[小説] 土日が消えた世界で労働
ちりちりちりちりちりちり!!!!!!
今日も俺の大嫌いなアラームが鳴って起きた。
「ちっ、もう朝か…。もう少し寝かせろよ! ムカつく野郎だぜ…。俺は毎日仕事仕事で疲れてんだよ!」
俺は焦りながら急いで出社の準備をする。だが、俺はここで昨日が金曜日だったことを思い出した。
「あっなーんだ、今日は土曜日だったけか。二度寝二度寝!」
俺は今日は土曜日だったことを思い出して安心し、いつものくせでスマホに通知が来ていないか確認するために電源をつけたスマホ。
「ふんふーん、ん? あれ? 今日月曜日じゃん… 」
俺は何か悪い夢を見ているのかと思いたかったが、 どうやらこれは胸糞悪い現実らしい。
俺は吐きそうになりながら無理やり食パンを胃の中に入れて会社へと向かった。
ガタゴトッ ガタゴトッ
「………………」
月曜日特有の憂鬱な気分で1時間電車に揺られて、会社に着いた。
「うっ、吐きそうだ…」
今日も上司にイビられるのかと思うと朝食べた食パンを腹から戻しそうになる。そしてほどなくして会社に着く。
「君は何度言ったら分かるのかね? いつまでも学生気分でいてもらっちゃ困るんだよ! 同じ新人の松山くんは既に営業成績が1位なのになんで先輩の君は未だにドベなんだよ!」
今日も朝のミーティングで他の人の前で上司にネチネチとした精神攻撃を受けている。
「はい、すいません。」
毎日上司にネチネチとした精神攻撃を受けて俺の心はもうとっくに擦り切れていた。
「松山くんは君を食わせるために働いているんじゃないんだよ! 君は松山くんに食わせてもらって恥ずかしくないのか? いつまで経っても無能なら君は要らないからな? 君みたいな無能の代わりなんて探せばいくらだっているんだからな? 分かってんのか、おい!」
上司のネチネチ精神攻撃は容赦なく続いた。
「はい、すいません。」
もう早く終わってくれよ…。
「無能の君には言いたいことがまだ山のようにあるが、まあ今日はこのぐらいにしておくか。みんな、くれぐれも彼みたいな無様な成績にはならないようにね!」
「・・・・・・」
空気がシーンとしていた。
「おい、みんなどうしたぁ!?ここ笑うところだぞ!」
「アハハ!」
みんなの乾いた笑いが響いた。
「はい、それでは今日も1日よろしくお願いします」
上司が気だるそうにそう言った。
「よろしくお願いしまぁぁぁぁす!」
上司の挨拶のあとに社員がバカみたいな大声で連れて挨拶をした。こうして朝のミーティングは終わった。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。毎回自分は契約直前までは行くのに契約間近というところでいつも上司が違う社員に契約を向かわせるのだ。
下準備から何から何まで全部俺がやっているのにもう本当に気が狂いそうだ。
俺の同僚達が何やら話していた。
「チッ、あの上司話なげぇーんだよ。」
「それな、でも気を付けないと石崎さんみたいに必用以上にイビられるぞ!」
石崎さんとは自分の名前である。
「気を付けねぇーとな。じゃあ俺営業行ってくるわ」
俺も会社の外へ出てとりあえず公園へと向かった。
「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は公園のベンチに座って発狂していた。もういい加減頭がどうにかなってしまいそうだった。
「ママあの人何で叫んでるの?」
「コラ、見ちゃダメよ!もう行くよ。」
本当はもうこんな仕事なんて今すぐにでも辞めたい。でもせっかくいい大学を出て今ここで会社を辞めるのがものすごく怖かった。
今までやってきた努力が全て水の泡になる気がしたからだ。それに自分に期待してくれている周りの人が何て言うかということを考えるとなおさら怖い。
………………………………………………………
「父さん、俺仕事やめるかもしれない…」
俺は気が付くと父親に電話をかけていた。 本当に仕事が死ぬほど辛いからだ。それほどまでに仕事が辞めたいということなのだ。
「お前、いくらなんでも2年で仕事をやめるの早すぎないか? もう少し頑張ってみろ! 男たるもの弱気になるんじゃない!!! とりあえず3年だ! 石の上にも3年という言葉があってだな…(ぶつぶつ)」
今の俺にはその頑張れって言葉が1番辛いんだよ。俺はこんなにも毎日頑張っているのに…。
もう頑張り尽くしたさ。これ以上どう頑張れって言うんだよ。俺が欲しかった言葉はもう頑張らなくていいなんだよ。
「分かったよ父さん。もう少しだけ頑張ってみるよ」
俺はすぐに電話は切った。俺は本当にもうどうにかなってしまいそうだった。
「もう俺は疲れたよ」
俺は訳も分からず涙が出ていた。そしてずっと公園のベンチにうずくまっていた。
俺は今日も仕事がうまくいかずに1日が終わってしまった。俺は不安で眠れないから今日もいつものようにやけ酒をして無理矢理寝ることにした。
すっかりと酒で酔っ払って寝るのが癖になっていたのだ。そして気が付いたらずっと休みなんてものがなかった。
休日出勤も当たり前でいつしか曜日の感覚すらもおかしくなっていた。俺はあとどのくらい生きられるのだろうか?
いっそのこと誰かが殺してくれた方が楽なのかもしれないな。