3月鑑賞映画まとめ ガイ・リッチーやハイキュー!!など
4月半ばを過ぎてしまったけれど、3月鑑賞映画の感想です。
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 監督:タイカ・ワイティティ
2024.3.1鑑賞
世界最弱と言われた米領サモアサッカーチームがワールドカップ予選で奇跡を起こす!
過去にドキュメンタリー映画化されたことのある実話を「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ監督が、ハッピーマインド全開で描いた作品。
まず、恥ずかしながら今作を鑑賞するまで「サモア」が二つ存在することを知らなかった(この映画の舞台となるのは「米領サモア」、もう一つが「サモア独立国」。二つは隣国ではあるが別の国)!
この米領サモアにやってくるのが、暴れん坊すぎてアメリカのサッカーチームを追われた監督トーマス・ロンゲン。
2001年のワールドカップ予選で「0対31」という歴史的記録を作った米領サモア。
とにかく1ゴールを決めたい!と鬼監督とほのぼのチームが次第に心を通わせ歩み寄って絆を深める。
ストーリーはわかりやすくシンプル。そしてサモアの人々のハッピー精神炸裂!
鬱陶しいポジティブの押し付けは感じない。「幸せでいることが大事」とシンプルで真っ直ぐな太陽のような明るさ。
「ジョジョ・ラビット」に比べると題材の重さもあると思うが、かなりライト。
大作感は薄いが、軽妙で爽やか!
私はサッカーに全く詳しくないが、それでも楽しめる。というか練習風景はあるが、肝心の試合シーンはかなり省略されている。
鬼監督役のマイケル・ファスベンダーにコメディーの印象がなかったのでびっくりした!
世界最下位のサッカーチーム、あまりにも違う文化と価値観、娯楽の少なさにイライラしながらも、選手たちの影響を受けて徐々に軟らかな心に変化する姿に、自然と笑みが溢れる。
タイカ・ワイティティ監督のラストメッセージも好感持てる。
明るい気持ちになりたいとき、ぜひお勧めしたい。
多くの人が見やすく嫌な気持ちになる人は少ないと思う。
タイカ監督の次回作も見たい!と思わせてくれた作品。
2 コヴェナント/約束の救出 監督:ガイ・リッチー
2024.3.6鑑賞
タリバンが隠し持つ爆弾や工場を探す部隊の曹長ジョン・キンリー(ジェイク・ギレンホール)と、一癖あるが優秀なアフガン人通訳者のアーメッド(ダール・サリム) の絆の物語。
アフガニスタンに限らず、戦争・紛争渦中の通訳者って非常に危険で綱渡りな立場にいること多いんだろう。
監督は、アフガニスタン問題とアフガン人通訳のドキュメンタリーを基に、今作をフィクションとして完成させたそう。
大好きなジェイク・ギレンホールが主演でガイ・リッチー監督作品ということで、期待が高まっていた作品。
これ、ガイ・リッチーだよね?!っていうくらいガイ・リッチーを感じなかった。
それが悪いというわけではなくて、いつもの洒落感や軽妙だったりシニカルでユーモアのある会話で楽しむ場面はほぼ無し!シリアスでアクション満載。心臓がバクバクして眉間に皺寄りっぱなし。ハラハラしすぎて鑑賞中飲み物飲むタイミングを失っていた。
いやー、なんということだ。
アフガニスタン問題の現状について考えさせられた。
いつもキレ演技が凄まじいジェイク。今回も思いっきりキレててちょっと笑った。ファンとしては満足。アフガン人通訳者アーメッド役のダール・サリムさんのフェイスが可愛らしくて、つい応援したくなる。
劇場でこの緊張感を体験できて満足。緊張感が続くので心臓に悪いが、面白かった。
3 落下の解剖学 監督:ジュスティーヌ・トリエ
2024.3.21鑑賞
息子は飼い犬と散歩へ、妻在宅中のひと時に夫が二階から転落死。
果たして自殺?事故死?他殺?
夫の死の真相を巡り、徐々に明らかになっていく夫婦関係。
次第に向けられる妻への疑いの目。真実は一体どこにあるのか。
第96回アカデミー賞脚本賞受賞作品。納得の脚本!頭が疲れている時にはあまりお勧めしないかも。じっくりどっぷり浸かって頭をフル回転させ、五感を研ぎ澄ませて見てほしい。
ただ「白黒はっきりつけてほしい」「モヤモヤしたまま終わるのが苦手」という人にはあまりお勧めしません。
夫を亡くした妻でありベストセラー作家の主人公サンドラ。彼女の演技が素晴らしい。一見クールに見えて、少しずつ現れてくる感情の動きに目が離せない。
法廷で晒される夫婦の関係は、気付かぬうちに息を潜めて見ていた。
会話劇なので演技がめちゃ重要。主人公も息子、弁護士も皆とても上手い。
法廷で明かされる両親の知らなかった一面に、激しく揺れる幼い息子が気の毒。
また、飼っている犬の名演技もすごい!
見終わった後、誰かと感想を言い合いたくなる作品。
あたり一面真っ白な雪と温かみのある山荘の対比や、妻の冷静努めて振る舞うクールな性格と徐々に不安定になっていく息子や妻自身。
法廷でこれでもかと詰め寄られる妻の姿など、ハラハラしながら見た。
面白い。
これはもう一回みたいなと思う作品。
ラストシーンは終わったという安堵感と、これからまた何かが起こるのではという不穏感のミックスでそこも良かった。
おすすめしたい。
4 コットンテール 監督:パトリック・ディキンソン
2024.3.22鑑賞
妻が闘病の末亡くなり、夫は手紙で妻の最期の願いを知る。それはイギリスのウィンダミア湖に遺灰を撒いてほしいというもの。不器用にしか生きられなかった夫は、それまで深く関係を結んでこなかった息子家族と共に、妻の願いのためイギリスへと旅立つ。
妻役木村多江の演技を劇場で久しぶりに観た。病が進行していく様子や末期の演技に胸を打たれ、個人的にはこの作品の良さに大きく影響していると思う。
正直な感想は、木村多江の演技が無ければもっと私の評価は下がっていたなと思う。
夫役のリリー・フランキーも息子役の錦戸亮も好きなのだけれど、脚本のせいなのかいまいち乗り切れなかった。
イギリスの田園や湖畔の風景、駅でポツンと佇むリリーさんの画など、ポスターもそうだが美しい画が今作の魅力。
しかし、のこされた家族の再生物語としては家族の絆はそこまで感じなかったし、全体的にエピソードがぼんやりふわふわしていて掴みどころがない。
抽象的だったりアートの側面が強い作品というところまでも、振り切れてないかなあと思う。
期待していたので残念。
ただ、繰り返しになるが、木村多江の演技が素晴らしく良かったのでそこは見る価値ありです。
コットンテールとは何なのか。劇中で明らかになりますが、そこまで重要でもなく。そしてなぜタイトルになるほどの思い入れなのかも、いまいちわからず。
5 劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦 監督:満仲勤
2024.3.26鑑賞
言わずと知れた名作漫画・アニメの劇場版。原作にほぼほぼ忠実。
主人公は「小さな巨人」に憧れ烏野高校バレー部に入部した日向翔陽と、中学時代から名セッターとして知られる影山飛雄のコンビが仲間たちと共に春高バレー3回戦に挑む。因縁のライバル東京 音駒高校と対決。練習試合とは違う「もう一回」がない、負けたら即終わりの試合が始まる。
原作もアニメも好きだが、劇場鑑賞はまあいいかなあと思っていた作品。
仲良しの友人と一緒に見たら楽しめるのでは?と観に行くことに。
初の4DMX鑑賞!ポップコーンは袋に入れられて渡されるようだし、飲み物もこぼれる可能性をアナウンスされるなど、始まる前からドキドキ!
プラス1300円分楽しもう!とワクワクして鑑賞した。
結論。
4DMXはしばらくいいかなあ。
1300円分は間違いなく演出があった!揺れるし響くし光るし風を感じる。
けれど、その分忙しない感じがして落ち着かないし、内容に集中できない!!
これは私が中年だからか?若い人たちは、もしくは感覚が若い人は楽しめるの?作品にもよる?
具体的には、サーブやスパイクのたびに響くし揺れる。これは試合がずっと続く内容だからとにかくずっと響くし揺れるし何かしらある。
席はふかふかで座りやすくゆったりとしているからそこは良いのだけれど。
うーん。
内容は、最高でした。それは私が原作とアニメの、つまりは「ハイキュー!!」のファンだからかも。ライバル狐爪研磨が主役と言っていいほどの内容で、声優の梶裕貴は流石のうまさ。普段、勝ち負けに興味がなく頭がキレる冷静な研磨が、ラストに倒れ込んで感情を表出するシーンは鳥肌が立つ。
私は中高バレー部だったので余計に試合の雰囲気やボールの音が懐かしく込み上げて、劇場で見られて良かったと思った。
終盤に、セッター目線でボールの動きを映すシーンは、きっとバレー経験者なら胸にくるものがあると思う。
一緒に見にいった友人は強豪校でセッターを務めていたので、更に感情を揺さぶられたようだった。
今作のいちばん良かった点は、バレーボールのおもしろさを強く伝えてくれているところ。これを見て「バレーボール面白いな」と思う人は多いと思う。それって最高。
帰りに友人と「私たちの頃は、ボールは投げられるはぶたれるは、先輩は怖いし最悪だったよね」という話をした。ハイキュー!!みたいな素敵な先輩後輩関係って今は割と普通?
コーチにパイプ椅子で殴られるなどのエピソードを話す友人の目がどんよりしていて、こういうのって忘れないよなあって思った。
話を戻します。
個性豊かな登場人物が生き生きと輝く原作の魅力をそのまま引き出した作品。
数ある試合の中でも、人気の音駒高校との試合。面白くないわけがない。
原作やアニメ好きな方はぜひ。
スラムダンクとはまた違う、チームプレイと仲間たちとの絆があります。
4月も気になる作品がたくさんある!無理のない範囲で気の向くままに鑑賞したい。配信で観るのも手軽で良いが、劇場の雰囲気も好き。両方をうまく楽しみたい。