論文引用数を最も説明した『Altmetricスコア』
▼ 文献情報 と 抄録和訳
Altmetricスコアはジャーナルインパクトファクターやオープンアクセスステータスよりも論文引用数と強い関係がある;スポーツ科学分野の論文4022本を対象とした横断的な分析
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] スポーツ科学分野における個々の論文の引用度と、(1)Journal Impact Factor、(2)各論文のオープンアクセスステータス、(3)Altmetricスコアコンポーネントとの関係を評価する。
[方法] デザインは、クロスセクショナル。Web of ScienceのJournal Citation Reportsデータベースをスポーツ科学分野で検索し、2018年に2年間のJournal Impact Factorが最も高かった20誌を探した。各ジャーナルのインパクトファクターと、各論文のオープンアクセスステータス(yes or no)を抽出した。2019年9月から2020年2月にかけて、2017年に出版された各論文の個別引用数、Altmetricスコア、Altmetricコンポーネントの詳細(例:ツイート数、Facebook投稿数など)を取得した。線形回帰モデルおよび重回帰モデルを用いて、従属変数(被引用数)と独立変数(論文のAltmetricスコアとオープンアクセスステータスおよびJournal Impact Factor)の関係を評価した。
[結果] 対象となった4022件の論文のうち、Altmetricスコアの合計、Journal Impact Factor、オープンアクセスステータスは、それぞれ論文引用数の分散の32%、14%、1%を説明した(これらの変数を合わせると、論文引用数の分散の40%を説明した)。また、論文に関連するツイートの数は、論文引用の最も高い割合(37%)を説明するAltmetric要素だった。
[結論] スポーツ科学雑誌のAltmetricスコアは、Journal Impact Factorやオープンアクセスのステータスよりも、被引用数と強い関係がある。Twitterは研究論文のプロモーションに最適なソーシャルメディアプラットフォームである可能性がある。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
研究のインパクト、医学界・社会に与える影響というのは実に大切だ。
研究は個人的活動ではなく、そもそも医学界・社会の成長を帰結にしているから。
個人的な成長や活動のみを帰結とするなら、ひたすら職人化してゆけばよい。
だが、それでは一部の天才だけが活躍する蛸壺化された世界になってしまう。
さらに、経時的に積み重ならない。その天才一代が亡くなれば、また振り出し。
臨床研究が目指すのは、1人の成長をみんなの成長に、そして1人が走り切ったところをスタートにして次の走者が走り出せる、そんな世界だ。
だから、集団全体に対するインパクトのない研究は、ほぼ無意味とも言える。
今回の論文が明らかにしたのは、IF(Impact factor;過去の被引用数から算出される数値)より、オープンアクセス(無料で手に入れることができる)より、Altmetricスコアがこれからの被引用数(≒ インパクト)と関連するということ。
良い臨床研究をすることは、柱であり、出産である。
だが、ほとんどの研究者は、出産して、終わっていないか?
あとは社会に委ねていないか?
それは、育児放棄であろう。そこからが、始まりだ。
その良い臨床研究を世の中に知ってもらうことは、子育てだ。
例えば、“話題 (Discussed)” の部分には、影響を及ぼせるかもしれない。
Twitterで論文情報をつぶやく、など、できることはある。
Altmetricスコアは、子育ての指標とも、指南書ともなってくれる羅針盤だ。
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