アウトですよ〜!
「月曜から夜更かし」を欠かさず見ています。
この仕事を始めるずっと前から好きな番組で、リアタイで見れなければ録画をして見ています。
番組に出てくる、一般の、超個性的な人達に感激したり笑ったり。
番組を楽しく見ているのと同じような感覚で、私は働きながら人間観察を楽しんでいる節があるのです。
番組でも、職場のお客さんでも、個性強めな人を見ると、ネガティブ気質で、どこか生真面目な自分がつまらないヤツだと思えてくる。
一生に一度の人生、明日なにが起こるか分からないのだから、もっと自由に精一杯生きてしまえ!!と思いつつも、周りの目や常識を気にして振り切ったことなど出来ない私。
派手めの服を着て、バッチリメイクでオシャレした自分を撮影し、インスタに投稿しているおばあちゃんをテレビで見た。
彼女は一見すると、華やかすぎる装いが危ない人のようにも見られてしまいそうだが、子どもの頃からオシャレが大好きで、お姫様みたいな衣装の外国の女の子達に憧れていたと言う。
どんなに憧れていても、戦後の貧しい生活ではオシャレなんか到底無理で、子ども時代はお下がりしか着させてもらえず、そのことが心底嫌だったそうだ。
だから今、そのときの欲求不満を晴らしていると彼女は言っていた。
『いい世の中になったわ!誰に迷惑をかけているわけじゃあるまいし』と微笑む彼女に、おっしゃる通りです!と深く共鳴した。
仕事中に、お客さんではないけど、完璧なロリータ姿のお婆ちゃんを見たときは感動で胸が高鳴った。
ツインテールにリボンを結んで、頭の先から足先までロリータ一色。
モコモコのバッグも衣装にマッチしている。
あっぱれ!
全身、黄緑色のコーディネート、お財布までしっかり黄緑色な男性も、一年中真冬でもランニングに短パンでバイクに乗っているマッチョなお兄さんも、女子高生姿のおじさんだって、いいじゃない!
たとえ奇異の目で見られようが、臆することのない生き様はカッコイイ。
誰にも迷惑をかけていない、個性強めな人達を羨望の眼差しで私は見つめています。
まだ明るさの残る夕方にやってきた中年男性。
腕組みしながら掲示物を見ている。
すぐ買う様子でもないので、見て見ぬふりでいた。
なんの変哲もない中年男性は、よく見るマークの付いた上下グレーのジャージ姿。
腕は組んでいるが、ジャージのファスナーが開いているのが分かるのは、組んだ腕の隙間からインナーの白Tシャツが見えているからだった。
数分過ぎてもまだ見ている。
(長いなぁ…)
正面には来ないので、こちらは声のかけようがない。
賑やかな場所にある賑やかな売店。
朝から晩まで人通りが絶えることもなく、暗くなっても寂しい場所にはならない。
端っこで、男性は組んでいる腕を下ろした。
???
私の方を見るわけでもなく、両手を下ろしてただ立っている。
???
グレーのジャージのファスナーは開いていて、中に白いTシャツ…普通。
じゃなかった。
濃い紫色の花柄のブラジャーが透けている。
(これを披露したかったわけですね!)
ただ、痩せ型で胸が平らなものだから、乳首の上にブラが上がってしまっている。
ポツポツ乳首の上に紫ブラ…
なんともマヌケなお披露目になっている。
(せめて、しっかり乳首は覆わないとでしょう。それとも両方見せたいのですか?)
男は私が羨望するファンキーな人々ではなく、変質者寄りと察する。
ギョッとはしたが、おマヌケな姿に怖さが薄れた。
いつまでも店頭で披露されていても困るので、男を見つめながら立ち上がり、電話機に手を伸ばし耳にあてた。
私の行動に気づいて男は去って行った。
仕事を終え、駅に。
構内で3人のお巡りさんに囲まれている人がいた。
さっきのブラ乳首男が見えた。
(あんたはアウト!!)
きっと他のどこかでも披露して、通報されたのだろう。
アウト!アウト!アウト!私はマスクの中で呟きながら、足取り軽く帰路についた。
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