📖 文献情報 と 抄録和訳
脳卒中患者における四肢失行への介入の効果。ランダム化比較試験のメタアナリシス
[背景・目的] 脳卒中の合併症である失行症は、日常生活動作(ADL)の遂行に困難をもたらす。現在までのところ、失行症への介入の有効性に関する研究はない。我々は、失行症への介入による重症度の軽減とADLの改善効果を評価するためにメタアナリシスを実施した。
[方法] PubMed、Embase、CINAHL、Cochrane Libraryのデータベースを用いて、2021年12月まで失行症に関連するランダム化比較試験(RCT)の検索を実施した。全失行症(TA)、観念失行症(IA)、観念運動失行症(IMA)、ADLのサブグループにおいてアウトカム変数を測定した。質の評価には、Physiotherapy Evidence Database(PEDro)スケールを使用した。
[結果] 5つのRCTが選択され、310人の参加者のうち、155人が実験グループ、155人がコントロールグループであった。効果量分布にはランダム効果モデルが用いられた。失行症の介入方法としては、ジェスチャートレーニング、ストラテジートレーニング(それぞれ3研究、2研究)が挙げられた。サブグループにおけるアウトカム変数の効果量は、TAとIAがそれぞれ0.475(95%信頼区間[CI]:-0.151-1.102;p=0.137)、0.289(95%CI:-0.144-0.722;p=0.191)、と小さかった。IMAの効果量は0.731(95% CI: -0.062-1.525; p = 0.071)と中程度で統計的に有意ではなかったが、ADLの効果量は0.416(95% CI: 0.159-0.673; p = 0.002 )と小さく、統計的に有意だった。
[結論] ジェスチャートレーニングおよびストラテジートレーニングは、失行症の介入としてADLに統計的に有意な効果を示した。したがって、失行介在の有効性については、継続的なRCTによりさらに評価する必要がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
そもそも、失行症の定義についてすら、知らなかった。
失行症の定義、効果的な介入方法、実際の効果量。
今回の論文を抄読する中で、たくさんの知識を得ることができた。
純粋に、知らないことを知ることは面白い。
次に失行症の患者を目の前にしたとき、僕はすぐにこの論文に戻って、孫引き、知識を再構築できるだろう。
勉強とは、極論、「無くさない作業」だと思っている。
いま、この瞬間の経験や勉強を記録し、すぐに引き出せる状態にしておく。
自分の人生のすべてが、積み上がるようにしておく。
失行症について、ほぼゼロだった僕の知識は、少し前進した。
次に、臨床経験や興味深い文献と出会ったとき、今回構築した最前線から、もう少し前に進むだろう。
個人内に、文明を持ちたい。
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