「心臓バクバク」
絶体絶命。この言葉を使う機会が人生でどれくらいあるだろうか。普通に生きていれば滅多に起こることはない。
そう。今、僕はその普通から離れた状態にいる。
目の前には尻尾を鳴らして、威嚇するガラガラヘビ。逃げようにもバイクで事故って足が痛くて動けない。
ガラガラヘビの毒は猛毒。目でも鼻先でも噛まれたら終わりだ。まずい。まずい。
緊迫感に心臓が押しつぶされそうになる。もう終わりだ。静かに目を閉じた時、目の前で何か音がした。大きなものが動いて空気が揺れるのを感じた。
ゆっくりと目を開けるとガラガラヘビはいなかった。ふと空を見上げると一羽の鳥がいた。その足には長い蛇が掴まれており、ぶらりぶらりと揺れていた。
絶望的な生命の危機から救われて、安堵感を覚えた。それよりこの足の怪我どうしよう。
反対に曲がった足を見ながら、ため息をついた。