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筋肉消耗と死亡リスク

📖 文献情報 と 抄録和訳

成人における筋肉消耗と死亡リスクとの関連: 前向き研究の系統的レビューとメタアナリシス

📕Zhou, Huan‐Huan, et al. "Association of muscle wasting with mortality risk among adults: A systematic review and meta‐analysis of prospective studies." Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle (2023). https://doi.org/10.1002/jcsm.13263
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✅ 筋肉消耗の定義と背景知識
・定義:加齢または基礎疾患による筋肉量の減少を、筋機能の低下または脂肪組織の消耗の有無にかかわらず、筋肉消耗と定義した。
・骨格筋量の進行性減少を特徴とする筋肉消耗は、加齢やその他の臨床症状で起こり、推定有病率は24.2%~40.4%である (📕Mayhew, 2019 >>> doi.)。
・筋肉消耗は、サルコペニア関連疾患や悪液質の最も一般的な分母であり疾患過程であると考えられている。
・筋肉量の減少は、筋力を生み出す筋肉の基本的な能力を制限し、関節退行過程の発症または悪化を促進する。
・骨格筋は、食後血糖を調節することによって全身の代謝調節に重要な役割を果たすだけでなく、炎症や他の組織を調節するミオカインを分泌することによって内分泌器官としても機能し、サルコペニア関連疾患の構成要素の中で最も基本的で客観的かつ有望なパラメータとして発展してきた。

[背景・目的] 一般集団における筋肉消耗と死亡リスクとの関係は依然として不明である。 本研究は、筋肉消耗と全死亡リスクおよび原因特異的死亡リスクとの関連を検討し、定量化するために実施した。

[方法] PubMed、Web of Science、Cochrane Libraryを2023年3月22日まで検索し、主なデータソースと検索された関連論文の参考文献を調べた。一般集団における筋肉消耗と全死因死亡リスクおよび全死因特異的死亡リスクとの関連を調査した前向き研究を対象とした。ランダム効果モデルを用いて、筋肉量の最低カテゴリーと正常カテゴリーのプール相対リスク(relative risk, RR)および95%信頼区間(confidence intervals, CI)を算出した。研究間の異質性の潜在的原因を調査するために、サブグループ解析およびメタ回帰を実施した。筋肉量と死亡リスクとの関係を評価するために用量反応解析を行った。

[結果] 49の前向き研究がメタ解析に組み入れられた。2.5~32年間の追跡期間中に878349人の参加者のうち、合計61055人の死亡が確認された。筋肉消耗は、全死因(RR = 1.36、95%CI、1.28~1.44、I2 = 94.9%、49研究)、心血管疾患(CVD)(RR = 1.29、95%CI、1. 05~1.58、I2=88.1%、8研究)、がん(RR=1.14、95%CI、1.02~1.27、I2=38.7%、3研究)、呼吸器疾患(RR=1.36、95%CI、1.11~1.67、I2=62.8%、3研究)であった。サブグループ解析の結果、筋力にかかわらず筋肉消耗は全死亡リスクの上昇と有意に関連していた。

■ 筋肉消耗と死亡リスク
・筋肉消耗と全死亡リスクの解析には、合計49の研究、66の報告が含まれた。
・全死因死亡リスクのプールRRは、筋肉量が最も少ないものから正常なものまで全体で1.36(95%CI、1.28~1.44、P<0.001)であり、筋肉消耗と全死因死亡リスクとの間に有意な正の関連が示された。

■ 用量反応解析
・全49研究のうち、8研究が筋肉量と全死亡リスクの用量反応関係解析の対象となった。
・除脂肪体重と全死亡リスクとの間にはほぼU字型の関連が認められ、除脂肪体重が36kg前後で全死亡リスクが最も低くなった。

[結論] 筋肉消耗は、一般集団における全死因、CVD、がん、呼吸器疾患の死亡リスクの上昇と関連していた。筋肉消耗の早期発見と治療は、死亡リスクを減少させ、健康長寿を促進するために極めて重要であるかもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

“貯筋” という言葉がある。
老後の生活に向けて筋肉を育て、貯めていく考え方のことを「貯筋」というようだ。
今回の抄読研究は、まさにこの「貯筋」の有効性、重要性を示した。

筋肉消耗によって、死亡リスクが1.36倍となる。
他の文献から、筋肉量は膝の痛みとも関連することがわかっている。

貯金も大事だが、
貯筋も大事だ。

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