「思い出が褪せることは」

静けけさが漂う夕方の森の中、僕と友人はスコップ片手に地面を掘っていた。

「確かここに。おっ!」
 スコップの先が固い何かに当たった。土を取り除いていくとそこには銀色の箱があった。和菓子とか入れる箱だ。

「これだな。開けるぞ」
 僕達は顔を見合わせて、開けた。そこには思い出の品が数多くあった。当時、人気だったアニメのシールやカード。宝物だったガラクタ。多く入っていた。

「懐かしいな」

「だな」
 懐かしの品々を手に取ると様々な思い出が脳裏に浮かんでいく。あの頃はなんでも笑えた。些細な事やくだらない事でゲラゲラと笑えていた。今はあまり笑えていない気がする。忙しい時間があまりにも多いのだ。

「さて。ここでいっぱいやりますか」
 友人がバックから二本のビールを取り出した。プルタブを開けて、缶を当てた。それでもこうして友人といれば、何度も何度でもあの頃に戻れるのだ。

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