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ホムンクルス2023。最新のアップデート

📖 文献情報 と 抄録和訳

運動皮質におけるエフェクター領域と交互に現れる身体認知的なアクションネットワーク

📕Gordon, Evan M., et al. "A somato-cognitive action network alternates with effector regions in motor cortex." Nature (2023): 1-9. https://doi.org/10.1038/s41586-023-05964-2
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar, AASJ 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

✅ 前提知識:ペンフィールドの実験とは?
・カナダの脳外科医ペンフィールドはてんかん患者の手術部位の決定に際し、ヒトの大脳皮質を電気刺激し、運動野や体性感覚野と体部位との対応関係をまとめた。
・体に各部位の大脳皮質表面での規則的配列、体部位局在を明らかにした。
・彼らのデータに基づいて描いた「こびと」(ホムンクルス)は有名である。

🌍 参考サイト >>> site.

[背景・目的] 運動皮質(Motor cortex, M1)は、足から顔までの前中央回に伸びる連続した体性ホムンクルスを形成していると考えられてきたが、求心性機能領域や複雑な動作のマップを示す証拠がある。

[方法-結果] 今回、精密機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging, fMRI)を用いて、古典的なホムンクルスが、異なる結合性、構造、機能を持つ領域によって中断され、エフェクター特異的(足、手、口)領域と交互に現れることを明らかにした。

これらのエフェクター間領域は、皮質の厚さが減少し、互いに強い機能的結合を示すとともに、行動と生理的制御6、覚醒、エラー、痛みに重要なcingulo-opercular network(CON)にも結合する。行動制御に関連する領域と運動エフェクター領域のこの相互接続は、3つの大規模なfMRIデータセットで検証された。マカクと小児(新生児、乳児、小児)の精密fMRIは、エフェクター間システムの種を超えた相同性と発達の前駆体を示唆した。

■ 特徴①:同心円状で対照な分布
・エフェクター領域が末梢を中心に体幹の方に向かって同心円的かつ対照に領域が分布していた

■ 特徴②:運動野におけるInter-effector領域の存在
・運動・行動fMRI課題では、求心性エフェクター体幹部が、CON-linked inter-effector領域によって分離されていることが示された。
・エフェクター間領域は運動特異性を欠き、行動計画(手と足の協調)や体軸運動(腹部や眉間など)の際に共活性化した。
・何らかの意志を持って、行動をプランするときの活動が、エフェクター領域に伝わる前に、このinter-effector領域に投射され、様々なエフェクター領域を一つの運動にまとめ上げるという構造を運動野が持っていることを明らかにした(AASJ)。

[考察] これらの結果は、刺激によって誘発される複雑な動作や、副腎髄質などの内臓への接続を示す先行研究とともに、M1が全身行動計画のためのシステムである身体認知行動ネットワーク(SCAN)によって区切られていることを示唆している。M1では、2つの並行するシステムが絡み合い、統合と分離のパターンを形成している。効果器特異的領域(足、手、口)は細かい運動制御を分離し、SCANは目標、生理学、身体運動を統合している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

昔の動作解析、最新の動作解析、どちらを信頼するだろうか?

最新の動作解析に決まっている。
精度が全然違うだろう、そりゃ。

だったら、今回のホムンクルスを信頼した方がいい。
新たに示されたホムンクルスは、1部位1ヶ所ではなく、同心円状に複数回登場し、さらに協調領域を一次運動野のその中に包含しているという、これまでのホムンクルスが聞いたら驚くような結果となった。

だが、冒頭に戻るが、どちらを信頼する?
ぼくは、今回のホムンクルスに重心を置きたいと思っている。
その立ち位置から眺めると、一次運動野だけでなく、そこから下降する錐体路、放線冠、そのすべての体部位局在性に疑問符がつくことになる。
いやはや。
このアップデート、単なる一次運動野だけの話では収まりそうもない。

Nature ハイライト🇯🇵 >>> site.
・当該論文の日本語による短文解説
・論文の解釈として、こちらも非常に参考になります💡

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