「歪な再会」
パチンコ屋の前で僕は呆然と立っていた。
新しく入った台がなんと俺が幼い頃、見ていたヒーローアニメの台だったのだ。
興味が湧いた僕は入店して、台の前に来た。
球が釘を渡っていくのを見ていると子供の頃を思い出した。テレビに張り付いてヒーローの活躍を見ていた。正義のために悪を退治する。そんなヒーローの姿に何度も心を打たれた。
しかし、現実にはそんなヒーローはいない。
歪なものしかなかった。かろうじて保っているものばかりだ。
そんな悔しさから僕はどこか擦れてしまった。過去を振り返っていると大きな機械音で現実に引き戻された。
一発の球が当たり枠に消えたのだ。結果は大当たりだった。子供のように僕ははしゃぎ散らかした。
やっぱりあんたは俺のヒーローだ。