「洗脳からの解放」
力ない足取りで家に向かっていた。今日も会社で上手くいかなかった。というより社会人になって何もうまくいっていない。学生時代は成績優秀だった。勉強では誰にも負けなかった。
学校でも家でも勉強に打ち込んだ。それが全てだと思っていたからだ。結果、望んだ企業には入れたが、そこからは学んだものが何も通用しなかった。
また一から積み上げる。でもその傍で僕よりも下のランクの大学を出ている同僚が上司に好かれている。学生時代の洗脳。勉強こそ全てだというその箱庭のマインドコントロールは社会ではまるで役に立たなかった。
そう。全てはその時の大人達の都合の良いように調教されていたに過ぎない。まぁでもやる気や情熱なんて入社面接の時には既に燃えカス同然だった。
もう何の気力もない。僕は少し軽くなった足で一輪と練炭を買った。