脊髄損傷1年後の歩行自立を予測する単一領域のピン痛覚を用いた臨床予測ルール
📖 文献情報 と 抄録和訳
脊髄損傷1年後の自立歩行のための単一デルマトーム臨床予測ルール
[背景・目的] ベッドサイドにおいて、SCI後の将来の自立歩行能力を 予測するためのシンプルで正確なCPRを導出し検証する。
[方法] デザイン:後方視的コホート研究。デルマトーム間でピン痛覚とライトタッチの予測値を評価するために、ピン痛覚の程度を示す2値変数を導き出した。最適な単一感覚モダリティとデルマトームを用いてCPRを導出し、独立したデータセットで検証した。設定:SCIモデルシステムのデータセットの解析。参加者:外傷性SCI患者。3679人の参加者(N=3679)のデータが含まれ、623人が導出データセット、3056人が検証データセットを構成する。自己報告による屋内および屋外での歩行能力。
[結果] 脊髄損傷後31日以内に、外側踵のS1でピン痛覚テストを実施したところ、脊髄損傷後1年経過した将来の自立歩行者を正確に同定できた。両方の外側踵のピン痛覚が正常であれば予後良好、どちらかの外側踵のピン痛覚があれば予後良好、ピン痛覚がなければ予後不良であった。
[結論] このCPRは、SCI重症度中間のサブグループでも十分に機能した。結論この大規模な多施設共同研究において、我々は、SCI後の将来の自立歩行を予測する、外側踵のピンプリック感覚検査のみを用いたシンプルで正確なCPRを導き出し、検証した。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
臨床予測ルールというと、複数項目から単一のアウトカムを予測する形を想像しがちだ。
だが、今回のようなとてもシンプルなスタイルもあるのだと驚いた。
踵外側のピン痛覚からのみの予測で、これだけの精度で1年後の歩行自立が予測できるとは。
シンプルであるということは、即、臨床で使用されやすいことを示すと思う。
どんなに精度が高く、学術上有用だと思われようとも、使用に際して複雑で、労力が大きいものは、使われないと思う。
簡便に、というのは思った以上に重要なチェックポイントだ。
その点から鑑みて、今回の臨床予測ルールは理想的と思われる。
踵外側のピン痛覚、よく覚えておきたい。
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