「トップスピード」
ああ、たまらん。ビルが聳え立つ大都会の中でそんな感覚を抱きながら、愛車を運転していた。我が愛車は真っ赤な高級車だ。数日前に中古で格安で買ったのだ。
こんな高級車を五十万で買えたのだ。たまらん。スピードも並の車とは違う。まさに赤い稲妻。周囲の光を置いていくような速度で走っていく。そして、なんといっても羨望の眼差し。
ああ、気持ちいい。速度と羨望。快感と承認欲求が満たされていく。しかし、途中で速度が恐ろしくなり、ブレーキを踏んだ。その瞬間、ブレーキが壊れた。冷や汗が吹き出たと同時に僕はビルに突っ込んだ。