本屋さんで本を買う
今日は久しぶりに吉祥寺の「百年」という本屋さんに行った。古本屋さんだが、新本ありどれもこだわりを感じるセレクトだと思う。「大きな声での会話はご遠慮ください」的な案内文があり、初めて行った時はちょっと緊張した記憶がある。そこに訪れる人は皆、本が好きで文学に詳しく通に見える。独特の雰囲気がすでに店の扉から感じ、扉を開けるときには「入っていいよね。。。」とちょっと気後れしてしまう。いわゆる大きな書店では見かけたことのない本が平積みされ、図書館で本を借りているし今は村上春樹の新刊もあって読むものは手元にあるのだけれど、他では見つけられない、意外な本に出会いたく、ここを久しぶりに訪れたのだった。
気になる本はたくさんあったけど、本日買ったのはこの2冊。餅井アンナさん「へんしん不要」と牟田都子さん「文にあたる」。餅井アンナさん「へんしん不要」から読み始めたのだが、面白くて一気読み。ライターである餅井さんの手紙形式のエッセイなのだが、情緒不安定気味、低空飛行、うつ状態の著者のやわらかい文章がとっても心地よい。一進一退のような日々について正直に目に見えるように綴られていて、その内容は著者が苦しんでいたり起き上がれない日々について書いているんだけれども、著者の文章の巧さがそうさせるのか、決して辛いとか暗いとかそういうものではなく、「たくましさ」を感じた。強い弱いで言ったら、きっと弱いにあたるんだと思うが、わたしは、力強さと逞しさを感じたのだ。自分を知って、生きる術を探ることの大切さ。自分は自分。突然自分にチャンスや転機になることが起きたり、そのとき心身ともに体力があったりするんだなと、明るい気持ちになった。
餅井アンナ「へんしん不要」 おすすめです。
「文にあたる」は校正のお仕事をしている牟田都子さんの本やお仕事にまつわる想いが詰まった一冊。これは読み始めたところ。これもまた今のところ新しい世界を垣間見た気がして面白い。
本屋さん「百年」には、又吉直樹が「百年」に向けて贈った文章が飾ってある。原稿用紙に自筆で綴られたその文章は、ユーモアがあり本屋さんへの愛が詰まっていた。機会があればたくさんの人に見てもらいたい。コロナ禍では、たくさんのお店が閉店していった。飲食店でいくつか好きな店舗が閉店したとき、好きなお店にはちゃんと行って利用しないといけない!と思った。本はアマゾンでも買える。ネットでポチッと簡単に。抗がん剤治療中は出かける元気と体力がなくて本当に助けられた。が、今は買い物に行ける。本は好きな本屋さんで買う。好きな本屋さんには本に出会いに行く。今日、久しぶりに「百年」を訪れ改めてそう思った。また行こう。
見出し写真はわたしの小銭入れ。「百年」の店員さんに「可愛いですね」と突っ込まれた。てへへ。ありがとうございます。存在感ありまくりだから、カバンの中で迷子になることがありません。
しかし、なんでこんな急に本が読みたくて本に癒されるようになったんだろう。確かに子供の頃から本は好きだったけど、こんなに毎日読んだり鞄に必ず本を忍ばせてないと落ち着かないくらいではなかった。大腸がんになって入院したあたりから本をまた読み出した。うつ状態になってからは、仕事帰りに毎日喫茶店に寄って1時間ほど読書して気持ちを癒していた。休職中の今は、貪るように読んでいる。本に助けられている。ありがたい存在だなあ。
さて。明日は月曜日。明日もまたたっぷり本を読むぞ。
おやすみなさい。