「銀河鉄道999」の未来風刺
YouTubeで今ちょっと観かえしたワケですね。
スターウォーズよりちょい前くらいの作品だったかな?
「さよなら銀河鉄道999」では完全にパクってる部分もありましたが、
りんたろう監督の映像イメージの使うレーザー光線、
闇に飛び交う赤や青の光線はその後の流行を先取りしてた気がします。
クリエイターは作品同士でコミュニケーションし感化され合って向上する。
明らかにそんな感じで映像分野、エンターテイメントを発展させていった。
この時代でのそんなエッセンスが作品にはちりばめられてます。
まだアニメはそこまで市民権を得ておらず、その分商業的な作為が少ない。
なので、当時のクリエイター達は今よりも縛りが無かったのかも。
記号化された作為なんてのはのちのち陳腐化して作品性のキズになるんで。
プロットは今より未熟かもしれませんが、色々と直球を投げかけてきます。
まだ視聴者も製作陣もひねくれてない分、判り易いと。
またBGMもクラシック基調の流行りすたりのない普遍性のある名曲ぞろい。
何度聴いても素晴らしすぎる。
機械化人のモチーフは貴族、金持ち、エリート、明らかに上級国民その物。
腐敗した魂の無い搾取者のデフォルメです。
池袋の暴走老人。
旭川のイジメ加害者と被害者少女を取り巻く大人たち。
利権に塗れ、人を人とも思わない政治家たちもそう。
自己欺瞞の薄笑いで共感を切り離した彼等はまさに機械です。
もう魂が無いんでしょう。
魂の無い彼等が見下す弱者の多くは彼等と違って魂がある。
奪い合い、引き下げ貶め合う社会からの落ちこぼれです。
魂があるから搾取されてきた。
生身の人間だから搾取されてきた。
魂があると生み出すから、何も生み出せない彼等は奪いたいのだと。
どこに行っても搾取者というのは奪うやり方しか知らないワケです。
搾取者である機械化人は血の通った人間を弾圧します。
「さよなら」では更に魂そのものを搾取する。
これは本当にリアルな比喩になっていると。
依存者というのは弱者、若者のポジティブな何かを観ると奪おうとします。
立場の弱い他人のモチベ、成果を強奪したい、得られなければ破壊したい。
いつの時代も相対的勝者というマインドは人の魂を欲しがる。
ターゲットが挫折したり、苦しんだり、潰されるのを見ると充実感を得る。
彼等の中には他人の不幸をカタルシスにする価値観が刷り込まれています。
これがエリート、魂の無い機械化人、毒親、ブラック企業や利権。
そして学歴、肩書、権威というハリボテは、この作品の機械の体そのもの。
見事なまでの風刺になってます。
松本作品では格差社会をモチーフにする事が多く、
また見栄っ張りを揶揄する話が多い。
更に主人公達の恰好はあか抜けない、ボロ布を纏っていたりもする。
ダサく、みじめなのがカッコイイという先生の美意識ですね。
このすばらしい反骨精神こそが松本ワールドだと。
そして弾圧される被害者たちの多くは夢を追い、志しても儚く散る。
主人公達はそんな世界に憤りを抱えている。
だから鉄郎もハーロックも機械化人になれたとしてもならない。
何故なら、エリートになれば魂を失ってしまうから。
松本作品は今のヤングに観て欲しい。
ふつふつとこみ上げる何かがあるはずです。
おしまい。