ドーパミンは意欲を作ります。アドレナリンはグリコーゲンの分解を促す事で血糖値を上昇させて脳の覚醒レベルを保ち、集中力及び決断力を高めます。ノルアドレナリンにも集中力及び判断力を高める効果があります。
記憶力と集中力UPに・・・チロシン|Z-SQUARE

このような理由から必須アミノ酸だけでなく、非必須アミノ酸にも注目してもらいたいです。


また、EAAの中でも筋トレにフォーカスしたEAAでは分岐鎖アミノ酸(BCAA)が多くなっています。筋トレをしない方がEAAを飲むならそこまで大量のBCAAは必要ありません。WHOが推奨するEAA中のBCAAの割合は48%。

できるだけBCAAの割合の少ない物を選ぶと良いでしょう。

EAAとBCAAの割合

iHerbで購入できるのもとしてはギャスパリのProven EAAが最も良いですね。

※EAA9は定期契約になるし、ベータアラニンが含まれているので、ベータアラニンフラッシュと呼ばれる体が痒くなったり、ピリピリする作用があります。

マイプロテインも8000円くらい買わないと送料が高くなる、トリプトファンが含まれていないなどの観点からオススメしていません。

EAAのメリット

と、ここまでEAAを下げるような内容を書いてきたので、EAAの汚名返上のためにメリットも紹介しておきましょう。

消化吸収が速い

EAAのメリットは何といっても消化吸収が速いこと。飲めばすぐに作用して血中アミノ酸濃度を上げてくれます。

消化の必要がないので胃腸が弱い人でも飲める

EAAとはアミノ酸そのもの。タンパク質はペプチドを経て、アミノ酸として吸収されますが、EAAは消化の必要がありません。そのままダイレクトに吸収されるのです。なので、消化酵素が少ない方や胃腸が弱い方でも気にせずに飲むことができます。


このようにデメリットも多いけど、もちろんメリットも多いEAA。

では、EAAのように消化が楽で、さらに非必須アミノ酸も満遍なく含んだサプリメントがないのでしょうか?


あります。ペプチドです。


ペプチドとは

先ほど、「タンパク質はペプチドを経てアミノ酸として吸収される」と書きました。タンパク質はそのままでは吸収されず、体内でアミノ酸として吸収されるのですね。

タンパク質とアミノ酸の関係を理解するにはレゴブロックを想像していただけるとわかりやすいです。

レゴプロック1つ1つがアミノ酸、それが2つもしくは3つ集まるとペプチド、それがもっと大量に集まるとタンパク質(プロテイン)になります。つまり、分解の過程にしたがって、タンパク質→ペプチド→アミノ酸と名前を変えるのです。中でもアミノ酸が2つ合体したものをジペプチド、3つ合体したものをトリペプチドといいます。

アミノ酸、ペプチド、タンパク質

さきほど、体内ではアミノ酸として吸収されると書きましたが、実はペプチドも吸収される経路があります。これはジペプチドとトリペプチドが吸収経路であり、ペプチドトランスポーターと呼ばれます。アミノ酸の吸収経路はアミノ酸トランスポーターです。

これらの吸収経路の特徴はアミノ酸トランスポーターは1車線道路なのに対し、ペプチドトランスポーターは2、もしくは3車線道路であることです。アミノ酸がレゴブロック1つなので1車線道路で事足りるのに対し、ペプチドは2つもしくは3つ合体しているので2もしくは3車線必要だということです。

さて、1つお気づきになりませんか?

そう、実は吸収効率としてはペプチドの方が上なのです。複数車線の方が物資を効率よく吸収できますよね。また、ジペプチドとトリペプチドはEAAと同じように消化の過程を必要としないので胃腸のもやさしいです。


では、EAAはペプチドより完全に劣るのか?と言われればそうではありません。


EAAのメリットは何といっても吸収が速いこと。つまり、アミノ酸トランスポーターの1車線道路は制限速度が120km/hなのに対し、ペプチドトランスポーターの3車線道路は制限速度は80km/hといったようなイメージです。

ここでいう120km/hに対し80km/hという割合は完全に私の想像であり、もしかすると60km/hかもしれないし、100km/h程度出せるかもしれません。そこに関係してくるのがペプチドの中での分子量です。

アミノ酸トランスポーターとペプチドトランスポーター

ペプチドはアミノ酸が4つ合体したものや5つ合体したものなど、ジペプチド(2つ)とトリペプチド(3つ)以外にも存在しますが、吸収できるのはジペプチドとトリペプチドのみです。つまり、ジペプチドとトリペプチドの割合が少なければ消化のプロセスが発生するので吸収速度が落ちます。

ペプチドがどこまで分解されているか表す指標に分子量があります。分子量が少なければ少ないほどよりジペプチドとトリペプチドの割合が多く、分解が進んでいるという意味になります。そのため、ペプチドを摂取する際は分子量の少ない物を選びましょう。

iHerbではホエイペプチドと言う名前より「加水分解プロテイン」として売られていることが多いです。これはホエイペプチドがホエイプロテインを加水分解して製造されるから。

オススメの加水分解プロテインを以下に挙げます。

ハイドロホエイ

アイソ100


どちらも精度高くホエイプロテインが加工された質の良い加水分解プロテインです。また、味付きなのも良いポイントですね!

加水分解プロテイン(ホエイペプチド)を自作する方法

でも、見ていただければわかるようにEAAほどではないにしても加水分解プロテイン(=ホエイペプチド)って結構高いんですよね。

でも、ご安心ください!

加水分解プロテインを自作する方法をご紹介します!

作り方は簡単。ブロメラインと言う酵素を用います。

ブロメライン


用意するもの 

・ホエイプロテイン

・ブロメライン

・保温タンブラー

・ぬるま湯(40度くらい)


ホエイプロテインは何味でもOK。でも出来上がりは苦くなるのでチョコ味とかがちょうどいいかも)。

オススメのホエイプロテイン

理由はこちらの記事で紹介しています。

保温容器はなくても良いですが、あれば成功率が上がります。コーヒーなどを入れる保温タンブラーでもOKです。


加水分解プロテインの作り方

①保温容器に40度くらいのぬるま湯とホエイプロテイン、ブロメラインを入れる。ブロメラインはカプセルを手でパカっと割って中身の粉だけ入れましょう。


②ホエイプロテインをいつものようにシェイクします。保温容器はコーヒーなどを持ち運ぶ保温タンブラーでもいいですが、これがオススメです。保冷もできるので、プロテインを水筒代わりに持ち運ぶことができます!

断熱プロテインシェイカー

紹介記事はこちら

③シェイクしたホエイプロテインを1~2時間ほど保温します。ここで保温シェイカーの威力が発揮されるわけですが、なければ普通にプラスチックのプロテインシェイカーにタオルなどを巻き付けてしっかり保温できるようにすればOKです。

ここでなぜ保温するかというと、ブロメラインと言う消化酵素は40度くらいで最も良く働くから。これは体温に近い温度ともいうことができ、この消化酵素は体内でも良く働くようになっています。人間の身体ってよくできてますね。

④1~2時間後に少し飲んでみて苦みがあったら成功です!ホエイプロテインは消化酵素によって分解され、ペプチドになっています。


ブロメラインってなにもの?


さてさて、ブロメラインって何者なのでしょうか?

これはパイナップルに含まれるタンパク質の消化酵素です。

酢豚を料理する際にパイナップルを入れるのはパイナップルの消化酵素が豚肉を柔らかくするから。パイナップルはアリかナシかでよく議論が分かれるところですが、ちゃんとした根拠があるわけです。

もちろん、ホエイプロテインをペプチド化する場合はブロメラインを使わなくても市販のパイナップルジュースでもできます。とはいっても、パイナップルジュースの味とプロテインの味が混ざるので、プロテインの味を選ばないと地獄のような味になるかもしれないので要注意!

以前、アンケートを取った際はかなり競りましたが、酢豚の消化吸収を考えたり、胃腸をいたわる場合は酢豚はパイナップルまで食べた方が良さそうです。よっぽど嫌いでない限り食べてくださいね!


さて、今回はEAAのメリット・デメリットを紹介し、それを補うホエイペプチドについて紹介しました。そして、家でも作れるホエイペプチドの作り方を紹介しました。

もしためになったり、参考になったと思われた方はSNS等でのシェア、コメント、スキなどいただけると励みになります。

また、私が運営しているサイトでも様々な情報を紹介しておりますので、併せてご覧ください。

Twitter、line@もやっています。ぜひフォローお願いします!

Twitter:https://twitter.com/supps_jiten

line@:https://lin.ee/f0eUusH


よろしければ以下からサポートをよろしくお願いいたします。今後のサイト運営資金に使用させていただきます↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?