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御相伴衆~Escorts 第一章  第八回 柚葉編①所変われども、役変わらず

 慈朗シロウ、大丈夫だろうか?そちらの方は、まだだったのかもな。あの感じだと。泣いて、許して貰えれば、いいんだけど。まあ、まずは、難しそうだな。相手は、その心算で来てるのだから。

 俺は、スメラギに来る前は、あのお方に仕えていた。久方の再会といった所だ。

「見ない内に、大分、背が伸びましたね。最初、私の所へ駆けてきた時は、小さい頃を思い出しましたが・・・、もう、立派な大人になられて。所作も、・・・忘れずにいてくれたようですね・・・私の好きなことを、よく覚えていてくれて、本当に、賢い子です・・・」
「いえ、先程は、お話を聞いて頂き、条件を飲んで頂いて、ありがとうございます」
「何、他ならぬ、君の頼みです。そんな、必死な目で、詰め寄られたら、・・・まあ、いいでしょう・・・」

 指先で、近寄るようにと、合図された。懐かしい感覚。この人に、俺は教え込まれた。俺は、スメラギに来て、お妃に触れるまで、本格的には、女を知らなかったぐらいで・・・。

「さっき、背のことを言いましたが、もう、屈まなくて、できるのですね・・・んっ」
「・・・ん・・・、貴方を追い越すなんて、そんなこと、できませんから・・・」
「また、そんな、可愛いことを言って・・・、随分、綺麗になられて、・・・柚葉、心ならずにも、女性の皆様とも・・・」
「・・・さあ、どう、お答えしたら、」
「あの、貪婪な第二皇妃が、こんなに綺麗な君を、そのままにしておくわけがないでしょうね」
「今は、姫様付きです」
「成程・・・ご出世されましたね」
「はい、紫統ズードン様のお蔭です」
「そうですね。・・・可愛がって、骨抜きに。スメラギの屋台骨を・・・」
「解りました」

  そう、・・・まあ、そうなんだろうけどね。

  素国は、長い歴史の大国だ。先々を見込んでの外交を得意としている。まさに、敵に塩を送り、油断をさせておき、将来の得を取る。そんなことをする。世界随一の大国の余裕だ。青い髪、青い瞳は、王統の証だ。皇妃も、あと、あの桐藤キリトも、今は、俺を従えている心算だろうが・・・。

 「・・・もう、できますね・・・施して頂ける頃かと・・・」
「よろしいのですか?」
「・・・」
「かしこまりました・・・」

 

 最近は、泣くより、泣かす方が多くなったな。たまのお妃も、俺には攻められるのがいい、と言っていた。

 ・・・以前の高官との場では、俺は、初めて、あいつを組み敷いた。いつもは、フェイクで行くのだが、その時は、紫統様がいたので、ごまかしが利かず、あの一件で、あいつは、この場を務めなくなったのも、事実だ。

 しかし、この時、高官たちは、お前の姿を見ている。意味は・・・解るよな、もう、遅いんだ。奴隷風情が、皇帝になれるわけがない。その顔を、皆が、憶えている。屈辱に歪んだ、その顔を。この話は、まだ、高官たちにはしていない。未だ、時期じゃない。あの時は、俺だけが・・・そう、いつも威張っている、こいつを踏みつけて、少し、小気味好くもあったんだ。激しく声を上げてやった。観客は大喜びだった。

 「ごめん、あの方たちが怖くて・・・機嫌を損ねたら、お妃様どころしゃないんだ」

  まるで、俺は、慈朗のように振る舞った。奴を抱き締めて、泣いて見せた。

 「いい、柚葉ゆずは、一つ貸しだからな」

  怒りと屈辱を、必死に抑え込むあいつを、そのまま、その夜、なだめてやった。奴は俺を使った。組み敷かれてやった。そう、俺が今、帰らなきゃいけないのは、スメラギだから。

 「信じてほしいんだ、・・・スメラギの為だから」
「解った、もう、こんなのしない・・・」
「・・・ごめん、許してほしい」
「お前、基本、そっちなんだ、わかった、黙っててやるよ。だから、今回の件は、お妃様にも不問で」
「勿論だよ。当たり前だよ・・・桐藤キリト

  まあ、って、わけでもないんだけどね。もう、今は、どっちでもいいんだ。男とか、女とか。

 

  翌朝、貴賓館の宿泊用ルームに、慈朗が訪ねて来た。慈朗の相手は、夜の内、早めに帰ったのだという。こちらの方も、朝早く、戻られていた。

 「柚葉、大丈夫だった?」
「交渉は、上手くいったよ」
「・・そ、そうか、柚葉は、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ」
「でも、ちょっと、ほら、首とか、腕とか」
「ああ、咬み痕なんて、お前だって、そうだろう?ああ、手首抑えられたんだな。可哀想に」
「柚葉だって、そうだよ、可哀想だよ」
「ふふふ、お前、馬鹿だな。泣くなよ、・・・本当に、可愛いんだけど」

  慈朗は、声を上げて、泣き出した。なだめる為に、頭をポンポン叩くと、抱きついてきた。

 「おいおい、お前、そっちの方、火が付いたんじゃないのか?」
「だって、柚葉が、可哀想だから、」
「お前も同じだろう?」
「でも、柚葉の方が、大変だから」
「・・・そうかもなあ、でも、もう、いい。とにかく、終わった。迎えが来るまでに、身支度して、朝ご飯は、皇宮に沢山用意して貰うように、言ったから。お前、昨日、食べられなかっただろう?」
「柚葉だって」
「俺は、あの人から、食べさせてもらったから」
「え、・・・ああ、そうなんだ・・・え?」
「何?」
「なんか、・・・そうなの?」
「そうだよ、でも、皇宮では、誰にも言うなよ、おいで」
「え・・・何?・・柚葉・・・わあ」

  慈朗にくすぐりを入れた。こいつも、相当、素質がある。緩急をつけながら、唇を吸ってやった。離れると、ウットリとしやがった。まあ、天性なんだろうな、確かに可愛い♡

 「こういう風にされた」
「・・・はあ、・・・それって、恋人なの?」
「そうだよ、偉いね、よくわかったな」
「ちょっと、柚葉のイメージ、変わった」
「今のも含めて、内緒でね。誰にも言わないで。数馬にも言うなよ」
「うん、・・・言わないけど・・・なんかな・・・」
「え?良かったの?・・・休閑時に、部屋に来たら、遊んでやるよ」
「・・・わあ、違う。いいよ、もういい、柚葉のイメージ、大混乱だあ」

  なんか、ホッとした。こいつ、面白い。俺は、権力には、興味がない。ただ、やはり、素国の人間なだけだ。さて、帰るか。今は、スメラギが我が家だ・・・。

  ・・・って、皇宮には、面倒臭い件が残ってるな。体調悪いことにしておくかな。


~次回につづく


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                      御相伴衆~Escorts 第八話

 お読み頂きまして、ありがとうございます。
 御相伴衆の三人目のターン、柚葉編が始まりました。
 素国の王室の遠縁と言われている彼が、何故、ここに居るのか?
 彼は姫付きでありながら、その独自の質もあり・・・。
 次回は、不変則ではありますが、慈朗編④に戻ります。
 

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