大全集無視の戦闘力考察⑬~メカフリーザとトランクス~【ドラゴンボール考察】
*題画出典:ドラゴンボール完全版23巻
前回の記事
前提
ドラゴンボール大全集やその他設定資料、アニメ版、劇場版、ゲーム作品、超などの続編作品、鳥山先生の談話等は無視し、原作漫画版の描写のみを正とする。(ただし、作中に判断材料が無い場合は参考に用いる)
基準
全く手も足も出ず瞬殺される場合は1.8倍以上の差があるものとする。
ある程度戦えてはいるが勝ち目が薄いと思われる場合は1.4倍前後の差があるものとする。
メカフリーザとトランクス
悟空に倒されたかに見えたフリーザは生きており、機械の体となって地球に来襲する。
まずメカフリーザは自分の力を以下のように自称していた。
この言葉からすると、メカフリーザは悟空とナメック星で戦った時より強くなっている、ということになるだろう。
そのメカフリーザの気は悟飯たちによって感じ取られていた。
悟飯はフリーザが100%になった際にまだナメック星におり、フリーザの全力もなんとなく知っているはずである。フリーザはその時よりかなり気を抑えた状態で来たと考えてよいだろう。
この後フリーザはトランクスに瞬殺されるが、トランクスの気(戦闘用に気を入れた状態)を感じた悟飯は以下のように発言していた。
「おとうさんとおなじ気」という発言、これが質を意味するのか大きさを意味するのかはわからないが、もし気の大きさがかなり違うのなら、「おとうさんよりもっと大きな気だ!」などの発言になってもおかしくない。
そういった反応をしなかったということは、トランクスの気は悟飯の知る悟空と大きな差は無かったと考えられるだろう。
実際に悟空とトランクスが対峙した際は、悟空のほうが上の印象もある描写となっていた。
これらのことからすると、少なくとも悟空よりトランクスのほうが圧倒的に強いということは無さそうだ。
戦闘描写の矛盾
仮に悟空とトランクスの差が大きくないとした場合、フリーザとの戦闘描写にはかなりの矛盾が発生することになる。
ナメック星でのフリーザは、100%時のごく一瞬に限れば悟空と互角以上だった。そしてメカフリーザはさらにパワーアップしているという。
トランクスが悟空とさほど変わらない戦闘力だとすると、ここまでの瞬殺ができるはずはないのである。
この描写にはいくつかの説が考えられるだろう。
いくつか挙げてみたが、これらの説はいずれも原作描写とは矛盾しないだろう。
どれも正解かもしれないし、どれも間違っているかもしない。正直好みのレベルだと思うのだが、ここではそんな中でも一番しっくり来るものを考えていきたい。
まず①1年間のヤードラット星の生活で大きく力を上げていたについて。
これは可能性はあまり高くないだろう。
瞬間移動を覚える修業や超サイヤ人に自由になれるようにする修業に時間を割いていたこともあり、大幅に強くなる余裕までは無かったと思われる。
次に②ナメック星の悟空は負傷の影響、もしくは不慣れなせいで力を発揮できなかったについて。
これは大いに有り得そうだ。しかし前述のとおり、「おとうさんと同じ気だ」という悟飯の反応から、悟飯の知るナメック星の悟空(=フリーザと互角の悟空)とトランクスに大きな差は無いという考え方もできるため、決定的に可能性が高いわけでは無いと思われる。
次に③メカフリーザは弱くなっていたについて。
これは実はかなりあり得るのではと思われる。
そもそもメカフリーザがパワーアップしていた客観的な証拠は無い。体の大半を失ったフリーザをパワーアップさせるだけの技術が果たしてフリーザ軍にあったのかどうか?
少なくとも部下の使っていたエネルギーガンは大した威力ではなく、技術的な裏付けはあまり無さそうである。
もちろん、後に強力なメカ(人造人間)も登場することだし、不可能とは言いきれない。
ただイメージとして、恐怖政治を敷いていたフリーザ親子に対し、部下は裸の王様的にメカの体は強いと嘘をつかざるをえなかった、という展開は結構しっくりくる気もする。フリーザの力を測れるスカウターは無いだろうし、フリーザ親子は気を読めない。騙すことも容易だっただろう。
最後に④メカフリーザは本気を出す前にやられたについて。
これは劇中の事実として実際そうだったのではないだろうか。
ナメック星でのフリーザは100%になるまでに時間を要していたが、トランクスと戦った際に気合を込める描写は無かった。
(以下フリーザが放った唯一の攻撃)
一応、トランクスは「はじめから全力でかかってくるんだな」と忠告してはいたのだが、フリーザはあまり用心する様子も無く、悟飯が言っていたような”もっともっと(気が)大きくなる”前にやられてしまったのではと思われる。
以上、4つの説を深堀りしてみたが、特にしっくり来そうなのは
③メカフリーザは弱くなっていた
④メカフリーザは本気を出す前にやられた
の2つだろうか。
これらを踏まえ、ここでの結論としては、一部②の影響もありつつ③と④が主要因であると考えたい。
ストーリーとしては、
悟空はヤードラット星で修業し、超サイヤ人のMAXの力を怒りに頼らずに引き出せるようになっていた。そんな悟空と大差ない力を持つトランクス。そしてフリーザは強くなったと思い込まされていただけで実は弱くなっており、さらに油断も重なって本気を出す前にサックリやられてしまった。
こんなところだろうか。
なお、トランクスは戦う前に以下のように発言していた。
「わかっているんだ」という表現からすると、トランクスの未来でもフリーザたちは一瞬で殺されたのだと思われる。
本来の歴史では悟空が瞬間移動で飛んで対処したはずだが、その世界線でも激闘にはならずにサクッと戦いは終わった。
つまり悟空とメカフリーザには大きな差があった(=メカフリーザが弱くなっていた)ことの裏付けになると思われる。
メカフリーザ、トランクスの戦闘力
ここまでを踏まえ、具体的な戦闘力について考えてみたい。
前回考察では「ナメック星での万全ではない悟空の戦闘力」は780万と想定しているが、トランクスはそれと大きく変わらない程度とすると800万程度が妥当だろうか。
前回、万全の悟空は920万と想定しているため、トランクスより悟空が少し上になる。対峙した際の、冷や汗をかきながら「それ以上です・・」と評したトランクスの感想とも一致するだろう。
メカフリーザについては、少なくとも倒された時点では、800万のトランクスと1.8倍差以上になる450万以下だったのは確実だろう。全力については殆ど根拠が無いのだが、ここでは600万程度と想定したい。
うすーーい根拠としては、前々回考察で推定したフリーザの肉体限界を超えない本来の全力(70%)の660万、その力にメカの体は耐えられないと仮定し、それをやや下回る値としての600万である。
コルド大王の戦闘力
最後に、もっと材料の乏しいコルド大王についても考えていきたい。
劇中の事実としては以下の状況となっている。
(気を入れていない)フリーザと同じくらいバカでかい気を持っていた
トランクスに瞬殺された
まず、フリーザはコルド大王を以下のように称していた。
この表現からするとフリーザはコルド大王を戦力としてカウントしていたと考えられる。
そしてフリーザが倒された後も、(一瞬だけ苦い表情はしたものの)全く動じる様子が無かった。
さらにあんまりな負け方をした戦闘ではこの発言である。
剣さえなければ勝てるなんて絶対そんなわけないのだが(そうなら渡すわけがない)、それを信じきっている様子からすると、コルド大王は「フリーザを瞬殺した相手でも素手なら勝てるレベル」、つまり相当に強いのだと思われる。
いや・・、この考え方はコルド大王が本当に「フリーザに勝てた要因は剣が強かったからが100%でトランクスは全く大したことないと思っている真正の阿呆」だったら成り立たないのだが、そこはわからない。
どう捉えるかは好みになるが、個人的には割とその「真正の阿呆」だったような気がしないでもない。そうでもなければあんな不用意に斬りかからないだろう。
以上のことから、大部分が勘になってしまう前提の上で、コルド大王の戦闘力は250万程度と想定したい。
原作外の参考として劇場版ブロリーに登場した際の描写(数十年前に引退してフリーザに軍を譲っている、フリーザは自身を超えると評価している)も頭に入れつつ、ストーリーとしては、
フリーザは一族の天才戦士で戦闘力のコントロールができるため最終形態になれる。しかしコルド大王は戦闘力のコントロールはできないので体も第2形態以降に進化できない。ただそれでも歴戦の戦士なのでフリーザの第2形態より強い。
そんな感じだろうか。
全く根拠のない想像に過ぎないのだが、いずれにせよ原作描写からはどうやっても答えは見つけられないため、ここではこのように決めつけておきたいと思う。
読者の心の中には一人ひとり違う強さのコルド大王が棲んでいるのである。
まとめ
なお、今回はメカフリーザ弱くなっていた説を主に採用したが、他に矛盾の無い考え方としてはこんなものもあるだろう。
ナメック星での悟空は非常に大きく消耗しており、本来の半分の力も出せていなかった。そのため、メカフリーザが強くなっていたとしてもなお、意に介さず瞬殺できた。
かつ、トランクスは悟飯が「おとうさんとおなじ気だ」と発言した際はまだ戦闘用に気を込めておらず、そこからさらに気を上げた。
繰り返しになるが、どの考え方にも客観的な証拠は無いため、どう解釈するかはその人次第になる。それもまたドラゴンボールの深みの一つと言えるだろう。
余談
コルド大王はフリーザ第2形態と同じ姿であることから、最終形態になれるのかどうかが議論の的になることがある。「なれるよ派」は、劇場版でクウラがなれてるからなれるよ、フリーザがやられたのに余裕があったのはそのためだよが根拠になり、「なれないよ派」は、なれるならさすがにこんな無様な負け方はしないよ、劇場版ブロリーでは数十年前から同じ姿だよが根拠になる。本考察ではなれないよ派のほうを採用してみた。
劇中、トランクスが来たことによって悟空の心臓病の発病時期が遅れたが、それはフリーザたちと戦わなかったからだという説がある。確かに19号との戦いでは一気に病状が進行しており、戦わなかったから発病が遅れたというのは筋が通っていそうだ。
悟空の心臓病のウイルスはヤードラット星から悟空が持ち込んだという説がある。もしその特効薬ができた時期が3年後以降だとすると、”人造人間がめちゃくちゃにした世界でもなお優先的に開発されるほど重要な薬”ということになる。つまりどこかのタイミングで悟空起因の心臓病パンデミックが起きていたのかもしれない。
トランクスが現れた前号ジャンプのラストカットはトランクスの足だった。「この絶望的な状況で現れたのは誰?悟空?でも服が違うぞ!新キャラ!?」と、読者は重度の「引き逃げ」にあい、同時に色めきだった。筆者は当時小学生だったのだがクラス中がその話で持ち切りで、金曜にこっそりジャンプを売ってくれる駄菓子屋には行列ができていた。おおらかな時代だったのである。
次回、人造人間19号、20号編へ続く
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