「納税とお年玉」
与えられた封筒を見て,僕は胸が暖かくなった。年始の楽しみ。そう。お年玉だ。
これを恵んでくれた伯父さんには深く感謝している。ありがとう伯父さん。大事に使わせてもらうよ。早速、何に使おうか検討していると母から声がかけられた。
「伯父さんからお年玉もらったでしょ? 出して、お母さんが預かるから」
母からの無慈悲な宣告に思わず息を呑んだ。預かるからと言っているが、このお金の行く先は食費だという事は既に知っている。何故だ。何故,父も母も働いているのに我が子からもぎ取るのだ。あまりにも理不尽だ。この国で生きていく人間が税金を払うのと同じく,僕も家にいると母という主に中抜きされる運命なのだ。
「いや,でも」
「いいから」
僕は歯軋りしながら,税を納めた。