絵本探究ゼミ第2期「科学絵本とファンタジー絵本」
第3回 絵本探求ゼミ
東洋大学准教授竹内美紀先生から学んでいる。
2期はオンライン4回、5回目の最終回は北海道でのリアルゼミになる。
第3回のゼミでは科学絵本のまとめとファンタジー絵本についての講義があった。
科学絵本の奥深さを感じて
日常に何気なく目にしたり、触れたり、感じたり、科学は身近にあると今回の絵本探求ゼミの講義からあらためて感じている。子どもにとっては発見や感動が遊びにつながったり、もっと知りたい気持ちを掻き立て、調べ学習につながったり、そこに、図鑑や科学絵本があることがどんなにか子どもたちの驚きや発見をさらに豊かに、探求心に変化させていくのか興味深い。また、大人も科学絵本に出会うことは、今までの経験と重ねてよみがえる感動、大人になって知る喜び、昔の記憶のアップデートができて面白いと思った。
グループデスカッション
「科学絵本」より
・科学絵本と図鑑について
科学絵本で興味を持ったことや実際に見たもの触れたもの、体験したことをもっと詳しく知りたい時に調べられるように、科学絵本と関連して開くことができる図鑑を用意しておくこと、参考に子どもや保護者さんに案内ができると、なぜ?どうして?の答えが見つかったり理解が深まる。
・絵本を見て興味が湧くこと、きれいだな、こんな風にも見えるんだ、色々な視点からみられると面白い。
・自分の身近なこと、食べているもののルーツを知る。
今回グループであがった科学絵本
『いちご』
新宮晋/作・絵 文化出版局 1975年
『じんべいざめ』
新宮晋/作・絵 文化出版局 2013年
『たいせつなぎゅうにゅう』
キッチンミノル/作 白泉社 2021年
『シマウマしましまなぜあるの?』
リラ・プラップ/作・絵 松田素子/訳 アノニマ・スタジオ2008年
『は、にげる!』
東京ハイジ/作・絵
(東京ハイジとロッテとのコラボ絵本)
科学絵本は・・・
絵とことばの組み合わせにより、ページをめくって展開していく。「絵本」の性格も兼ね備えていなくてはならない。
ミッキー先生の講義の中で科学絵本の概念がはっきりとして、また、図鑑との違いを改めて知ることで自然や生き物、道具、身近な出会いに合った絵本を開くことで、探求心を目覚めさせたり、知識を得たり感動につながることを、実感できた。
幼児と科学絵本のふれあい
おはなし会やブックスタートで実際に子どもに絵本を読んでいる中、講義で学んだことからあらためて科学絵本を身近に感じた。
[おはなし会]
「うちの子はこの絵本がとにかく大好きで。」とあるお母さまが1冊の絵本を教えてくれました。
お母さまはお子さん(2歳)が、この絵本を選んで何度も「よんで」と持ってくるのが意外だったようですが、お子さんは私にもお気に入りのページを見せて「いーっぱい!」と教えてくれました。
畑、八百屋さん、スーパーマーケットなど本物の豆を見る機会があったら、お子さん一緒に絵本とおんなじを見つけてくださいねとお話しました。
「科学絵本は絵とことばの組み合わせにより、ページをめくって展開していく「絵本」の性格を持つということ」(ミッキー先生の講義より)お子さんは、お母さんに読んでもらっている時、もうすぐ自分の好きな豆がいっぱい出てくるページだと楽しみに待っているのだと思う。絵に言葉がついていることで自分のお気に入りのページが出てくるまで、そして出てくる瞬間が嬉しいのだと思う。また、絵本を読んでもらっている時は、子どもの目の前に豆が本物のように並んでいるのだと思う。
[ブックスタート、幼稚園]
最初のページに大きく描かれたすいかに思わず声を上げそうになる絵本。写実的な画法で本物のように果物が描かれている『くだもの』この絵本は丸ごとのくだものが描かれページをめくると食べやすくされたくだものが「さあ、どうぞ」と差し出される。夏に食べるスイカから始まり、秋、冬、春、と旬のくだものが続く。
春夏秋冬ことばでは表されていないのだが、旬のくだものから四季を感じる。
そして、最後のバナナを食べる場面では、自分で皮をむく、成長を表し時間の経過を感じることもできる。
ブックスタートで届けている絵本で赤ちゃんとお母さんに読み聞かせをして手渡す。じーっと絵を見入る赤ちゃん、おいしそうだね~というお母さんの声に、にこっとする赤ちゃん。ページをめくると見えるくだものにお母さんも笑顔になり、「あ、いちごだね」と赤ちゃんに声をかけたりしている。思わずことばが出てくる絵本だ。
子ども園でのおはなし会でも読んでいる。1歳前後でもぐもぐ口を動かしてと食べるしぐさをする子ども、月齢が進むと手を出して絵本の中のくだものを触ってもぐもぐ食べたり、「ああ、おいしかった」とつぶやく子どももいる。
科学絵本の要素を持っていると思った絵本のうちの1冊だ。
絵本の分類について(講義より)
科学絵本かどうか、分類したくなるがはっきりとは決められない。
その要素を持っているかを見ることである。
科学絵本の要素を持っているか?
子どもが幼い時期から科学絵本に触れる機会を大事にしたいと思う。
絵本を見て、おいしそう、これはどうやってできるのかな、さわってみたい、あついかな?つめたいかな?、この虫見たよ、このお花を見に行こう、子どもと会話をしながら開く絵本に「これ、なんだろう?」が詰まっている。
絵本で出会ったものに「わー、すごい!」と思わず声が上がる先に、本物に出会う感動がある。
何がその子の心に留まるのかはそれぞれ違いがあるが、絵本を開いて出会えることが、小さなことでも、はっとした気づきがあれば、その子にとって貴重な時、そして次へ。実際に見たり触れたり、体験につながると思う。
だからこそ、絵本の選書に心を配りたいと思う。
科学絵本の制作過程に触れて
月刊「かがくのとも」シリーズから
原画を観る機会があった。
自然の力強さを表現した切り絵に感動した。
科学絵本は本物に出会うきっかけにもなると思う。
菅原久夫さんの文を読み、厳しい自然の中で根を張るカラマツ、富士山で生きる逞しさをことばで表現された絵本の中にカラマツのドラマを感じる。
菅原さんは、学生の頃に富士山に出会い、富士山の植生や植物に魅せられ、山懐を歩き、山頂を目指し、その都度、新しいことに気づかされ、驚かされ「自然から学ぶ」ことの大切さと面白さに今も通い続けているそうだ。
科学絵本が子どもたちだけでなく大人にも感動を与えるのは、作り手の本物を知る目、研究、経験があってこそ伝わるのだと思った。
子どもたちの「これなんだろう」に応えてくれる、ただのセンスオブワンダー、ただの知識を伝えるのではなく、わかりやすくストーリーを伝える。生きていてよかったなあと感じられる力を持った絵本。
子どもたちの可能性を開いていくものをピックアップしていく。
(ミッキー先生の講義より)
科学絵本で地球の歴史を知り、壮大なストーリーを感じ博物館にも行ってみたいと思うきっかけにもなる。未来を想像し自分自身が主人公になれる。ことばに希望を持つことができる。
ページをめくって展開していき絵本の性格を持つ、以前に学んだ絵本のタイポグラフィーなどの技法も入り何度も細かなところまで絵を見て発見がある。
ファンタジー絵本の講義より
目に見えないものだから目に見えないもの見えるようにすること。
時間という目に見えないものを絵で表現する。
太陽や月の動きで時間が目に見えるようにした。
グループディスカッション
「ファンタジー絵本」より
私が紹介した絵本
女の子がお兄ちゃんを後を追い生垣の穴から出たところは広い森。
その森で女の子は葉っぱをまとった不思議な男の子に会い森の動物たちとかくれんぼを
することになる。
女の子と一緒に森に迷い込んだような気持ちになって木や草むらに隠れている
動物を探したくなる物語。
白い枠の中に描かれている。ファンタジーの中を謎着込んでいる感覚にもなる。
女の子が現実の世界から、不思議な森へ入り遊んで戻ってくる、行って帰る物語。
今回グループであがったファンタジー絵本
『だれのパンツ?』シゲリカツヒコ/作 KADOKAWA 2019年
『まあちゃんのながいかみ』 たかどのほうこ/作 福音館書店1995年
『ほんやねこ』石川えりこ/作 講談社2021年
ファンタジー絵本の基本概念
「ファンタジー」ということばの原義は、もともとギリシア語で「目に見えるようにすること」する。逆にいえば、本来目に見えないものを、見えるように描くのがファンタジーということになる。
ファンタジーを広義にとらえ、神話や妖精物語などを含む場合もあるが、ここでは、近代児童文学の世界で確立されたジャンルのひとつとして、個人の作家によって書かれた超自然的なあるいは非現実的な要素を含む物語を指す。
『ベーシック絵本入門』ミネルヴァ書房
第4章 絵本の種類(1)物語絵本 ファンタジー絵本/竹内美紀
ファンタジー絵本
・動物の世界を擬人化したもの
・おもちゃをだいじあとしたもの
・妖精など超人的な生き物がでてきたもの
・この世ともう一つの世界が混じるもの
ファンタジーのタイプ
1)訪問型・・・現実世界の人が非現実世界へ行き不思議な体験をする。
2)来訪型・・・非現実世界の住人が現実世界へやってくる。
3)ハイファンタジー(現実世界)
ファンタジー絵本に出会い、その物語の中に入り主人公になって体験できることは、新しい世界への扉が開くことに繋がると思う。次回までの課題に取り組みながら、ファンタジー絵本を考えていく。