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映画を観た「桜色の風が咲く」

盲ろう者として初めて大学教授となった福島智さんの実話の映画化という2022年の作品。小雪さんが母親役として出演されている。

主人公の智(サトシ)は3人兄弟の末っ子。3歳の時に片目を、9歳の時にもう片方の目を失明する。それはそれは他人には思いはかれない、本人や家族の葛藤があっただろうが、この段階までは智は明るく前向きに描かれていて、観ているこちらも救われる。
対して小雪さん演じる母親には、子を案じる母親の全ての感情を表現させている。息が苦しくなるほどだった。

全盲でありながら、地元を離れて東京の盲学校で寮生活を送りながら高校生となる智は18歳で聴力も失ってしまう。
年齢もあるのかもしれないがそれまでと違い、智が感情的になるシーンの描写が刺さる。

目のことで入院していた時に点字について教えてくれた、同じく全盲の年上の男性に、聴力がなくなりそうという時に弱音をはいた智。家族にすら理解してもらえない苦悩をどうやって処理すればいいのか。苦しかっただろうと思う。

世の中にはさまざまな障害で、日常生活が不便な方がおられるだろう。その当人や家族、またその周りにいる自分を含めた多くの人に、希望に向かうとはどういうことかを考えさせてくれる作品だと思う。
また、家族、特に甘えたいときにそれも叶わなかった兄弟たちのケアも考えたい。
考えることが広がればいいと願う。

ところで、先日のこと。
2駅しかない路線の電車で座っていたら、松葉杖の、大学生ぐらいの比較的大柄な男性が乗ってきた。席を譲るべきかと思ったが、松葉杖を持って座る動きの方が大変かも、と考え行動をおこさなかった。10分おきにくる電車だから、座りたかったら5分待って到着したての無人の電車に乗るだろう、とも考えた。

すると一人の60代ぐらいの女性が彼に席を譲ろうとされた。彼はすぐに降りるので、と断ったが、ご婦人も「私もすぐに降りるからどうぞどうぞ座って頂戴」と席を立ってしまわれた。

これ、どうすればよかったのだろう。
数日考えた。

きっと何もしなかった私よりご婦人のほうが間違いなく立派。
でも、、、

お互いの事情がある時。
とっても難しい。


#福島智      #WOWOW

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