大全集無視の戦闘力考察⑭~人造人間19・20号戦~【ドラゴンボール考察】
*題画出典:ドラゴンボール完全版23巻
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前提
ドラゴンボール大全集やその他設定資料、アニメ版、劇場版、ゲーム作品、超などの続編作品、鳥山先生の談話等は無視し、原作漫画版の描写のみを正とする。(ただし、作中に判断材料が無い場合は参考に用いる)
基準
全く手も足も出ず瞬殺される場合は1.8倍以上の差があるものとする。
ある程度戦えてはいるが勝ち目が薄いと思われる場合は1.4倍前後の差があるものとする。
※後の描写とバランスを取るため、悟空、19号、20号、ピッコロの戦闘力を上方修正しました
3年間の修業で悟空は強くなったのか?
この後の戦闘力を考えるにあたって基準になるのは悟空の戦闘力になる。その悟空はフリーザ戦後、3年間(+ヤードラット1年)の修行期間を挟んでいるのだが、悟空は修業で強くなったのだろうか?まずはそれを考えていきたい。
劇中の描写では、心臓病の影響もあって悟空が強くなったことを示す描写は見当たらないし、本人や周囲の発言に示唆するものも無い。悟空が強くなったかどうかは不明と言って良いはずである。
描写からわからない以上は想像するしか無いのだが、本稿としては、悟空はフリーザ戦以後、強くなっていないと考えて進めていきたいと思う。
その根拠としては、悟空は心臓病から目覚めてすぐに「超サイヤ人の上を目指す」と発言している描写が挙げられる。
この発言は夢の中でベジータの以下の発言を聞いてのものと思われるが、
この「超サイヤ人を超える」という概念は、トランクスが「考えもつかなかった」と発言しているなど、結構突拍子も無い発想だったようである。
しかし悟空はこの言葉に対して違和感を抱かず、すんなり腹落ちしている様子が見て取れた。つまり自身も既に超サイヤ人の壁に当たっていることを実感していた可能性が高いだろう。
そうすると、その壁に当たったのがいつなのかという話になるのだが、それは修行中かもしれないし、フリーザ戦での覚醒時に既にそうだったのかもしれない。
これも想像するしかないのだが、セル戦悟飯は怒りによってその後の青年悟飯がたどり着けない高みに達していたということを考慮すると、フリーザ戦の怒りの悟空が同じ状態だったとしてもおかしくはない。
つまり、フリーザ戦の悟空は既に超サイヤ人の限界値まで到達しており、以後の3年は”怒りに頼らずその高みに到達するための修行”に留まっていた、という解釈もできるのである。
もちろん異論はある。その気になれば短期間で何倍にも強くなる悟空が3年間で成長していないはずはない、という考えはもっともだし、トランクスの戦いを見ている天津飯が19号戦の悟空に驚いている描写から、悟空が3年前当時より強くなっていないとおかしい、という考え方にも一理ある。悟空が強くなっていたと仮定しても、原作描写とは矛盾しないのである。
正直なところ筆者もかなり迷ったのだが、ただそう結論付けた最後の決め手として、なんとなく鳥山先生は悟空がフリーザ戦から成長した前提で描いていないような気がしたのである。
これは明確な根拠があるわけではないが、例えば会話の中で「大丈夫だ悟飯、オラたちも3年前よりずいぶん強くなっただろ?」みたいな言葉を入れれば簡単に修行の成果を表現できたはずなのに、そうったやりとりが無かった。つまり、先生は悟空の修行の成果をあえて示唆しなかったように思えたのである。
残念ながらそれが事実かどうかはもう永遠にわからないのだが、本稿ではその直感を含め、この後の考察は悟空は強くなっていない前提で進めさせていただければ幸いである。
人造人間19号と悟空の戦闘力
さて、ではここからは物語を追いながら具体的な戦闘力を考えていきたい。
トランクスとの出会いから3年後、悟空たちは人造人間との戦いに赴く。まず最初に戦ったのは人造人間19号と悟空になる。
悟空は超サイヤ人に変身、天津飯はその姿を見て以下のように反応していた。
続いて20号は以下のように評している。
この描写からすると、19号と20号は「天津飯が驚愕するレベルの超サイヤ人に対し、1対1で勝てる程度の強さは持っている」と考えられるだろう。
しかしその余裕とは裏腹に、実際の戦闘で19号は悟空に手も足も出なかった。(一度の攻撃も当たっていない)
20号も以下のように評価を覆している。
この描写からすると、悟空は”変身当初から戦闘に移行する際にさらに気を上げた”ということになる。
そして、同時に20号は”エネルギーを吸収することによる19号のパワーアップも見込んだ上で、勝てると判断していた”とも捉えられる。
まとめると、19号は変身直後の悟空にはエネルギーを吸収さえできれば勝てる範囲だが、気を高めた悟空には吸収する暇も無く圧倒される程度の強さと推測できそうだ。
そんな19号を圧倒する悟空に対し、ピッコロと悟飯は怪訝な表情を浮かべていた。
ピッコロはナメック星での戦いは見ていないが、3年間の修行中に悟空の力を把握していたはずである。(※劇中には登場しないが、表紙で超サイヤ人状態で3人で修業している様子が描かれている。)
このピッコロの言い方からすると、悟空は本来の力の7割8割よりももっと下、5割6割くらいしか出ていないような印象がある。ただ飛んできただけで息を切らす描写も含め、この時点でもう相当に気が減っていたと考えて良いだろう。
前々回考察で万全の状態の超サイヤ人悟空の戦闘力は920万と推測しているが、その5割超しか出ていないすると、この時の悟空は500万程度になる。
そしてその悟空に対して全く手も足も出なかった19号は、瞬殺基準の下、1.6倍差の310万程度が妥当だろうか。
19号は圧倒されながらも相当数の攻撃に耐えてはいるのだが、それは痛みも疲れも感じない人造人間の特性と、徐々に悟空の力が弱まっていったことによるものと考えておきたい。
その後19号はかめはめ波を吸収、心臓病が悪化する悟空を圧倒し返す。
このかめはめ波は溜めなく空中から地上に向かって打っており、全力というわけでは無さそうだった。(手加減しないと地球が壊れてしまうことだし)
であれば、吸収した19号の強化幅はそこまで劇的に、というほどではないと思われる。
20号は「最大パワー値をグンと上げた」という表現をしているため一定の幅はあったはずだが、悟空をボコボコにできる値まで上昇したかというとそこまでではないのではないか。
こちらも悟空が圧倒されたのは吸収の影響以上に病状悪化の影響が大きかったと考えたい。
結論として、かめはめ波吸収は+140万として450万、さらに悟空から直接吸収した分を+30万と考え、ここでは19号の最終戦闘力は480万程度と推測したい。
悟空からの吸収分については、既にかなり弱って超サイヤ人が解けていたため、そこまで吸い取れるほどの気は無かったという想定になる。
ちなみに、フリーザ戦での戦闘力は本稿基準でベジータが180万、ピッコロが135万になるため、もし3年間を安穏と過ごしていたら、310万の初期19号ですら敵う相手では無かっただろう。
19号の値はピッコロやベジータが”噂の人造人間”と勘違いしてもおかしくない程度の強さと言ってよいはずである。
超サイヤ人ベジータの戦闘力
ピンチに現れたベジータは驚きの超サイヤ人に変身する。(今となっては変身できて当然なのだが、リアタイ当時はかなり衝撃的だったのだ)
ベジータが19号から受けた攻撃はわざと顔面に食らった1発のみ、格闘の応酬すら許さずに19号を大圧倒する。
その戦いを見たピッコロは以下のように評していた。
このピッコロの評価はベジータの戦いのセンス(態度)を含めた評価ではあるが、悟空の力をよく知るピッコロの言葉であり信頼性は高いだろう。
ただし、ピッコロの表現はあくまで「かもしれん」「ようだ」と推測に留まっており、はっきり悟空より強いと言えるほどまでの大きな差では無かったと思われる。
前々回考察で推測した、万全の悟空(920万)よりわずかに上とすると、超サイヤ人ベジータの戦闘力は1000万程度だろうか。ついに大台突破である。
なお19号とベジータを比較すると約1.9倍差となり、瞬殺基準(1.8倍)をやや上回る差となる。感触的にベジータは19号を瞬殺できなかったのではなく、しなかった(力や戦法を見極めつつ趣味の舐めプもしていた)と思われるため、差としては妥当なところだろう。
人造人間20号の戦闘力
ベジータの力を目の当たりにした20号は研究所への退却を決意、追ってきたピッコロと戦闘になる。
20号は以下のように発言していたことから、元々は19号より力は上と思われる。
そして20号は戦いの前に2度、エネルギーの吸収によって力を上げている。この2度の吸収はどのくらい影響があったのだろうか?
まず1度目のベジータのエネルギー弾については、これはあくまで地形を破壊してあぶり出すために放ったものであり、相手を倒すようなものではなかったため、19号のかめはめ波ほどの強化には繋がらなかったと思われる。
また、2度目のピッコロからの吸収についても「エネルギーは残りわずか」までかなり吸収したのだが、それは後に「気を爆発させる前のしれたもの」でしかなかったと言及されているため、こちらも大幅なパワーアップでは無かっただろう。
ちなみに20号は以下のように発言しているのだが、
その後の描写を考慮すると、全員から吸収してもベジータを超えられるとはとても思えない。(最大限気を高めたピッコロから吸えればいけるかもだが、20号はこの時点ではピッコロの実力を知らなかった)
恐らく、この頃の戦士たちは戦闘前に気合を込めて気を上げた後、攻撃に移る一瞬に更に気を上げるという戦い方をしており、それを人造人間のセンサーは拾うことができなかったため、見込み違いを繰り返したのだと思われる。
さて、20号についてのここまでの描写をまとめると以下になる。
19号(吸収前310万)より元々力は上
2度の吸収を経ているが、いずれもそこまで大きなパワーアップにはなっていない
ベジータ(1000万)にはとても敵わない
吸収については、先ほど19号は+170万と推測したが、20号はそれよりかなり少なめの+80万程度だろうか。ベジータのエネルギー波吸収で+50万、ピッコロから吸収で+30万程度という想定である。ピッコロは戦闘モードでは無いところを不意打ちで吸収されたため、吸収幅はかなり小さかったはずである。
そしてそこに元々19号より強いという自己申告も考慮して合計すると、20号の戦闘力は450万程度だろうか。
元の戦闘力は19号(310万)より2割上として370万程度、そこから吸収の+80万で450万という計算である。
かめはめ波吸収後の19号より低くなったが、20号自身も19号に対して「最大パワー値をグンと上げた」「よくばりめ」という表現をしているため、自身より強くなっていることは認めていると考えて良いだろう。
ピッコロの戦闘力
エネルギーを吸収されたピッコロは仙豆で回復、1対1の戦闘で20号を圧倒する。
この戦いは視点がピッコロとトランクスで行き来するため全ての攻防は描写されていないのだが、描写中でピッコロは20号に一度も攻撃を許さず、自分の攻撃は何度も20号を吹き飛ばすほどの圧勝だった。
ブルマが来なければ確実に倒しきっていたはずで、(舐めプをしないピッコロの性格もあるが)全く隙無しの大圧倒と言えるだろう。
ただし、20号は3発の蹴り、肘打ち+手刀で右手切断+地面に叩きつけをくらっても逃げる素早さは失われておらず、機械の体とはいえそこまで深刻なダメージには至らなかった。圧倒はするが簡単に倒せるほどでは無い差とすると、1.5倍差くらいが妥当だろうか。
20号とピッコロを1.5倍差とすると、ピッコロの戦闘力は670万となる。
これは強い・・!670万は前々回考察の10倍界王拳悟空を易易と超え、フリーザ70%すら上回る数字になる。まさに超サイヤ人級と言って良いだろう。
以前の考察で”ピッコロは元々悟空より気のコントロールセンスが上だった”と推測しているのだが、そんなピッコロにとって、”気のコントロールイノベーター”である悟空との修業はめちゃくちゃに効果的だったのかもしれない。
まとめ
今回はやはりピッコロが衝撃的な強さである。さすがに超サイヤ人ベジータには及ばないものの、ナメック星時から考えると実に5倍以上のパワーアップになる。界王拳に換算すればきっと20倍以上の気の爆発になるだろう。
ピッコロは超サイヤ人悟空の戦いを見た際に「あのザマはなんだ」と発言していたが、ピッコロの性格上、自分より強い相手を貶す発言はしないだろうと考えると、”あのザマの超サイヤ人”より強い670万という数字は妥当かもしれない。
余談
ビッグバンアタックは血管を浮き上がらせるほど力を入れた溜めを伴って空中から地上に放たれた技だが、そこそこ地形を変える程度の威力にしかならなかった。本来ならそんなもので済むはずはないので、やはりベジータは本当にかなり気を奪われていたのだろう。
その気を奪われたベジータはピッコロに「このまま戦っていれば(20号に)負けていたはずだ」と言及されていたのだが、ベジータの戦闘力が20号以下になるには実に7割近い気を吸収されなければいけないし、そうすると19号の戦闘力は1200万以上になっていないといけない計算になる。本当にそうならビッグバンアタックは無傷だったはずなので、恐らく気の吸収は全て人造人間に上乗せされるわけではなく、変換の過程でそれなりのロスがあるのだと思われる。
20号がナメック星の戦いをウォッチしていなかった(できなかった)のは仕方ないが、修業中の悟空たちをウォッチしなかったのは何故なのか?自分自身を改造していて気が回らなかったのか、それともただ甘く見ていたのか。しかし仮に甘く見ていたとしても20号を責めることはできない。なにせ20号は倒すために必要な見込みスペックの100倍以上の戦力を用意していたのである。なのに悟空たちは500倍強くなっていたというあまりにもな理不尽。合掌である。
次回、17号、18号、初期セル戦へ続く・・・