短編映画「モダン・ラブ」のドアマン
映画「モダン・ラブ」を見た。音声吹き替え版。
ストーリーやキャラクターが新鮮で、一気に3話視聴してしまった。
洗濯機のピーピーなる音も聞こえないふりをした。
特に1話の”わたしのドアマン”ストーリーが最高すぎ。 最高すぎ、、とかではなくて、もっと別の言葉で表したいのだけど。表現力なさすぎ!!!
登場人物
・主人公 マギー
・主人公が住む高級アンティークアパートのドアマンの男
・主人公の彼氏
・主人公の子ども
今回は主人公が住む、アパートのドアマンのキャラクターについて、台詞やストーリーから勝手に人物像を想像してみる。このお話はニューヨークタイムズの投稿コラムを元にした実話である。
ドアマンの印象的なセリフ
ドアマンの男性についてドラマの台詞からどういった人物なのか、歴史的な背景などを織り交ぜながら検証していきます。
歴史的背景
1.アルバニア東欧出身
アルバニアは東ヨーロッパの小さな国の一つ。ギリシャの上に位置している。1990年代初頭まではエンベル・ホッチャが共産主義体制で独裁を行っていたが、その後共産主義体制は崩壊。現在は民主化や市場経済化が進んでいる。アルバニアはアドリア海に面しており、そのためにイタリアに出国するアルバニア人が増えたり、社会情勢の不安定さから難民として国外に逃れる人も存在した。
2.強制労働キャンプで育つ
仮にドアマンの男性が70代だとすると1950年生まれ。ソ連の強制労働収容所か、、両親は政治活動家でグズリンが子どもの頃に逮捕されたと劇中で言っている所から、この収容所で育ったと仮定。
3.元狙撃手
アルバニアやアルバニアを取り巻く東ヨーロッパは、さまざまな時期に政治的な対立や社会的な緊張状態が続いていました。東ヨーロッパの歴史は非常に複雑で、コテンラジオもう一回聞こうと思う。特に歴史的な背景から、アルバニア軍やゲリラ組織などの武装勢力で、グズリンが狙撃手として活動していたという事実は、驚くことではないのかも。
ドアマンの人物像まとめ
子どもの頃、強制労働キャンプで生き抜き、アルバニアの社会情勢の不安定さから軍事組織の狙撃手になった。その後、アルバニアの共産主義政権が崩壊し、独立を迎えると、民主化に伴う混乱の中で難民となり、アメリカに渡って現在の職業に就いた。彼はゲリラ組織の狙撃手からニューヨークの高級アパートのドアマンに転職した男性、それがグズリン。ただし、これは私の妄想です。
番外:アルバニア人の伝統的価値観
グズリンの台詞がとても抽象的かつ宗教的なものを連想させるものが多かったため、もう少し調べてみるとアルバニア人の伝統的価値観という概念があることを見つけた。
第二次世界大戦中、アルバニアではユダヤ人を救うため、アルバニアの人々だけではなく、国全体としてユダヤ人を救うため尽力した、という実際にあった事柄を映画化したものを見つけた。「Besa: The Promise」
アルバニアのイスラム教徒の男女が約 2,000 人のユダヤ人をナチスから救った話だ。
アルバニアの人々が行動に移したのは「Besa」と呼ばれるアルバニア人の伝統的価値観や行動規範のようなものからとのこと。
直訳するとアルバニア語で「約束」という意味。chatGPTで「Besa」に関するサイトや文献を教えて!と質問してみるといくつかリンクを返してもらったが、ほとんどのリンクへのアクセスはできなかった。
しかし、ホロコースト記念館のサイトにアクセスできた。
おわり
主人公のマギーはドアマンの男性にとっては大切な友であり、家族だった。そしてアルバニアの伝統的な価値観「Besa」では名誉や品位もとても大切。マギーのような学識も品位もある女性には、アパートに連れてくる男たちはふさわしくないと、伝えていた場面も妙に納得。そしてニューヨークは大きな村。子どもは村で育てるという台詞。子どもはマギーを差すようにも聞こえる。
「Besa」は表にはでないけど、アルバニア人の核となる価値観として時代を超え、変化しドアマンの中に確実に存在してるのではないかと思う。
日本にも武士道という行動規範がある。名誉のために腹切るのだ。切り方がカッコイイとか死に方にも品位を求めていた時代。歴史って本当におもしろい。