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未完の大器が花開くとき 「企業のお医者さん」を読んで

著者は福島太郎さん 
kindle作家さんであり、R6ジチタイワークスWEB版に記事を執筆をされている方です。なんと7月9日に新作として投稿され、私はびっくりしました。確か締め切りが23日です。でも福島さんの筆力をもってしたら、それはたやすいことだと
すぐに思い直しました。

私がノートを始めたのは、約8ヶ月前。まるで真っ暗な海にたった一人、小舟で
漕ぎ出したような気持ちでした。出発したものの、対岸の明かりも見えず、どこに向かっていいのかもわかりません。そんな時、私の投稿に初めてスキをつけてくださったのが福島太郎さんでした。その後も私の記事にコメントや応援をいただいており、大変ありがたく感じております。

さて、今回の作品は
病いによって自由な職業選択ができない中、常に希望を持ち続け、ついに企業のお医者さん〜公認会計士〜となった山部久志の物語

この物語の根底に流れるテーマを、私は次のように考えました。
○郡山を愛し、その歴史に思いをはせ、今後の更なる発展を願っている。
○名もなき偉人たちの『高い志とたゆまぬ努力』を書き留めることで、
風化させない。

もともとは、医師を目指していた山部久志氏が、様々な人との出会いを通して
公認会計士となります。その物語が当時の時代背景とともに、丁寧に描かれて
いる作品です。

お仕事小説として、どこか淡々とした書きぶりも垣間見られます。しかし、
福島太郎さんらしい表現として、その温かさと深い洞察力がよくわかる2つの
場面を紹介します。

郡山商工会議所の大泉専務との出会い

まだ公認会計士として、実績のない久志を商工会議所の監査として迎えるかどうか判断するために会計事務所に足を運んだ大泉専務。
初め、久志の若さと事務所の簡素さから適任ではないと考えました。
でも、その人となりを知り、候補者にする決断をします。
     
    *    *    *    * 

何も実績もないが、力を秘めている若い人材を見い出す、確かな目を持った大泉
専務に、いつの間にか久志を応援しながら読み進めている読者はほっとします。

経営者特有の孤独を理解する「企業のお医者さん」としての山部久志

経営に携わるものは、周囲に与える影響力の大きさから、誰にも弱みを見せられない辛さを抱えています。それを福島さんは「空飛ぶ鳥の気持ちについて、地を駆ける獣は理解できない」と表現されています。

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なんと美しい表現なんでしょう。
公認会計士の久志は、これまでの苦労によって経営者の不安も理解し、
サラリーマンとの意識とのピースを埋める役割も担っていきます。

郡山行きの列車で隣りの席に偶然座った山口と島田から始まるこの物語は、
バタフライエフェクト【一人ひとりのささやかな営みが、時空を越えて大きな出来事を引き起こすことがある】を示しています。

私の若い頃は、経験不足であっても、どこか大目にに見てもらえる風潮がまだ、残っていました。先輩や周りの人に助けられて、私は長年仕事を続けることができたのです。

今の時代は、年齢に関係なく、即戦力が求められる厳しい時代ともいえます。
この物語を通じて、これからは我が身のことだけでなく、若い人のために
できる形で何かやっていかなければと気づかされました。

まだ読んでいらっしゃらない方、次々と降りかかる試練を乗り越え、「企業のお医者さん」として生きる選択をした1人の公認会計士の話をぜひお読みください。



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