運動ニューロン興奮性。発達段階による違い
📖 文献情報 と 抄録和訳
ヒトの定型発達における固有運動ニューロン特性
[背景・目的] 運動ニューロンの特性とその発火パターンは、発育を通じて、またセロトニンなどの神経調節物質に応じて、大きく変化する。
[方法] ここでは、若年発育期(小児期:7~17歳)、若年成人期(青年期:18~28歳)、成人期(32~53歳)の各グループと、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を服用している11~28歳の別グループにおいて、前脛骨筋運動ニューロンの自己持続発火と全般的興奮性の加齢に伴う発達を調べた。
[結果] 青年と成人(18歳以上:ヤングアダルト群およびアダルト群)と比較して、7~17歳の小児の運動単位の放電は、ピンクのボックスの振幅で表されるように、発火の開始により速く加速し、より高いピーク速度に達し、より長い自己持続発火を示した。セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を服用している11~28歳の参加者(赤棒)は、持続的な内向き電流を促進することによって運動ニューロンの興奮性を高めることが知られており、運動ニューロンの興奮性の測定値が最も高かった。
[結論] 運動ニューロンの興奮性が高いことは、発育の若い年齢で観察される熟練した足首の動きを行う際の力の不安定性の一因かもしれない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
運動ニューロンの興奮性は、若年者ほど高かった。
運動ニューロンとは、文字通り骨格筋に興奮刺激を入力する神経線維のこと。
それがより速く加速するということは、より速く骨格筋に興奮が伝わるということ。
この結果の解釈が難しいところなのだが、この研究の著者は「運動ニューロンの興奮性が高いことは、発育の若い年齢で観察される熟練した足首の動きを行う際の力の不安定性の一因かもしれない」という考察にとどまっている。
つまり、過敏に反応し過ぎてしまう、という解釈だ。
だが、より速く骨格筋に興奮が伝わるということは、反応は若年者ほど速い、という解釈も可能ではないか?
スポーツに留まらず、しばしば若年時代には反射的な強さが、熟練者には戦略的な強さが、という話がある。
この一因として、もしかしたら運動ニューロン興奮性の高さ、があるのではと思ったりした。
とても興味深い研究だ。
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