見出し画像

夜の本屋さん、夜のカレー

先週のこと。
急降下なのか、低空飛行なのか。
自分がどこを飛んでいるのかわからないような日々の中、気分転換に本屋さんに出かけた。
夜の代官山。
小降りの雨の中、代官山に着くと気持ちは少し軽くなる。
私がぼんやりとした目をしていても、もやもやを抱えた顔をしていても、
夜はあまりそれが見えない。
昼間の明るさも良いけれど、夜の暗さに慰められる。
夜に、私の「暗い」が紛れる。
薄暗い気分でも別に良いよ、誰にもわかんないよ見えないよ、って感じ。
「暗い」のままで構わない、って気がしてくる。
気持ちが、らくちん。

代官山蔦屋書店に行った。
屋台が並び、ウインナーが焼ける匂いやソースの香ばしさがしてくる。
自然と顔が緩む。
時間が遅く屋台は店じまいの最中。
ちょっと寂しさを含んだ空気に触れて、夏特有の切なさを思い出した。
子どもたちの高揚した顔が、いつもより遅くまで食べたり遊んだりしている特別感に爛々としている。浴衣に甚平。おさんぽバルーンという犬を連れて得意げに歩く女の子。その犬を蹴ってちょっかいを出す男の子。
両手指に大きなキラキラした指輪をつけた女の子。得意げで可愛かった。

店内に入り、ぷらぷらと本を眺めていく。
料理の本、旅の本、ビジネス本、ファッション雑誌、フィットネス本、小説、エッセイ、写真集、
話題の本をぱらりとめくったり、書店員さんのポップを一つ一つ読んでみたり、
特集コーナーの本の並びに唸ったり、

いつものように、いつもと違って、
いろんな本が低い位置からずいぶん上まで、たくさん並んでいる。
それを眺める。それだけで、ここにいるだけで、満たされていく。
ワクワクする。安心する。心地よい。
読みたい本がたくさんある。
読みたい感覚はいつもその時々で変わってくる。
新鮮と安心。楽しいと落ち着く。

スタバのテラス席でコーヒーを飲みながら、大きなわんこたちが光る首輪をつけて悠々と歩くのを眺めた。
夜だし夕飯はもう食べたし、お腹は特に空いてない。
けれど、夜の甘いものを欲して、チョコレートデニッシュとレモンのケーキを夫と半分こ。こんな時間に、こんな甘いものを。チョコレートデニッシュは思ったよりデニッシュ部分が油っぽくなく、ぎゅっと詰まっていて好みだった。またこれ食べよ。

厳選した本を購入。


食べ物のタイトルばかり。お腹空いていたのかなあ。

翌日、ツレヅレハナコさんのレシピで作り置きを拵えた。キャロットラペにしても、炒め物にしても、いつもの自分とはちょっとだけ違う味。同じ調味料でも素材でも、こんなに違う味になるのかあと新鮮。ちょっとマンネリしていた作り置きが、ちょっとだけ変化。
気分が大きく変わり、楽しくなる。

気持ちの暗さは陰鬱ではなくなった。
本屋さんに包まれて、まあいっか、ってなった。
無理に明るくなる必要もない。元気にならなくたっていい。
まあいっか。
この気持ちが、なんとなく気に入っている。

*********************

数日後の夜。お弁当作るのがめんどくさい日がある。
夕飯の残り物だけでは足りないし、面倒だけど美味しいものが食べたいし。
買い弁も嫌いじゃないけど、なんか作ったものが食べたい。
疲れているし、億劫だし、冷蔵庫の食材も豊富とは言えない。

カレーが食べたい。カロリー低めのやつ。

ふっと湧いてきた衝動そのままに、海老カレーを作り出した。
冷凍海老が少ししかないので、ミックスビーンズも入れちゃう。
なすとオクラとミニトマトも入れる。
生姜とニンニクを刻んで炒める。
カレー粉と小麦粉を大匙1〜2も入れて炒める。
ケチャップも入れる。大匙3〜4くらい。
水を投入してぐつぐつする。適当にぐつぐつ。

20分くらいで出来上がり!
スープくらいのサラサラカレー。オクラのとろみが良い感じ。
部屋中に漂うカレーの香り。
ああ良い匂い。呼吸がゆっくりになる。
仕事のピリピリも、
なんでかなあ〜、というやれやれも、
一気にカレーが覆い尽くす。

今日も、もやったことはあったけど、考えても沼に落ちるだけ。

ええい、もういいじゃん!
明日はカレー弁当だ!

翌日スープジャーに入れて、白ごはんと持っていった。
一人ワクワクとお弁当を広げる。たかがお弁当。だけど私には大切な時間。
二日目のカレーはほんのり甘く、だけどスパイシー。
もちろん、美味しかった。

この日の職場である施設のおやつは、今川焼きクリーム。
おじいさんも、おばあさんも、嬉しそうだった。
「今日は当たりだ!」という声が聞こえた。
その様子に私は心が軽くなる。

***************

今日は雨。激しい雨。
夜の美術館に行きたいのだけれど、やめとこうかなあ。

いろんな夜に私は身を置き、明日も体を運ぶのです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?