けんざいのおと #4 石の、山の、おっちゃんの話。
建材を調達する時に出会う方々は、建材同様に(それ以上に)魅力的な方々です。今回は、石の山に伺った際に出会った、石の採掘師さんのお話です。
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去年の8月のある日、早朝7時に業者さんと待ち合わせて、車で片道2時間半程度の山に向かいました。採掘している場所で、実際に石を見て、納品するものをどれにするか決める為です。
山に向かうまでの道中も、山なのですが(笑)、
採掘師さんはきっと寡黙な方なんじゃないかなぁと、その山と森林がずっと続く風景を見ていて、なんとなくそう感じました。
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山に到着してみると、想像していた通りの、寡黙なおじさま。ラピュタに出てくるポムじいさんをもっと高身長でスリムにした感じ(伝わりますでしょうか。。)。
50年以上このお仕事をされてきたこと、最近やっている仕事のこと、近くで亡くなってしまった古い仲間のこと、こちらから質問していくうちにぽつりぽつりと教えてくれて、まっすぐな目をして、途中ではにかんで笑うところが何とも魅力的でした。
そのうち、ラグジュアリー層が読むような雑誌をひとつポンと出してきて、これに載ったんだよ、オレの名前は出さないでくれって言ったんだけどさ、載せられちゃったんだ、と困った風に、嬉しそうに話してくれました。
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山では、たくさんの石から選ばせてくれ、高いところに置いてあるものも、パワーショベルでひょいと降ろしてきてくれたり、事務所の裏にあるご自身の貴重な石コレクションをこれでもか、と見せてくれたり。
帰る頃には、大好きな親戚のおっちゃん、のように感じてしまって、またこの方に会いに来たいなぁと思ったのでした。
選んだ石は、京都のあるホテルに、
大きなベンチの台座として使ってもらっています。
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石の、山の、おっちゃんに会う為に、またここの石をどこかのプロジェクトにねじ込みたい、と考えている今日この頃なのです。